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誰がなんと言おうと、責任とって結婚してよ!
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「片桐さん、あなたは、ここに居る佐藤政志さん以外の男性とも関係がありますね」
真田弁護士の指摘に、片桐はまったく心当たりがありませんと言うように目を見開き小首を傾げる。
「まさか、わたしが?! 」
「片桐さんが、今お住まいの部屋は、山元康平 52歳 山元不動産社長が手配したマンションですよね」
「そ、それは、山元社長の善意で借りて居るだけよ!」
「そうですか」
真田弁護士が引くと片桐はホッとした顔を見せる。
だが、真田弁護士は言葉を続けた。
「では、吉川祐一 38歳 三興建設の専務と先日、腕を組んで買い物されていましたね。その後、宿泊施設に入られたとか」
片桐は開き直ったのか、悪びれる感じも無く言い返した。
「あー、買い物の途中で具合が悪くなったから支えてもらって、仕方なくホテルで休んだだけです」
「そうですか。では、上田大輔、24歳。セロウムというバーでバーテンダーをしている方で、片桐さんは足繫くこのバーに通い、閉店になると彼と連れ立って部屋に泊まっていますよね。お腹の子供の父親候補が複数人いますが、佐藤政志さんに結婚を迫ったのは、この上田さんに振られたからですか?」
サッと顔を青くした片桐は、悔し気に言い放つ。
「変な言いがかりはヤメて、みんな、ただの知り合いよ!子供の父親は政志さんに決まっているでしょう!」
「先に述べた方々と片桐さんがお付き合いをされているという証拠があります。山元さんと吉川さんも既婚者ですね。山元さんと片親さんでは、親子ほど年齢が離れ過ぎています。吉川さんは、専務という地位であるものの婿養子。離婚したらその地位はなくなります。それで、パパ活の相手の中で一番条件の良かった佐藤政志さんをお腹の子の父親にしようと白羽の矢を立て結婚を迫ったのでは?」
「そんな……」
片桐の男性遍歴を聞いて、政志は唖然と佇む。
まさか、自分以外に複数人の男が居るとは思わなかったのだろう。
そもそも、既婚者でありながら片桐の誘惑に乗った時点で、政志自身も二股をかけているのだ。片桐が自分だけを一途に想って居るだなんて、信じる方がどうかしている。
不倫をしても平気だと思って居る人に、貞操観念を期待するのは間違っているのだ。
沙羅がこの日の話し合いに同行したのは、片桐に慰謝料を請求するだけが目的ではなかった。政志が片桐と話し合いをする前に托卵をされそうになっている事を教え、自分の愚かな行いの結果を理解して欲しかったのだ。
「誰がなんと言おうと、この子の父親は政志さんなの! 責任とって結婚してよ!」
やぶれかぶれの片桐は、金切り声を上げる。
その片桐に向かって、沙羅はぞっとするほど美しい笑顔を向けた。
「そう、あくまでも片桐さんのお腹の子供は政志さんのとの子供だと言い張るのね。その子は不貞の動かぬ証拠という事になるから、やっぱり慰謝料の500万円は請求するしかないわ」
「だから、500万円なんて払うわけないじゃない。オバサンはわたしの前からささっと消えてよ」
「片桐さん、あなたの卒業した中学校では道徳の授業はなかったみたいね。じゃあ、仕方ないから、校長先生に道徳とは何かを説いて頂けるようにお願いしないと……」
沙羅の言葉をさえぎるように、片桐が叫ぶ。
「やめてっ!!」
真田弁護士の指摘に、片桐はまったく心当たりがありませんと言うように目を見開き小首を傾げる。
「まさか、わたしが?! 」
「片桐さんが、今お住まいの部屋は、山元康平 52歳 山元不動産社長が手配したマンションですよね」
「そ、それは、山元社長の善意で借りて居るだけよ!」
「そうですか」
真田弁護士が引くと片桐はホッとした顔を見せる。
だが、真田弁護士は言葉を続けた。
「では、吉川祐一 38歳 三興建設の専務と先日、腕を組んで買い物されていましたね。その後、宿泊施設に入られたとか」
片桐は開き直ったのか、悪びれる感じも無く言い返した。
「あー、買い物の途中で具合が悪くなったから支えてもらって、仕方なくホテルで休んだだけです」
「そうですか。では、上田大輔、24歳。セロウムというバーでバーテンダーをしている方で、片桐さんは足繫くこのバーに通い、閉店になると彼と連れ立って部屋に泊まっていますよね。お腹の子供の父親候補が複数人いますが、佐藤政志さんに結婚を迫ったのは、この上田さんに振られたからですか?」
サッと顔を青くした片桐は、悔し気に言い放つ。
「変な言いがかりはヤメて、みんな、ただの知り合いよ!子供の父親は政志さんに決まっているでしょう!」
「先に述べた方々と片桐さんがお付き合いをされているという証拠があります。山元さんと吉川さんも既婚者ですね。山元さんと片親さんでは、親子ほど年齢が離れ過ぎています。吉川さんは、専務という地位であるものの婿養子。離婚したらその地位はなくなります。それで、パパ活の相手の中で一番条件の良かった佐藤政志さんをお腹の子の父親にしようと白羽の矢を立て結婚を迫ったのでは?」
「そんな……」
片桐の男性遍歴を聞いて、政志は唖然と佇む。
まさか、自分以外に複数人の男が居るとは思わなかったのだろう。
そもそも、既婚者でありながら片桐の誘惑に乗った時点で、政志自身も二股をかけているのだ。片桐が自分だけを一途に想って居るだなんて、信じる方がどうかしている。
不倫をしても平気だと思って居る人に、貞操観念を期待するのは間違っているのだ。
沙羅がこの日の話し合いに同行したのは、片桐に慰謝料を請求するだけが目的ではなかった。政志が片桐と話し合いをする前に托卵をされそうになっている事を教え、自分の愚かな行いの結果を理解して欲しかったのだ。
「誰がなんと言おうと、この子の父親は政志さんなの! 責任とって結婚してよ!」
やぶれかぶれの片桐は、金切り声を上げる。
その片桐に向かって、沙羅はぞっとするほど美しい笑顔を向けた。
「そう、あくまでも片桐さんのお腹の子供は政志さんのとの子供だと言い張るのね。その子は不貞の動かぬ証拠という事になるから、やっぱり慰謝料の500万円は請求するしかないわ」
「だから、500万円なんて払うわけないじゃない。オバサンはわたしの前からささっと消えてよ」
「片桐さん、あなたの卒業した中学校では道徳の授業はなかったみたいね。じゃあ、仕方ないから、校長先生に道徳とは何かを説いて頂けるようにお願いしないと……」
沙羅の言葉をさえぎるように、片桐が叫ぶ。
「やめてっ!!」
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