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アニエスの豆VSゴブリン
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「セドリック、アニエスを頼む!
お前達は俺が退路を作る。応援がくるまで
生き延びろ!」
マルク義兄様が大声で怒鳴りながら
火炎弾を繰り出す。
ゴブリンを次々に倒すが数が多すぎて
いまいち散らしきれていない。
「団長!我々も戦います!」
騎士様達も応戦するが、多勢に無勢。
それに魔物に怯えている。
ゴブリンを初めて見る人もいるみたい。
「阿呆!とっとと逃げろ!死にたいか!
この人数じゃ無駄死にするだけだ。
応援が来て態勢が整うまできっちり
逃げろ!!」
マルク義兄様、無理ですって。
まともな神経してたら普通は、
団長だけ残して逃げられないですよ。
「セドリック兄さん。私は平気。兄さんは
火焔熊をなんとかして」
「大丈夫かぁ?お前武器持ってないだろ」
「うん。ちょっと思いついた事があるの。
試してみるから。
だから、お願い兄さんは熊をなんとかして」
──熊に熊をお願いする。
「危なくなったら叫べよ!」
セドリック兄さんが火焔熊の方へ向かう。
さて、私はゴブリンだな。
何匹か私の方に飛びかかってきたので
ウインドカッターで切り刻む。
武器があればな……。武器がないので
防御に徹する。次回から武器を携帯しよう。
マルク義兄様の方を見る。
マルク義兄様、さすがザルツコード。
火炎魔法のレパートリーがすごいです。
確かに騎士様達、足手まといだ。
逃げてくれた方が戦いやすい。
「アニエス!セドリックはどうした!!」
私が一人なのに気がついてマルク義兄様が
ゴブリンを凪ぎ払いながら駆け寄ってくる。
「セドリック兄さんには火焔熊の方へ行って
もらいました。マルク義兄様、少しの間、
持ちこたえて下さい」
「……何かする気だな?分かった。任せる」
うじゃうじゃいる奴にはうじゃうじゃいる奴
同士で戦ってもらおう。
ゴブリン、単体ではそんなに強くないし。
よし。封印した植物魔法の出番だ。
出て来い!
にゅるにゅる、にょきにょきの蔦蔓!
芝生をかき分け双葉が生える。
やっぱり花が咲いて豆になる。
飛び散る豆。
育つ豆達。
うねうね。にょろにょろ。
やっぱり、黄色いアヒルのような太い足が
生える。
頭?には大きなアサガオのような
ショッキングピンクの花が。
胴体?にはうねうね蠢く蔓と葉っぱが
手のように生えてきた。
花の中心に出来た口にはギザギザの鋸歯。
「「「ピイピイ、ピイピイ、ピー!!」」」
やっぱり、蔦蔓にならずに豆になるのね。
ちょっと複雑。
ピイピイ言っているからピイちゃんと命名。
よし、ピイちゃん達。
いっぱいいるんだから、いっぱいいる奴らを
足止めしてちょうだい!
とりあえず、ピイちゃんを量産する。
これ、あんまり魔力を使わないな。
意外といい魔法なのでは……。
数には数を。
ゴブリンにはピイちゃんを。
足止めして騎士様達が逃げる隙と
応援が来るまでの時間を稼いで!
