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白竜と再会す
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ピチョン、水滴が首筋に垂れる。
冷た!びっくりして、目を開けると
呆れ顔の黒竜と目が合う。
「あれ?私、また気絶?」
私は黒竜に抱き抱えられている。
あはは。ご迷惑をおかけしたようで。
すみませんね。
「まあ、短い間だけどな。でも、お前。
一人で道を通る時は危ないぞ?
下手をすると怪我をする。今も俺が抱えて
なければ岩に激突だ」
黒竜の視線の先にある大きな岩を見る。
あれとぶっかったら確かに危ないわね。
黒竜が私を地面に下ろしてくれる。
「白竜は?」
以前バルコニーの『穴』から白竜の所に転移
した時はすぐ側に白竜がいたのに。
ここにには白竜がいない。
薄く光る洞窟。
物凄く広い。
黒竜の巣穴に似てる。
「ここは竜体の時に使う巣穴だ」
黒竜が私の顔を見て言う。
やっぱり巣穴なんだ。
竜体の時に使う巣穴という事は人化した
時に使う巣穴がすぐ近くにあるはず。
そこにいるという事なのかな?
黒竜の巣穴は竜の時に使う部屋と
人の姿の時に使う部屋と別れていた。
白竜も同じなのかな。
「白竜は自分の巣穴に封印されたの?」
「ああ、いくつかある巣穴の一つだな。
竜殺しの剣で刺された白竜が逃げ込んだ
場所なんだろうよ。
本来なら生贄はあの神殿の竜神像に
捧げられるはずなんだ。
あの竜神像が防衛結界の魔法陣に繋がって
いるんだよ。
白竜は竜神像に魔力を注ごうとしたところ
を剣で刺されたんだ」
「何でまた王宮の敷地の地下に巣穴が?」
「アホ。巣穴の方が先にあったんだよ。
後から城が建造されたんだ。
前にも言ったろ?竜の巣穴の上には城だの
神殿だのが建ちやすいと。
誰が好き好んで人の建物の下に
巣穴を作るか。鬱陶しい」
そう言う黒竜の巣穴は砦の地下にある。
成る程。そういえば竜の巣穴の上は
ちょとしたパワースポットなんだっけ。
「前に白竜の所に飛ばされた時は目の前に
いたのにね。
ねぇ、封印されて入れないはずの巣穴に
何で私は飛ばされたんだろう?
バルコニーの『穴』は巣穴に繋がって
いるのかな?」
「王宮にある『穴』……やっぱりもぐら
みたいで嫌な呼び方だな。
今、王宮にある『穴』は青竜が作った
ものだろう。
白竜の『穴』や結界に阻まれて目的地
じゃない場所に繋がったりして苦労したと
言っていた。本宮のバルコニーのものは
その失敗作だろう。
本来なら王都郊外の森に出るはずだ」
「じゃあ何で私は白竜の所に飛ばされたの」
「お前が金竜もどきだからだろう。
金竜は結界に左右されない存在。
結界を打ち消す者。
たぶん、お前が王女宮の侍女として勤め
始めた事で王宮の諸々の結界だの道だのが
弛んだり、綻んだり穴が開いたりしたんだ。
お前が侍女になったのは何かの
『運命』なのかもな。
そうじゃなければ、俺や青竜、赤竜が
数百年かけて繋げる事ができなかった
『穴』が急に繋がりだした説明がつかん。
お前はバルコニーの青竜の道に落ちた後、
交差する白竜の道に穴を開けて落ちたんだ。
お前と白竜が遭遇した事は奇跡のようだ。
やっぱり『運命』なんだろう」
え~と、意味が分かんない。
また金竜だから?
もう、知らない。私は人だし!
話しながら歩いていると、
すぐにもっと小さな洞窟に出た。
ぽうっと、赤く光る魔法陣。
鎖に繋がれた白い長い髪の女が見える。
いた!白竜だ。
黒竜が隣で固まっている。
数百年振りの再会。
黒竜の会いたい人。──白竜。
「黒竜?いや、黒竜がこんな所にいるわけが
ないか。幻か。それに……この前のご馳走が
またいる。いい匂い。相変わらず旨そう。
おい、ご馳走。お前元気そうだな?
