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グランパス辺境伯夫婦2
しおりを挟む「フリーゲ夫人ですが。想像妊娠だったんですって。今朝流れて、それがわかりましたわ」
妻は冷たく吐き捨てる。
俺としてはそれが幸いだと思う。あのような不義理から生まれた子供の受ける苦労は想像を絶するだろうからな。
「これから大変でしょうね。不貞行為と夫の逮捕に対する偽証行為。元大公陛下と一緒にいるとは言え、彼女にとって負債は大きいでしょうね」
「命があるだけまだ救いはあるな。民衆の前で処刑される辱めを受けないだけ、当人も」
王国からの遣いであるノエル将軍が文を持ってきて間もなく、公国は解体された。
俺たちグランパス家は早々に王国派に寝返ったこと、軍の戦力を削いだ功績を見込まれお咎めは無しとなった。
ヴィクヘルム元大公、そしてその愛妾フリーゲ夫人は王家にその身柄を回収され、植民地となる外国で自分達の負債を払い続ける事になる。
ギルバート公子は彼らよりも潔かった。身分を返上し、その金で精神的に傷ついたチェルシー嬢と静かに暮らそうとしているのだ。
「父子二人揃って、真実の愛ってやつは掴んだってわけか」
「その後始末は大変でしたけど」
「全くだ」
ペチュニアの注ぐ酒を煽り、俺はそう答える。
真実の愛。
ロマンス小説でしか聞いたことがない、お花畑なそれに踊らされたことで、国が一つ消えてしまった。
人間、理性というものは忘れたくないものだ。
妹も、そのせいで哀れな目に遭ったな。
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サーペン家には居場所があるわけもなく、どこに行っても指を刺されている。
いつかは修道院にいくだろうと、あいつは言っていたな。
兎に角、もう真実の愛なんぞに翻弄される人間はいない。
それは幸いだ。
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