刺されて始まる恋もある

神山おが屑

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閑話.side腐頭 麻子

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私の名前は腐頭麻子ふどう あさこ、何を隠そうシロ×クロ見守り隊の隊長である。

小学校では「頭が腐ってる」と良くバカにされて小さい頃は腐頭という苗字が嫌いだった。
そんな私が中学の時、BLに出会ったことで人生が一転した。

私の人生がBL一色に染まって、腐女子となってからは「頭が腐ってる」は褒め言葉となった。

高校の頃からバイト代は全てBL関係に費やし、あらゆるBL関係のSNSに現れては、気づけば腐女子界隈でそれなりに有名な存在となっていた。

中でも私の身の周りで見た男たちを脳内でカップリングしてはSNSに投稿する「腐頭妄想日記」のフォロワー数は人気芸能人に負けないくらいだ。

そしてここ最近の腐頭妄想日記の内容はほぼ一つのカップリングが占めている。
言わずもがな私の通う大学の話題の中心城田雪人と黒川月兎の通称シロ×クロ コンビである。

私はBLの中でもイケメン×平凡が大好物で腐頭妄想日記の半分程を占めている。

ついこの前までは花岡誠×黒川月兎で妄想をしていたのだが、二人を見つめていて気がついたのだ同じく二人を見つめる城田雪人、、、シロ様の存在に。
無論腐頭妄想日記ではハナ・シロ×クロの三角関係の妄想を書きまくっていた。

おそらくシロ様とクロ様のファーストコンタクトであろう現場を目撃した日の腐頭妄想日記はそれはそれは盛り上がった。
だが次に大学に行った日、妄想日記が現実になっていた時はもはや天にも登る気分だった。

一体何があったのかその日を境に二人は急接近し大学の校門で抱き合ってからはシロ×クロ信者が一気に大学内で増えた。

シロ様は雪の王子と呼ばれるほど誰に対しても愛想が悪いのにクロ様といる時だけはずっと優しい顔をしている。
クロ様の居ないところでは雪の王子に逆戻りしていて、誰の目から見てもシロ様がベタ惚れなのは火を見るより明らかだった。

腐頭妄想日記のおかげでシロ×クロの第一人者と認識されていた私は、あれよあれよというちにシロ×クロ見守り隊の隊長となっていた。

ちなみに少数派のクロ×シロ見守り隊なるものも存在するるしいが、二人の観察が足りないと言わざるをえない。
まぁBL妄想の世界ではあらゆる妄想が許容されるので放っておくが、決して相容れることは無いだろう。


二人の大学内での動向は常に私の元へ集まってくるもはや大学の一大組織となったシロ×クロ見守り隊の隊員達の誰かが常に二人を見守っている。
その集まった情報を元に私が腐頭妄想日記を広報誌代わりに更新しているのだ。

たまに大学の外での目撃情報も入って来るが映画館の時の話を聞いた時は鼻血が止まらなかった。



その事件は突然起こった。
クロ様が刺されたという話は見守り隊関係なく瞬く間に大学中で広まり、名前は出なかったものの全国ニュースにもなった。

私も自分が許せなかった、変な女がいることはちょくちょく報告されていたのに、男同士にしか興味が無さすぎて放置してしまっていた。
決して同じ過ちを繰り返さないと心に誓った。

なんとかクロ様は助かったもののシロ様はクロ様の入院中、大学にいる間心を閉ざしていた。
クロ様と仲良くする前の雪の王子よりも冷たい空気をまとい吹雪の王子と呼ばれる程だった。

唯一花岡くんと話す時だけ少し雰囲気が和らぐがクロ様に対する雰囲気とは程遠かった。

クロ様が退院して初めての登校日、クロ様の隣を歩くシロ様は吹雪とは程遠い太陽のような眩しい微笑みだった。

それだけではなく明らかにクロ様を見る目が変わっていた。
完全に愛する人を見る目だった。
クロ様はそんなシロ様の目には全く気付かず階段で差し出したシロ様の手を恥ずかしそうに断っていた。

シロ様の氷河期を知っている私達は見守らなければならないのに、ついクロ様を睨みつけてしまった。

まぁ結果としてクロ様はシロ様の手を受け入れていたので良しとしよう。

シロ様とクロ様が別れたのを見届け、私はさっきまでのことを腐頭妄想日記にまとめていると、突然隊員が駆け込んできた。

「た、大変です!シロ様とクロ様、同棲しています!」

私は椅子が飛んでいく勢いで立ち上がる。

「確かな情報なの?」

「花岡さんと話しているのを聞きました、間違いありません!」

そこまで二人は進んでいるのか、入院中に一体何があったのか、、、

時間を置かずに別の隊員が駆け込んでくる

「シロ様が毎朝起こして、ご飯を作り、頭を乾かしてくれてそれがとてつもなく気持ちいいとクロ様が!」

「すると同棲というのは本当だったのね」

「はい、ただクロ様はルームシェアだと言い張ってましたが。」

なるほど、シロ様が心配してルームシェアを申し出たといった所か、どうやらシロ様が本気で攻め始めたみたいだ。

更に数少ない男性の隊員が駆け込んでくる

「今度は何?」

「ク、クロ様が、、このままだとシロ様無しじゃダメになるかもしれないと」

今日の妄想日記はものすごいボリュームになってしまいそうだ。
どうやらクロ様もシロ様を意識し始めたらしい。
これは本物のカップルになる日もそう遠くはないのかもしれない。



どちらにせよ皆の気持ちは同じ、もう二度とシロ様にあんな悲しそうな吹雪の王子に戻って欲しくは無い。

二人の幸せの為に私達は今日も二人を見守り続ける。

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