もう一回、喰らっても良いか?」
白竜が首を傾ける。
……ご馳走って私の事か。
その呼び方は本当にやめて欲しいです。
「シロ!俺だ。クロだよ。分かるか?」
黒竜が白竜に近寄る。
「この幻、変だな?しゃべっている」
いや、幻じゃないし。
そっと黒竜が白竜の顔に手を伸ばし触れる。
愛しそうに顔を撫でる。
白竜はまだきょとんとした顔でいる。
「本当に変な幻だな。温かいし感触もある」
「いや、幻じゃなくて本当に黒竜だ」
「黒竜?」
「そうだ。クロだよ!」
「お前、私の友達か?」
「そうだよ!大事な大事な友達だ。シロ!」
黒竜の頬に涙が流れる。
お腹に剣が刺さっているから抱きしめら
れないのが切ないね。
白竜の顔に頬を寄せて頭を撫でる。
「クロの匂いがする」
うっとりとした顔で白竜が目を閉じる。
「うん。シロの匂いがする」
黒竜は白竜の頬に口付ける。
白竜、やっと本物の黒竜だって理解した?
「今日はいい夢を見た。黒竜がご馳走を
連れてくる夢。いい夢」
……理解してない!
「シロ?……」
黒竜が困惑する。
以前.私と話した時はもう少ししっかりして
いたと思う。
……と言うか黒竜を認識できない?
これって……もしかして。
「黒竜、白竜の手に嵌められている
手枷の内側に何か術式が刻まれていない?」
黒竜が白竜の手枷を確認する。
「細かい術式がびっしりだ。帝国の物だな」
あ~やっぱり。番の認識阻害だ。
黒竜は番じゃないけれど、白竜にとって
特別な存在。支配したい側からすると
邪魔な存在だ。
白竜に嵌められている手枷は、
私に嵌められた奴隷腕輪と同じ物だ。
異性として大切な存在ほど疎ましく感じる。
私はそうだったけれど、白竜は疎ましく
思う前に認識できない。
あの奴隷の腕輪がちゃんと機能していたら
こんな感じだったのだろうか。
嫌だな。ひょっとしたらグレン様を
その存在ごと認識できない可能性も
あった訳だ。
自分の身に置き換えて考えると酷いな。
「くそ!目の前にいるのに。俺の言葉は
シロに届かない。何でだよ!」
黒竜が崩れ落ちる。泣かないで。
黒竜が泣くのは私も辛い。
私にとっては黒竜が大事な友達だ。
「黒竜、白竜を繋いでいる鎖を切ろう!
手枷は時間をかければ私も壊せるし、
アルフォンス様も外せる。
鎖さえ、外せれば白竜を外に連れ出せる。
とりあえず、こんな所に一人で白竜を
置いてはおけない。連れて帰ろう?」
私の言葉に黒竜が顔を上げる。
そう、泣くのは後よ。
いつも泣いてばかりの私が言うのも、
どうかと思うけれど。
「そう……だな」
黒竜は気持ちを切り換えたようで
色々、思案顔だ。
あんまり考え込むとハゲるよ?
「白竜、ちょっと鎖を切るから動かないで」
「なんだ。ご馳走は本物だ。
お前、またここに来たのか?何で呼びも
しないのにお前はここにこれるんだ。
変な奴だな。それに鎖を切ると言うが、
これ固いぞ?」
あ、私の事は認識できるんだ。
鎖に魔力を流しながら剣を取り出し
切りつける。
あ、本当だ。切れない。
黒竜も鎖に魔力を流す。
二人がかりで鎖を切ろうとするけど
切れない!この鎖、何でできてるの!
「くそ!切れない。どうすりゃいいんだ」
「黒竜、鎖が固定されている岩の方を攻撃
してみるから白竜に岩が当たらないように
してくれる?」
「分かった」
「お前、独り言がすごいな。大丈夫か?」
白竜が私に言う。
ガックリ来た。
いや、大丈夫じゃないのはあなたの方です。
気を取り直して剣に魔力を込める。
「黒竜、また肩を貸して!」
黒竜を踏み台にしてジャンプ。
岩に剣を叩きつける。
よし!岩は普通の岩だ。大きな音をたてて
崩れ落ちる。土煙があがる。
視界が晴れるのを待つ。
白竜は黒竜が防衛結界で守ってくれていて
無傷だ。
「派手に壊したな。チビすけ」
「うん。岩は普通の岩で良かったよ」
「でも、鎖はびくともしねぇな。
どうする?これをつけたままシロを
運べるか?」
「黒竜が竜化して運べば?」
「この鎖、俺にも影響がありそうなんだ。
触りたくない。俺までおかしくなったら
まずいだろう」
「あ!ちょっと待った。私が空間収納すれば
いいかも。やってみるね。
白竜、ごめんなさい。
ちょっとだけ我慢して?」
私は白竜を空間収納にしまった。
「お前……赤竜もしまっているんだろ?
