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ノエル将軍2
しおりを挟む王国からの文を携え、公国に向かう。
大公からは面会を拒否され、代わりに対応したのはギルバート公子だった。
ブリジット様の件もありやはりいけ好かず、どれほど高慢な対応をされるかと思っていた。
しかしやつれた様子の青年は懇切丁寧に対応してくれた。拍子抜けしてしまうほどに。
「国王陛下からのお言葉です」
そう言って王からの文を渡す。
内容は彼も想像つくだろう。
――公国の領土を王国に戻す。
詰まる所、大公の身分を無くし、単なる王族の分家として扱うことを意味している。
全盛期のヴィクヘルム大公であったら、その場で私に切りかかって、これ幸いとばかりに王国との戦争を始めていただろう。
だがそれは出来ない。
この国の軍部の大半が王国に組していたグランパス辺境伯のもとへ流れ込んだのだ。
もはや皆この国を見切っていたのだろう。
万が一にも戦争するとして、公国が勝つ手段はもうない。
私は頭を下げる公子の様子を見る。
一時の恋に溺れ、一人の女性を国から追い出した。
その結果、彼、そして周囲の人間はあまりに多くのものを失った。
――今、お前は何を思っている?
そんな問いを胸の内に収めた。
思い浮かぶのはブリジット様の笑顔だ。
陰気な彼と違い、日の光を浴びて彼女は活発に、かつ美しく笑っている。
すでに公国での仕打ちは忘れてしまっているだろう。
「悔いのない答えを期待しております。殿下」
それだけ告げて、私は公国を去っていった。
ここにいるだけで沼に使っているような不快感に苛まれる。早く、あのお方の待つ王国に戻りたい。
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