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第17.5話王妃と『占い師』
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アリシア・カトレンヌ――カトレンヌ侯爵の長女であり、侯爵令嬢。そして、王宮魔術師に入り、『氷の魔術師』としての名を持つ優秀な存在。
そんな彼女は第二王子が無断で婚約破棄を卒業式に行い、アリシアの妹を悲しませた。そのせいもあってアリシアを怒らせた第二王子は容赦なく彼女のぶん殴られ、大けがを負った。
アリシアは似ていた。ラフレシアが最も嫌う幼馴染の存在に――彼女が、その娘だという事も、気に入らなかった。
父親や妹はまだ似ていないから毛嫌いする事もなかったのだが、アリシアは本当に似ていた。嘗て、自分の事を見下すような目で見ていた、あの女に。
気に入らない女の娘が、第二王子であり、ラフレシアが溺愛している正体の国王がぶん殴られた事で、王宮内はある意味荒れた。
今回の婚約破棄を行い、同時に別の女性を好きになってしまった事は第二王子であるフィリップの独断だ。しかし、ラフレシアはそんな事よりも、彼に大けがさせたアリシアが許せなかった。
「許せない……あの女、死んでも邪魔をしてくるなんて……」
既に、ラフレシアが最も嫌っている女は病魔に襲われ、この世にはいないが、娘が二人いる。その中でアリシアは昔の嫌いな女だった。
『アリス』――嫌いだった女の名前はそんな名前だった。
彼女はその名前に似合わず、多くの魔力を持ち、王宮魔術師に認められるほどの強い力を持っており、主に氷の魔術を使うのが得意としていた魔術師だ。娘のアリシアもそれを受け継いでいる。
死んでもなお、ラフレシアを苦しめている存在。同時に大切な息子を殴った張本人。
王妃の力と体を武器にして、刺客を送った。
しかし、アリシア・カトレンヌはそれ如きで倒れる相手ではなく、向かって刺客は全く持って帰ってこなかった。
王宮魔術師の『氷の魔術師』――敵、味方関係なく恐れられている存在が、ただの刺客に勝てるわけがない。
余計に腹立たしい。
何回かアリシアとは面識があったのだが、会うたびに彼女の目は嫌そうな顔をしていた。アリス同様、アリシアはラフレシアの事が嫌いだとすぐに理解した。同時にアリシアの事を毛嫌いするようになった。
そして、そんな女が息子を殴ったのだ。
刺客を送っても、返り討ちにあうだけで――どうしたら良いのかわからないラフレシアは唇を噛みしめた。
いつの間にか衣類や小物を放り投げたり、破り捨てたり、感情のコントロールがうまくいかなくなってしまった時だった。
「王妃様、お客様がお見えになっております……占い師の――」
「――お通しして」
『占い師』――その言葉を聞いた瞬間、ラフレシアの表情はすぐの変わる。小物や衣類などをすぐさま近くのメイドたちに片付けさせた後、簡単な支度を整え、部屋に招く。
『占い師』の姿を見た王妃は縋り付くようにしながら目の前の人物に抱き着いた。
「お待ちしておりましたわ……もう、不安でたまらなくて……」
「心中お察しします王妃様……いつもの占いで構わないですか?」
『占い師』と言われた人物は背の高い男だった。深くフードを被り、縋り付いている王妃の姿を全く気にしていないかのように、そのまま王妃の部屋に入り、用意された椅子に座る。
顔を合わせて椅子に座り、メイドが用意してくれた紅茶を一口、飲んだ後、『占い師』は王妃の顔を見て答える。
「噂になっておりましたが、王太子であるフィリップ殿下が婚約破棄を行い、殴られた、と」
「……そうなのです。あの、忌々しいアリスの娘に……ッ」
「確か、婚約者様もその娘さんだったのでは?」
「あの娘はアリスに似ていなかったから別に構わなかったのですが……だから私は婚約は反対でしたのよ。それなのに陛下と息子の後押しが強かったので……」
「そうですか……」
『占い師』はジッと王妃の手を見つめながら、静かに笑っているのだが、王妃はその笑いには気づかない。
手を再度見つめた後、『占い師』は王妃に目を向けた。
「……私の占いによりますと、王妃様が言っていた娘ですが、彼女はあなたにとってこれからも害にしかなりません。何か、手を考えたほうが良いのでは?」
「私に害になると……ああ、忌々しい!どこまで苦しめるのよ、アリスも、あの娘……アリシアも……ッ」
「……」
唇を噛みしめながら叫び始めるラフレシアの姿は、本当に王妃と言っていいほどの存在なのだろうか、と思わず『占い師』は考えていたなど、彼女は知らない。
憎々しさが手に取るように伝わってくるのを感じながら、『占い師』は懐から小さな包まれている紙を取り出し、それをラフレシアに渡す。
「これは?」
「最近眠れていない様子……私の知り合いが作った薬です。もし、落ち着かなかったり致しましたらお飲みください」
「ああ、ありがとうございます。いつもすみません、『占い師』様」
「いえいえ、これからもどうぞご贔屓にお願いいたします。王妃様」
嬉しそうにそれを受け取る王妃の姿を見ながら、『占い師』はいつもの表情を見せながら笑う。
きっと、毒見をさせる事なくラフレシアはその薬を飲むことになるだろう。