大丈夫なのか?」
黒竜が心配そうに尋ねる。
ん~?特に容量的には問題ないけど?
赤竜も白竜もちゃんと中で生きているし。
「特に問題はないけど?」
「お前は本当に……規格外だな。
また、小僧に竜を拾うなとか言われるぞ?」
「あはは!言いそう。失礼しちゃうわ。
拾ってないから!それよりここから
どうやって戻ればいいの?
そこにある『穴』に飛び込めばいい?
この『穴』はどこに繋がっているのかな」
「王都郊外の森だな」
「また、あそこか」
「それより竜体の時に使う巣穴の方に
俺達が通った道があるだろう。もと来た道を
戻るのが普通だろ。きっと小僧達が心配
しながら待っているぞ?」
「そっか。よし早く戻ろう」
黒竜と二人、竜体の巣穴に戻って来る。
「黒竜、『穴』が天井にあるんだけど……
どうやって飛び込めばいいの?
やっぱりジャンプするの?かなり高いよ」
そう、ここの『穴』はかなり上にある。
「お前は小僧を少しは見習え。道を作る
どころか使い方も分からないのか」
「いや、知らないよ。
誰も教えてくれないもん」
「おかしな。教わらなくても自然にできる
はずなんだがな?まあ、いい見てろ」
黒竜が地面に触れる。
すると『穴』が触れた場所に出現する。
あれ?新しい『穴』?いや天井の『穴』が
なくなっている。移動させたのか。
「本来なら触れなくても移動させられ
るんだが、この道は俺のじゃないからな。
仕方がないから、お前には今度、
道の作り方を教えてやるよ。
さあ、行くぞ。どうせまた気を失うんだろ?
最初から抱いて行った方が早いな」
……呆れ気味に言われる。
否定できないのが辛い。ちえっ!
黒竜に抱き上げられて『穴』に飛び込む。
暗転する。
やっぱり、私の意識はそこで途絶えた。
冷た!びっくりして、目を開けると
呆れ顔の黒竜と目が合う。
「あれ?私、また気絶?」
私は黒竜に抱き抱えられている。
あはは。ご迷惑をおかけしたようで。
すみませんね。
「まあ、短い間だけどな。でも、お前。
一人で道を通る時は危ないぞ?
下手をすると怪我をする。今も俺が抱えて
なければ岩に激突だ」
黒竜の視線の先にある大きな岩を見る。
あれとぶっかったら確かに危ないわね。
黒竜が私を地面に下ろしてくれる。
「白竜は?」
以前バルコニーの『穴』から白竜の所に転移
した時はすぐ側に白竜がいたのに。
ここにには白竜がいない。
薄く光る洞窟。
物凄く広い。
黒竜の巣穴に似てる。
「ここは竜体の時に使う巣穴だ」
黒竜が私の顔を見て言う。
やっぱり巣穴なんだ。
竜体の時に使う巣穴という事は人化した
時に使う巣穴がすぐ近くにあるはず。
そこにいるという事なのかな?
黒竜の巣穴は竜の時に使う部屋と
人の姿の時に使う部屋と別れていた。
白竜も同じなのかな。
「白竜は自分の巣穴に封印されたの?」
「ああ、いくつかある巣穴の一つだな。
竜殺しの剣で刺された白竜が逃げ込んだ
場所なんだろうよ。
本来なら生贄はあの神殿の竜神像に
捧げられるはずなんだ。
あの竜神像が防衛結界の魔法陣に繋がって
いるんだよ。
白竜は竜神像に魔力を注ごうとしたところ
を剣で刺されたんだ」
「何でまた王宮の敷地の地下に巣穴が?」
「アホ。巣穴の方が先にあったんだよ。
後から城が建造されたんだ。
前にも言ったろ?竜の巣穴の上には城だの
神殿だのが建ちやすいと。
誰が好き好んで人の建物の下に
巣穴を作るか。鬱陶しい」
そう言う黒竜の巣穴は砦の地下にある。
成る程。そういえば竜の巣穴の上は
ちょとしたパワースポットなんだっけ。
「前に白竜の所に飛ばされた時は目の前に
いたのにね。
ねぇ、封印されて入れないはずの巣穴に
何で私は飛ばされたんだろう?