……と思っていたけれど。
ピイちゃん達エグい。
予想通りの戦い方といえば
そうなんだけれど……。
蔓のような手?でゴブリンを捕獲すると
頭からバリバリ食べている。
鋸歯で咀嚼するので血が飛び散る。
ギチギチ、ゴリゴリ、バリバリ。
辺りに響くゴブリン達の悲鳴。
遠くのゴブリンには蔓をシュルシュル
伸ばして捕獲。あっちこっちでゴブリンの
血飛沫が飛んでいる。
意外と強い。
しかも、ゴブリン一体食べ終わると
頭?の花がしぼんで豆がなる。
それが弾けて飛び散り、成長してさらに
ピイちゃん達が増える。
……自己増殖してる。
ピイちゃん達の方が魔物みたい……。
マルク義兄様。火炎放射しながら呆然と
するのは危ないのでやめて下さい。
「……アニエス、あれ?なに?」
「……分かりません。見た通り豆です。
偶然の産物で数が多く出るから足止めに
いいかと思ったのですが……」
「足止めどころか圧倒しているな……」
「ええ。本当に……」
「しかも、自然に増えている……エグいな」
「……エグいですね」
「もはや、あいつらの方が魔物だな……」
それ、私も思いました。
「マルク義兄様、火焔熊の方に、セドリック
兄さんの方をお願いしてもいいですか?」
「分かった。危なくなったら叫べよ。
離れる。アニエス、大丈夫だな?」
「はい。こちらは大丈夫です」
そう、返事をしたのにマルク義兄様は
私の周りにファイアーウォールで防護壁を
囲う。もう。過保護です。
炎の壁に守られて少し余裕が出来た。
火焔熊の方を見る。
セドリック兄さんが背中に背負っていた
大剣で火焔熊を一撃で沈める。
うわ!めちゃくちゃ腕が上がっている。
別れた時は火焔熊に苦戦していたのに……。
年月ってすごい。
マルク義兄様は攻撃を電撃に切り替えて
いる。やっぱり、多属性の人は強い。
相手の属性に合わせて攻撃を変えられる。
マルク義兄様も剣を振るう。
電撃の乗った剣を火焔熊の頭に叩き込む。
真っ二つになる火焔熊。
……兄と義兄がカッコいい。
呑気に眺めていたら、応援が到着した。
濃紺の制服。第二騎士団だ!
騎士団長は、うちの長兄。エリック兄さん。
お供は四番目の義兄マシュー義兄様。
エリック兄さん、仕事中だから私を見て
満面の笑顔になるのは、よしなさい。
緊急事態だから!
それにしても騎士団。団長と副団長が
マクドネル卿を除くと全員、兄か義兄。
最初に聞いた時は何かと思った。
こんな片寄った人事でいいのだろうか?
ぼけっとしていたらエリック兄さんが
ピイちゃんに斬りかかっている。
あ、それ、味方だから!
「待て、エリック!それ、味方っぽいぞ。
ゴブリンを捕食してる!」
あ、マシュー義兄様が止めてくれた。
すみません。うちの熊が面倒を。
「エリック兄さん!そのピンクの花の
やつは、私が出したやつなの!
こっちはいいから、兄さんは火焔熊を
なんとかして!」
「あ?これ、魔物じゃないんだ。間違えた。
よし、火焔熊だな!まかせろ」
ドスドスと火焔熊の方へ向かう熊。
魔物に慣れた第二騎士団は強かった。
火焔熊が、どんどん減っていく。
応援が来て落ち着きを取り戻した第三騎士団
の騎士達もゴブリン相手に頑張っている。
成る程、マルク義兄様が逃げろという訳だ。
明らかに第二と第三との実力差がある。
第三は全く魔物と接する機会がない。
市中の治安維持を任務とする。
人、相手の職務。
数百年、魔物の侵入のない王都では
魔物討伐のスキルなんて上げようがない。
ましてや、帝国と開戦して、戦力がそちらに
持って行かれている。
それにカルヴァン団長の負傷も大きい。
平和の意外な代償。
うちの熊兄達が第一、第二、第三に振り
分けられたのはそのせいか。
うちの熊達は魔物討伐のプロだ。
それに義兄達は、子供の時から謎の
『オーウェン地獄のキャンプ』で魔物との
戦闘に慣らされている。
オーウェン様はこういう事態を想定して
いたのかな?
グレン様のグループの他にも何組か
キャンプのメンバーがいると言っていた。
たぶんその人達が中核になって今回の
帝国との戦いに挑んでいるのだろうな。
問題は残された王都。
……王都は魔物に弱い。
この先、大丈夫なのだろうか。
今回の襲撃は被害を出さずに済んだ。
でも、次もこんなに上手くいくとは
思えない。
この『穴』どうにかならないのかな?
大体、どうして『穴』ができるの?
それに魔物。
なんで帝国に使役されているの?
