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第十話 永遠の愛
②興治、美恵に一目惚れ
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それからまたニ十分余り冗談を言い合って時間を過ごしたが、興治はその間、誰の話も聞いていなかった。彼は美恵に向かって心の中で話し掛けていた。
「俺と一緒に暮らさないか?良いマンションに住んでいるよ。仕事も勿論バリバリやっているさ。独り暮らしもなかなか良いし、デートも結構楽しいけれども、独身の半端な立場とはもうオサラバだ。独り暮らしはもう切り上げるよ。君のような聡明な美人と一緒に暮らしたいんだ。無論、ちゃんと結婚するよ、君と。今逢ったばっかりなのに、こんなことを言うのがどれほど非常識かってことは、それくらいの事は、十分に解っているさ。でも、それでどうしたって言うんだ?俺には君が必要なんだ、だから約束するよ、誓うよ。君をきっと幸せにする。裏切ったり嘘を吐いたりは決してしないから・・・だから・・・」
要するに、興治は美恵に一目惚れしたのだった。
その時、知恵が興治に訊いた。
「あなたって随分と物静かで落ち着いているのね」
不意に、中島が窓の外を見て、叫んだ。
「おい、見ろよ。雪、雪が積もって来たよ」
水気を含んだ重い牡丹雪が街路に停まる車の屋根に既に積もりかけていた。
美恵が首を廻して外を見てから、小さく欠伸をかみ殺した。
「さあ、そろそろ、もう帰らなくっちゃ・・・」
智恵がそう言いながらマスターを捜した。
「雪の中に埋もれてしまう前に帰らなくっちゃあね」
「雪の中で立ち往生?・・・」
中島が言った。
「俺、一度で良いから、雪の中で立ち往生、って状況を経験してみたかったんだけどなあ」
興治には、中島が、速くこの娘を誘って雪の中へ消えて行けよ、と嗾けているように聞こえた。
興治は心の中で美恵に言い続けていた。
「話があるんだよ、君。言葉にするのはとても難しいけど、どうか俺の願いを聴いて欲しい。未だ帰らないでくれよ・・・」
だが、それから直ぐに全員が立ち上がってコートを手にし、中島が支払いのメモを掴んだ。
「じゃ、又ね。とても愉しかったわ」
美恵はそう言ったが、彼女の顔には疲れが滲み、眼の下にはクマが出来ていた。
「また一緒に呑んで話そうな」
中島が言った。
「でも、もっと早い時間にしようよ、な」
「そうね、そうしましょう」
美恵が答えた。
雪の降る中で全員が握手を交わし合った。
美恵と握手をする時、興治は彼女の眼をしっかりと捉えて離さなかった。美恵も笑い返した。が然し、言葉は遂に交わさないままだった。
「それじゃ、また。皆さんに逢えて愉しかったわ」
美恵はそう言って、智恵と一緒に雪の中を歩いて帰って行った。
「綺麗な娘たちだったな」
中島が言うと、大野が頬を紅潮させて頷いた。
「いやぁ、全く、綺麗な娘だった!」
三人は行き交っている空車のタクシーに手を挙げて、花見小路を後にした。
「俺と一緒に暮らさないか?良いマンションに住んでいるよ。仕事も勿論バリバリやっているさ。独り暮らしもなかなか良いし、デートも結構楽しいけれども、独身の半端な立場とはもうオサラバだ。独り暮らしはもう切り上げるよ。君のような聡明な美人と一緒に暮らしたいんだ。無論、ちゃんと結婚するよ、君と。今逢ったばっかりなのに、こんなことを言うのがどれほど非常識かってことは、それくらいの事は、十分に解っているさ。でも、それでどうしたって言うんだ?俺には君が必要なんだ、だから約束するよ、誓うよ。君をきっと幸せにする。裏切ったり嘘を吐いたりは決してしないから・・・だから・・・」
要するに、興治は美恵に一目惚れしたのだった。
その時、知恵が興治に訊いた。
「あなたって随分と物静かで落ち着いているのね」
不意に、中島が窓の外を見て、叫んだ。
「おい、見ろよ。雪、雪が積もって来たよ」
水気を含んだ重い牡丹雪が街路に停まる車の屋根に既に積もりかけていた。
美恵が首を廻して外を見てから、小さく欠伸をかみ殺した。
「さあ、そろそろ、もう帰らなくっちゃ・・・」
智恵がそう言いながらマスターを捜した。
「雪の中に埋もれてしまう前に帰らなくっちゃあね」
「雪の中で立ち往生?・・・」
中島が言った。
「俺、一度で良いから、雪の中で立ち往生、って状況を経験してみたかったんだけどなあ」
興治には、中島が、速くこの娘を誘って雪の中へ消えて行けよ、と嗾けているように聞こえた。
興治は心の中で美恵に言い続けていた。
「話があるんだよ、君。言葉にするのはとても難しいけど、どうか俺の願いを聴いて欲しい。未だ帰らないでくれよ・・・」
だが、それから直ぐに全員が立ち上がってコートを手にし、中島が支払いのメモを掴んだ。
「じゃ、又ね。とても愉しかったわ」
美恵はそう言ったが、彼女の顔には疲れが滲み、眼の下にはクマが出来ていた。
「また一緒に呑んで話そうな」
中島が言った。
「でも、もっと早い時間にしようよ、な」
「そうね、そうしましょう」
美恵が答えた。
雪の降る中で全員が握手を交わし合った。
美恵と握手をする時、興治は彼女の眼をしっかりと捉えて離さなかった。美恵も笑い返した。が然し、言葉は遂に交わさないままだった。
「それじゃ、また。皆さんに逢えて愉しかったわ」
美恵はそう言って、智恵と一緒に雪の中を歩いて帰って行った。
「綺麗な娘たちだったな」
中島が言うと、大野が頬を紅潮させて頷いた。
「いやぁ、全く、綺麗な娘だった!」
三人は行き交っている空車のタクシーに手を挙げて、花見小路を後にした。
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