バルコニーの『穴』は巣穴に繋がって
いるのかな?」
「王宮にある『穴』……やっぱりもぐら
みたいで嫌な呼び方だな。
今、王宮にある『穴』は青竜が作った
ものだろう。
白竜の『穴』や結界に阻まれて目的地
じゃない場所に繋がったりして苦労したと
言っていた。本宮のバルコニーのものは
その失敗作だろう。
本来なら王都郊外の森に出るはずだ」
「じゃあ何で私は白竜の所に飛ばされたの」
「お前が金竜もどきだからだろう。
金竜は結界に左右されない存在。
結界を打ち消す者。
たぶん、お前が王女宮の侍女として勤め
始めた事で王宮の諸々の結界だの道だのが
弛んだり、綻んだり穴が開いたりしたんだ。
お前が侍女になったのは何かの
『運命』なのかもな。
そうじゃなければ、俺や青竜、赤竜が
数百年かけて繋げる事ができなかった
『穴』が急に繋がりだした説明がつかん。
お前はバルコニーの青竜の道に落ちた後、
交差する白竜の道に穴を開けて落ちたんだ。
お前と白竜が遭遇した事は奇跡のようだ。
やっぱり『運命』なんだろう」
え~と、意味が分かんない。
また金竜だから?
もう、知らない。私は人だし!
話しながら歩いていると、
すぐにもっと小さな洞窟に出た。
ぽうっと、赤く光る魔法陣。
鎖に繋がれた白い長い髪の女が見える。
いた!白竜だ。
黒竜が隣で固まっている。
数百年振りの再会。
黒竜の会いたい人。──白竜。
「黒竜?いや、黒竜がこんな所にいるわけが
ないか。幻か。それに……この前のご馳走が
またいる。いい匂い。相変わらず旨そう。
おい、ご馳走。お前元気そうだな?
もう一回、喰らっても良いか?」
白竜が首を傾ける。
……ご馳走って私の事か。
その呼び方は本当にやめて欲しいです。
「シロ!俺だ。クロだよ。分かるか?」
黒竜が白竜に近寄る。
「この幻、変だな?しゃべっている」
いや、幻じゃないし。
そっと黒竜が白竜の顔に手を伸ばし触れる。
愛しそうに顔を撫でる。
白竜はまだきょとんとした顔でいる。
「本当に変な幻だな。温かいし感触もある」
「いや、幻じゃなくて本当に黒竜だ」
「黒竜?」
「そうだ。クロだよ!」
「お前、私の友達か?」
「そうだよ!大事な大事な友達だ。シロ!」
黒竜の頬に涙が流れる。
お腹に剣が刺さっているから抱きしめら
れないのが切ないね。
白竜の顔に頬を寄せて頭を撫でる。
「クロの匂いがする」
うっとりとした顔で白竜が目を閉じる。
「うん。シロの匂いがする」
黒竜は白竜の頬に口付ける。
白竜、やっと本物の黒竜だって理解した?
「今日はいい夢を見た。黒竜がご馳走を
連れてくる夢。いい夢」
……理解してない!
「シロ?……」
黒竜が困惑する。
以前.私と話した時はもう少ししっかりして
いたと思う。
……と言うか黒竜を認識できない?
これって……もしかして。
「黒竜、白竜の手に嵌められている
手枷の内側に何か術式が刻まれていない?」
黒竜が白竜の手枷を確認する。
「細かい術式がびっしりだ。帝国の物だな」
あ~やっぱり。番の認識阻害だ。
黒竜は番じゃないけれど、白竜にとって
特別な存在。支配したい側からすると
邪魔な存在だ。
白竜に嵌められている手枷は、
私に嵌められた奴隷腕輪と同じ物だ。
異性として大切な存在ほど疎ましく感じる。
私はそうだったけれど、白竜は疎ましく
思う前に認識できない。
あの奴隷の腕輪がちゃんと機能していたら
こんな感じだったのだろうか。
嫌だな。ひょっとしたらグレン様を
その存在ごと認識できない可能性も
あった訳だ。
自分の身に置き換えて考えると酷いな。
「くそ!目の前にいるのに。俺の言葉は
シロに届かない。何でだよ!」
黒竜が崩れ落ちる。泣かないで。
黒竜が泣くのは私も辛い。
私にとっては黒竜が大事な友達だ。
「黒竜、白竜を繋いでいる鎖を切ろう!