私はあまり良いとは言えない頭を
悩ませた。
お前達は俺が退路を作る。応援がくるまで
生き延びろ!」
マルク義兄様が大声で怒鳴りながら
火炎弾を繰り出す。
ゴブリンを次々に倒すが数が多すぎて
いまいち散らしきれていない。
「団長!我々も戦います!」
騎士様達も応戦するが、多勢に無勢。
それに魔物に怯えている。
ゴブリンを初めて見る人もいるみたい。
「阿呆!とっとと逃げろ!死にたいか!
この人数じゃ無駄死にするだけだ。
応援が来て態勢が整うまできっちり
逃げろ!!」
マルク義兄様、無理ですって。
まともな神経してたら普通は、
団長だけ残して逃げられないですよ。
「セドリック兄さん。私は平気。兄さんは
火焔熊をなんとかして」
「大丈夫かぁ?お前武器持ってないだろ」
「うん。ちょっと思いついた事があるの。
試してみるから。
だから、お願い兄さんは熊をなんとかして」
──熊に熊をお願いする。
「危なくなったら叫べよ!」
セドリック兄さんが火焔熊の方へ向かう。
さて、私はゴブリンだな。
何匹か私の方に飛びかかってきたので
ウインドカッターで切り刻む。
武器があればな……。武器がないので
防御に徹する。次回から武器を携帯しよう。
マルク義兄様の方を見る。
マルク義兄様、さすがザルツコード。
火炎魔法のレパートリーがすごいです。
確かに騎士様達、足手まといだ。
逃げてくれた方が戦いやすい。
「アニエス!セドリックはどうした!!」
私が一人なのに気がついてマルク義兄様が
ゴブリンを凪ぎ払いながら駆け寄ってくる。
「セドリック兄さんには火焔熊の方へ行って
もらいました。マルク義兄様、少しの間、
持ちこたえて下さい」
「……何かする気だな?分かった。任せる」
うじゃうじゃいる奴にはうじゃうじゃいる奴
同士で戦ってもらおう。
ゴブリン、単体ではそんなに強くないし。
よし。封印した植物魔法の出番だ。
出て来い!
にゅるにゅる、にょきにょきの蔦蔓!
芝生をかき分け双葉が生える。
やっぱり花が咲いて豆になる。
飛び散る豆。
育つ豆達。
うねうね。にょろにょろ。
やっぱり、黄色いアヒルのような太い足が
生える。
頭?には大きなアサガオのような
ショッキングピンクの花が。
胴体?にはうねうね蠢く蔓と葉っぱが
手のように生えてきた。
花の中心に出来た口にはギザギザの鋸歯。
「「「ピイピイ、ピイピイ、ピー!!」」」
やっぱり、蔦蔓にならずに豆になるのね。
ちょっと複雑。
ピイピイ言っているからピイちゃんと命名。
よし、ピイちゃん達。
いっぱいいるんだから、いっぱいいる奴らを
足止めしてちょうだい!
とりあえず、ピイちゃんを量産する。
これ、あんまり魔力を使わないな。
意外といい魔法なのでは……。
数には数を。
ゴブリンにはピイちゃんを。
足止めして騎士様達が逃げる隙と
応援が来るまでの時間を稼いで!
