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第二話 真夏の夢幻し
⑤麻衣と慎一、急速に親しむ
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翌日の朝、慎一の部屋で一悶着あった。
騒ぎで自室のドアを開けて覗いた麻衣の視線の先に、慎一の部屋の前に突っ立って彼と言い争っているメイドの姿が在った。
「私はお部屋を掃除しに来たんです、中へ入れて下さい!」
「どうしたの?」
問いかけながら麻衣は慎一の部屋の中へ入って行き、直ぐに丸めたシーツを持って出て来た。
「きまりが悪かったのよ。シーツを汚してしまったから・・・」
「えっ?何か吐きでもされたんですか?」
「違うのよ。二十歳前の若い男の子がシーツを汚したと言えば、判るでしょう、あなたにも」
メイドは漸く理解したようだった。
「未だ坊やなのよ、可愛いわね」
メイドは洗濯物を持って階下へ降りて行った。麻衣は笑って見送った。
その日の夜、ダイニングで夕食を摂った後、忍は、ほぼ一日中姿を観ない麻衣を探しにバーやサロンなどを覗いて見た、が、彼女の姿は見当たらなかった。忍は庭を探し、プールサイドを見回ってから浜へ降りて行った。話声が聞こえたのは浜へ降りる石段の辺りで、其処には洒落たベンチが備え付けられていた。
声は慎一であった。ベンチに麻衣が座っていた。水着の上にガウンを着て二人とも髪が濡れていた。海で泳いで来たらしかった。
「僕、お姉さんが好きなんです!」
慎一の思い詰めたような声が聞こえて、忍はぎょっとして足を止めた。
「女の人がこんなに綺麗だって思ったこと、生まれて初めてです」
「あなた、殺し文句が上手いのね」
「違うんです、真実です」
慎一はベンチに座っている麻衣の両足を抱くような格好で跪いていた。麻衣は彼の髪を片手で撫でていた。弟のような若い男のすることを笑いながら許容している態度だった。慎一が麻衣の膝に顔を埋めた時、忍は石段を足音高く下りて行った。慌てて慎一が麻衣から離れ、石段を駆け上がって行った。
麻衣の眼が笑っていた。
「あんまり馬鹿げた真似は止しなさいよ!あなたは二十二歳の大人なのよ」
「私は唯、あの子の悩みを聞いてあげただけよ」
夜の海は岬に建って居る幾つもの照明で明るく輝いていた。
「あの子、今までガールフレンド一人作る暇も無かったんだって、勉強、勉強で」
「そういうのがマザコンになるのよ」
「色んな呪縛から自分を解放する方法を教えてやれば良いんだわね、きっと」
波が麻衣の座っているベンチ近くまで寄せていた。
「あの子、抱いてやったら、人生観が変わるかもね」
麻衣はさらりとそう言って、立ち上がった。
「何を馬鹿なことを言っているのよ。悪ふざけは止しなさいよ」
忍は思った。
男に処女願望が在ると聞くが、女にも童貞嗜好が在るのだろうか?・・・
騒ぎで自室のドアを開けて覗いた麻衣の視線の先に、慎一の部屋の前に突っ立って彼と言い争っているメイドの姿が在った。
「私はお部屋を掃除しに来たんです、中へ入れて下さい!」
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「えっ?何か吐きでもされたんですか?」
「違うのよ。二十歳前の若い男の子がシーツを汚したと言えば、判るでしょう、あなたにも」
メイドは漸く理解したようだった。
「未だ坊やなのよ、可愛いわね」
メイドは洗濯物を持って階下へ降りて行った。麻衣は笑って見送った。
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声は慎一であった。ベンチに麻衣が座っていた。水着の上にガウンを着て二人とも髪が濡れていた。海で泳いで来たらしかった。
「僕、お姉さんが好きなんです!」
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「女の人がこんなに綺麗だって思ったこと、生まれて初めてです」
「あなた、殺し文句が上手いのね」
「違うんです、真実です」
慎一はベンチに座っている麻衣の両足を抱くような格好で跪いていた。麻衣は彼の髪を片手で撫でていた。弟のような若い男のすることを笑いながら許容している態度だった。慎一が麻衣の膝に顔を埋めた時、忍は石段を足音高く下りて行った。慌てて慎一が麻衣から離れ、石段を駆け上がって行った。
麻衣の眼が笑っていた。
「あんまり馬鹿げた真似は止しなさいよ!あなたは二十二歳の大人なのよ」
「私は唯、あの子の悩みを聞いてあげただけよ」
夜の海は岬に建って居る幾つもの照明で明るく輝いていた。
「あの子、今までガールフレンド一人作る暇も無かったんだって、勉強、勉強で」
「そういうのがマザコンになるのよ」
「色んな呪縛から自分を解放する方法を教えてやれば良いんだわね、きっと」
波が麻衣の座っているベンチ近くまで寄せていた。
「あの子、抱いてやったら、人生観が変わるかもね」
麻衣はさらりとそう言って、立ち上がった。
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