彼女は既に、『魅了』されているのだから。
(……相変わらずだな、アリシア・カトレンヌ……流石僕に傷を負わせた女)
フフっと笑いながら、『占い師』は狂気に狂っているように見える王妃を見つめていた。
そんな彼女は第二王子が無断で婚約破棄を卒業式に行い、アリシアの妹を悲しませた。そのせいもあってアリシアを怒らせた第二王子は容赦なく彼女のぶん殴られ、大けがを負った。
アリシアは似ていた。ラフレシアが最も嫌う幼馴染の存在に――彼女が、その娘だという事も、気に入らなかった。
父親や妹はまだ似ていないから毛嫌いする事もなかったのだが、アリシアは本当に似ていた。嘗て、自分の事を見下すような目で見ていた、あの女に。
気に入らない女の娘が、第二王子であり、ラフレシアが溺愛している正体の国王がぶん殴られた事で、王宮内はある意味荒れた。
今回の婚約破棄を行い、同時に別の女性を好きになってしまった事は第二王子であるフィリップの独断だ。しかし、ラフレシアはそんな事よりも、彼に大けがさせたアリシアが許せなかった。
「許せない……あの女、死んでも邪魔をしてくるなんて……」
既に、ラフレシアが最も嫌っている女は病魔に襲われ、この世にはいないが、娘が二人いる。その中でアリシアは昔の嫌いな女だった。
『アリス』――嫌いだった女の名前はそんな名前だった。
彼女はその名前に似合わず、多くの魔力を持ち、王宮魔術師に認められるほどの強い力を持っており、主に氷の魔術を使うのが得意としていた魔術師だ。娘のアリシアもそれを受け継いでいる。
死んでもなお、ラフレシアを苦しめている存在。同時に大切な息子を殴った張本人。
王妃の力と体を武器にして、刺客を送った。
しかし、アリシア・カトレンヌはそれ如きで倒れる相手ではなく、向かって刺客は全く持って帰ってこなかった。
王宮魔術師の『氷の魔術師』――敵、味方関係なく恐れられている存在が、ただの刺客に勝てるわけがない。
余計に腹立たしい。
何回かアリシアとは面識があったのだが、会うたびに彼女の目は嫌そうな顔をしていた。アリス同様、アリシアはラフレシアの事が嫌いだとすぐに理解した。同時にアリシアの事を毛嫌いするようになった。
そして、そんな女が息子を殴ったのだ。
刺客を送っても、返り討ちにあうだけで――どうしたら良いのかわからないラフレシアは唇を噛みしめた。
いつの間にか衣類や小物を放り投げたり、破り捨てたり、感情のコントロールがうまくいかなくなってしまった時だった。
「王妃様、お客様がお見えになっております……占い師の――」
「――お通しして」
『占い師』――その言葉を聞いた瞬間、ラフレシアの表情はすぐの変わる。小物や衣類などをすぐさま近くのメイドたちに片付けさせた後、簡単な支度を整え、部屋に招く。
『占い師』の姿を見た王妃は縋り付くようにしながら目の前の人物に抱き着いた。
「お待ちしておりましたわ……もう、不安でたまらなくて……」
「心中お察しします王妃様……いつもの占いで構わないですか?」
『占い師』と言われた人物は背の高い男だった。深くフードを被り、縋り付いている王妃の姿を全く気にしていないかのように、そのまま王妃の部屋に入り、用意された椅子に座る。
顔を合わせて椅子に座り、メイドが用意してくれた紅茶を一口、飲んだ後、『占い師』は王妃の顔を見て答える。
「噂になっておりましたが、王太子であるフィリップ殿下が婚約破棄を行い、殴られた、と」
「……そうなのです。あの、忌々しいアリスの娘に……ッ」
「確か、婚約者様もその娘さんだったのでは?」
「あの娘はアリスに似ていなかったから別に構わなかったのですが……だから私は婚約は反対でしたのよ。それなのに陛下と息子の後押しが強かったので……」
「そうですか……」
『占い師』はジッと王妃の手を見つめながら、静かに笑っているのだが、王妃はその笑いには気づかない。
手を再度見つめた後、『占い師』は王妃に目を向けた。
「……私の占いによりますと、王妃様が言っていた娘ですが、彼女はあなたにとってこれからも害にしかなりません。何か、手を考えたほうが良いのでは?」
「私に害になると……ああ、忌々しい!どこまで苦しめるのよ、アリスも、あの娘……アリシアも……ッ」
「……」
唇を噛みしめながら叫び始めるラフレシアの姿は、本当に王妃と言っていいほどの存在なのだろうか、と思わず『占い師』は考えていたなど、彼女は知らない。
憎々しさが手に取るように伝わってくるのを感じながら、『占い師』は懐から小さな包まれている紙を取り出し、それをラフレシアに渡す。
「これは?」
「最近眠れていない様子……私の知り合いが作った薬です。もし、落ち着かなかったり致しましたらお飲みください」
「ああ、ありがとうございます。いつもすみません、『占い師』様」
「いえいえ、これからもどうぞご贔屓にお願いいたします。王妃様」
嬉しそうにそれを受け取る王妃の姿を見ながら、『占い師』はいつもの表情を見せながら笑う。
きっと、毒見をさせる事なくラフレシアはその薬を飲むことになるだろう。
彼女は既に、『魅了』されているのだから。
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