……と思っていたけれど。
ピイちゃん達エグい。
予想通りの戦い方といえば
そうなんだけれど……。
蔓のような手?でゴブリンを捕獲すると
頭からバリバリ食べている。
鋸歯で咀嚼するので血が飛び散る。
ギチギチ、ゴリゴリ、バリバリ。
辺りに響くゴブリン達の悲鳴。
遠くのゴブリンには蔓をシュルシュル
伸ばして捕獲。あっちこっちでゴブリンの
血飛沫が飛んでいる。
意外と強い。
しかも、ゴブリン一体食べ終わると
頭?の花がしぼんで豆がなる。
それが弾けて飛び散り、成長してさらに
ピイちゃん達が増える。
……自己増殖してる。
ピイちゃん達の方が魔物みたい……。
マルク義兄様。火炎放射しながら呆然と
するのは危ないのでやめて下さい。
「……アニエス、あれ?なに?」
「……分かりません。見た通り豆です。
偶然の産物で数が多く出るから足止めに
いいかと思ったのですが……」
「足止めどころか圧倒しているな……」
「ええ。本当に……」
「しかも、自然に増えている……エグいな」
「……エグいですね」
「もはや、あいつらの方が魔物だな……」
それ、私も思いました。
「マルク義兄様、火焔熊の方に、セドリック
兄さんの方をお願いしてもいいですか?」
「分かった。危なくなったら叫べよ。
離れる。アニエス、大丈夫だな?」
「はい。こちらは大丈夫です」
そう、返事をしたのにマルク義兄様は
私の周りにファイアーウォールで防護壁を
囲う。もう。過保護です。
炎の壁に守られて少し余裕が出来た。
火焔熊の方を見る。
セドリック兄さんが背中に背負っていた
大剣で火焔熊を一撃で沈める。
うわ!めちゃくちゃ腕が上がっている。
別れた時は火焔熊に苦戦していたのに……。
年月ってすごい。
マルク義兄様は攻撃を電撃に切り替えて
いる。やっぱり、多属性の人は強い。
相手の属性に合わせて攻撃を変えられる。
マルク義兄様も剣を振るう。
電撃の乗った剣を火焔熊の頭に叩き込む。
真っ二つになる火焔熊。
……兄と義兄がカッコいい。
呑気に眺めていたら、応援が到着した。
濃紺の制服。第二騎士団だ!
騎士団長は、うちの長兄。エリック兄さん。
お供は四番目の義兄マシュー義兄様。
エリック兄さん、仕事中だから私を見て
満面の笑顔になるのは、よしなさい。
緊急事態だから!
それにしても騎士団。団長と副団長が
マクドネル卿を除くと全員、兄か義兄。
最初に聞いた時は何かと思った。
こんな片寄った人事でいいのだろうか?
ぼけっとしていたらエリック兄さんが
ピイちゃんに斬りかかっている。
あ、それ、味方だから!
「待て、エリック!それ、味方っぽいぞ。
ゴブリンを捕食してる!」
あ、マシュー義兄様が止めてくれた。
すみません。うちの熊が面倒を。
「エリック兄さん!そのピンクの花の
やつは、私が出したやつなの!
こっちはいいから、兄さんは火焔熊を
なんとかして!」
「あ?これ、魔物じゃないんだ。間違えた。
よし、火焔熊だな!まかせろ」
ドスドスと火焔熊の方へ向かう熊。
魔物に慣れた第二騎士団は強かった。
火焔熊が、どんどん減っていく。
応援が来て落ち着きを取り戻した第三騎士団
の騎士達もゴブリン相手に頑張っている。
成る程、マルク義兄様が逃げろという訳だ。
明らかに第二と第三との実力差がある。
第三は全く魔物と接する機会がない。
市中の治安維持を任務とする。
人、相手の職務。
数百年、魔物の侵入のない王都では
魔物討伐のスキルなんて上げようがない。
ましてや、帝国と開戦して、戦力がそちらに
持って行かれている。
それにカルヴァン団長の負傷も大きい。
平和の意外な代償。
うちの熊兄達が第一、第二、第三に振り
分けられたのはそのせいか。
うちの熊達は魔物討伐のプロだ。
それに義兄達は、子供の時から謎の
『オーウェン地獄のキャンプ』で魔物との
戦闘に慣らされている。
オーウェン様はこういう事態を想定して
いたのかな?
グレン様のグループの他にも何組か
キャンプのメンバーがいると言っていた。
たぶんその人達が中核になって今回の
帝国との戦いに挑んでいるのだろうな。
問題は残された王都。
……王都は魔物に弱い。
この先、大丈夫なのだろうか。
今回の襲撃は被害を出さずに済んだ。
でも、次もこんなに上手くいくとは
思えない。
この『穴』どうにかならないのかな?
大体、どうして『穴』ができるの?
それに魔物。
なんで帝国に使役されているの?
私はあまり良いとは言えない頭を
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