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お店は城田が選ぶことになり、オシャレなカフェに来ていた。
大学からさほど遠くない場所にあるカフェで何度か前を通る時、外観がオシャレだなーと思いつつ入ることはなかった場所だ。
外観と違わず内観も焦げ茶に塗られた木を基調としたオシャレなカフェだった。
だが城田曰く、学生街故か食事の種類も充実しており量も多く値段も良心的な店だという。
よく一人で来ているそうで、さぞ絵になることだろうことが容易に想像が着く。
とりあえず俺は城田のオススメだというオムライス、城田はサンドイッチを頼んだ。
注文をして数十秒、二人の間には沈黙が流れた。
普段は花岡が勝手に話し始めるので気にしたことがなかったが口下手同士だとこうなるのか。
とにかく無理やりにでも話し始めるしかない。
「アレだな、いっつも花岡と飯に行ってもハンバーガーや牛丼のチェーン店とかファミレスで、こういうお店なかなか来ないから新鮮だな。」
「この間も言ってたがその花岡って奴と随分仲がいいんだな」
てっきりお店の方に話が広がると思っていたのにまさかの花岡?
というか何故か無表情なのが怖い、その無表情のせいで友達できないのでは?
「えと、そうだな大学には地元の友達とかも居ないから花岡が一番仲のいい友達かな。
あ、そうだ今度は花岡も誘って一緒にご飯でも、」
なぜだろう顔が険しくなっていくような気のせいだろうか。
「そうだなぜひ会ってみたいな」
今度は笑顔だが何かいつもの笑顔と種類が違う気がする。
きっと気のせいだろう、まだ城田のことよく知らないし表情をくみ取れるほどではないのだと思う、、、多分。
まだ少しぎこちないが少しずつ話しやすくなっている気はする。
とりとめのない話をしているとすぐに料理が運ばれてきた。
サンドイッチは色んな種類があって量もひと皿で充分そうな量だった。
オムライスはフワフワのタイプでとても美味しそうだ。
一口食べるとあまりの美味しさに自然と笑顔になる。
城田がオススメするだけあってめっちゃ美味しい。
「めっちゃくちゃ美味しいフワトロで今まで食べたオムライスで1番かも」
「喜んで貰えて良かった。美味しそうに食べるんだな」
優しい笑顔で言われまたドキッとする。
やっぱりさっきと違う気がする。ずっとその笑顔でいればいいのに。
ドキドキを誤魔化すようにオムライスを口に入れる。
ふと城田がサンドイッチのひとつをつまんで少し顔をしかめた。
「どうかした?」
「あ、いやなんでも」
とは言うもののやはり手は止まったままだ、もしかして
「何か嫌いなものでも入ってた?」
城田が分かりやすくビクっと肩を揺らす。
しばらくして観念したようにはぁとため息を吐く。
「実はトマトが少し苦手で、ケチャップとか火を通したら大丈夫なんだけど」
どうやら生のトマトが苦手らしい。いつもは抜いてもらうらしいが、今日は俺がいる手前言い出せなかったそうだ。
城田の以外と可愛い一面を知れて少し嬉しくなる。
「嫌いなものくらい誰だって有るよ。俺は納豆がどうも苦手で」
城田が少し驚いたように微笑みながら礼を言う。
、、、、眩しい。
なんでも以前「その顔でトマトが嫌いとかマジか」と笑われたらしい。
「なんだそいつ、会ったら俺がガツンと言ってやる、、、多分実際会ったら城田の後ろに隠れそうだけど」
「フフ、ありがとう、誰かが俺のために怒ってくれるってこんなに嬉しいんだな」
ムッとして言った一言に、またあの眩しい笑顔が帰ってきた。
、、、身が持たぬ。
「そのトマトのサンドイッチ良かったら食べるよ」
誤魔化すように提案すると照れたようにありがとうとサンドイッチを顔の前に差し出すので、俺は無意識にサンドイッチを口に入れる。
、、入れて気がついた。これはいわゆるアーンではなかろうかと。
周りから視線を感じ、顔が一気に赤くなるのを感じる。
「ご、ごめん普通手で受け取るよな、顔の前に出されたからつ、つい」
俺が焦って弁明をしたが城田はあまり聞いていないどころか、
「なんか癖になりそう」
照れたように恐ろしいことをのたまっている。
半分をアーンで食べてしまったが残りはちゃんと自分の手で食べると城田が少し残念そうにしている。
ダメだ城田に変な扉を開けさせては!