手枷は時間をかければ私も壊せるし、
アルフォンス様も外せる。
鎖さえ、外せれば白竜を外に連れ出せる。
とりあえず、こんな所に一人で白竜を
置いてはおけない。連れて帰ろう?」
私の言葉に黒竜が顔を上げる。
そう、泣くのは後よ。
いつも泣いてばかりの私が言うのも、
どうかと思うけれど。
「そう……だな」
黒竜は気持ちを切り換えたようで
色々、思案顔だ。
あんまり考え込むとハゲるよ?
「白竜、ちょっと鎖を切るから動かないで」
「なんだ。ご馳走は本物だ。
お前、またここに来たのか?何で呼びも
しないのにお前はここにこれるんだ。
変な奴だな。それに鎖を切ると言うが、
これ固いぞ?」
あ、私の事は認識できるんだ。
鎖に魔力を流しながら剣を取り出し
切りつける。
あ、本当だ。切れない。
黒竜も鎖に魔力を流す。
二人がかりで鎖を切ろうとするけど
切れない!この鎖、何でできてるの!
「くそ!切れない。どうすりゃいいんだ」
「黒竜、鎖が固定されている岩の方を攻撃
してみるから白竜に岩が当たらないように
してくれる?」
「分かった」
「お前、独り言がすごいな。大丈夫か?」
白竜が私に言う。
ガックリ来た。
いや、大丈夫じゃないのはあなたの方です。
気を取り直して剣に魔力を込める。
「黒竜、また肩を貸して!」
黒竜を踏み台にしてジャンプ。
岩に剣を叩きつける。
よし!岩は普通の岩だ。大きな音をたてて
崩れ落ちる。土煙があがる。
視界が晴れるのを待つ。
白竜は黒竜が防衛結界で守ってくれていて
無傷だ。
「派手に壊したな。チビすけ」
「うん。岩は普通の岩で良かったよ」
「でも、鎖はびくともしねぇな。
どうする?これをつけたままシロを
運べるか?」
「黒竜が竜化して運べば?」
「この鎖、俺にも影響がありそうなんだ。
触りたくない。俺までおかしくなったら
まずいだろう」
「あ!ちょっと待った。私が空間収納すれば
いいかも。やってみるね。
白竜、ごめんなさい。
ちょっとだけ我慢して?」
私は白竜を空間収納にしまった。
「お前……赤竜もしまっているんだろ?
大丈夫なのか?」
黒竜が心配そうに尋ねる。
ん~?特に容量的には問題ないけど?
赤竜も白竜もちゃんと中で生きているし。
「特に問題はないけど?」
「お前は本当に……規格外だな。
また、小僧に竜を拾うなとか言われるぞ?」
「あはは!言いそう。失礼しちゃうわ。
拾ってないから!それよりここから
どうやって戻ればいいの?
そこにある『穴』に飛び込めばいい?
この『穴』はどこに繋がっているのかな」
「王都郊外の森だな」
「また、あそこか」
「それより竜体の時に使う巣穴の方に
俺達が通った道があるだろう。もと来た道を
戻るのが普通だろ。きっと小僧達が心配
しながら待っているぞ?」
「そっか。よし早く戻ろう」
黒竜と二人、竜体の巣穴に戻って来る。
「黒竜、『穴』が天井にあるんだけど……
どうやって飛び込めばいいの?
やっぱりジャンプするの?かなり高いよ」
そう、ここの『穴』はかなり上にある。
「お前は小僧を少しは見習え。道を作る
どころか使い方も分からないのか」
「いや、知らないよ。
誰も教えてくれないもん」
「おかしな。教わらなくても自然にできる
はずなんだがな?まあ、いい見てろ」
黒竜が地面に触れる。
すると『穴』が触れた場所に出現する。
あれ?新しい『穴』?いや天井の『穴』が
なくなっている。移動させたのか。
「本来なら触れなくても移動させられ
るんだが、この道は俺のじゃないからな。
仕方がないから、お前には今度、
道の作り方を教えてやるよ。
さあ、行くぞ。どうせまた気を失うんだろ?
最初から抱いて行った方が早いな」
……呆れ気味に言われる。
否定できないのが辛い。ちえっ!
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暗転する。
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それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?
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