それから何度かサンドイッチをアーンしようとする城田を量が多いからと断りながら完食してそろそろ出ようかという時
「いらっしゃいませ。1名様ですね?カウンター席ならすぐにご案内出来ますが、よろしいでしょうか?」
カランカランと見せの扉につけられたベルが鳴り誰か入ってきたようだが俺からは背中側なので見えない、向かいに座る城田からは入ってきた人が見えるのだろう。
さっきまでの笑顔はそこになく険しい表情に変わる。
気になって振り向くと、
金曜日に城田に詰め寄っていた女の姿があった。
大学からさほど遠くない場所にあるカフェで何度か前を通る時、外観がオシャレだなーと思いつつ入ることはなかった場所だ。
外観と違わず内観も焦げ茶に塗られた木を基調としたオシャレなカフェだった。
だが城田曰く、学生街故か食事の種類も充実しており量も多く値段も良心的な店だという。
よく一人で来ているそうで、さぞ絵になることだろうことが容易に想像が着く。
とりあえず俺は城田のオススメだというオムライス、城田はサンドイッチを頼んだ。
注文をして数十秒、二人の間には沈黙が流れた。
普段は花岡が勝手に話し始めるので気にしたことがなかったが口下手同士だとこうなるのか。
とにかく無理やりにでも話し始めるしかない。
「アレだな、いっつも花岡と飯に行ってもハンバーガーや牛丼のチェーン店とかファミレスで、こういうお店なかなか来ないから新鮮だな。」
「この間も言ってたがその花岡って奴と随分仲がいいんだな」
てっきりお店の方に話が広がると思っていたのにまさかの花岡?
というか何故か無表情なのが怖い、その無表情のせいで友達できないのでは?
「えと、そうだな大学には地元の友達とかも居ないから花岡が一番仲のいい友達かな。
あ、そうだ今度は花岡も誘って一緒にご飯でも、」
なぜだろう顔が険しくなっていくような気のせいだろうか。
「そうだなぜひ会ってみたいな」
今度は笑顔だが何かいつもの笑顔と種類が違う気がする。
きっと気のせいだろう、まだ城田のことよく知らないし表情をくみ取れるほどではないのだと思う、、、多分。
まだ少しぎこちないが少しずつ話しやすくなっている気はする。
とりとめのない話をしているとすぐに料理が運ばれてきた。
サンドイッチは色んな種類があって量もひと皿で充分そうな量だった。
オムライスはフワフワのタイプでとても美味しそうだ。
一口食べるとあまりの美味しさに自然と笑顔になる。
城田がオススメするだけあってめっちゃ美味しい。
「めっちゃくちゃ美味しいフワトロで今まで食べたオムライスで1番かも」
「喜んで貰えて良かった。美味しそうに食べるんだな」
優しい笑顔で言われまたドキッとする。
やっぱりさっきと違う気がする。ずっとその笑顔でいればいいのに。
ドキドキを誤魔化すようにオムライスを口に入れる。
ふと城田がサンドイッチのひとつをつまんで少し顔をしかめた。
「どうかした?」
「あ、いやなんでも」
とは言うもののやはり手は止まったままだ、もしかして
「何か嫌いなものでも入ってた?」
城田が分かりやすくビクっと肩を揺らす。
しばらくして観念したようにはぁとため息を吐く。
「実はトマトが少し苦手で、ケチャップとか火を通したら大丈夫なんだけど」
どうやら生のトマトが苦手らしい。いつもは抜いてもらうらしいが、今日は俺がいる手前言い出せなかったそうだ。
城田の以外と可愛い一面を知れて少し嬉しくなる。
「嫌いなものくらい誰だって有るよ。俺は納豆がどうも苦手で」
城田が少し驚いたように微笑みながら礼を言う。
、、、、眩しい。
なんでも以前「その顔でトマトが嫌いとかマジか」と笑われたらしい。
「なんだそいつ、会ったら俺がガツンと言ってやる、、、多分実際会ったら城田の後ろに隠れそうだけど」
「フフ、ありがとう、誰かが俺のために怒ってくれるってこんなに嬉しいんだな」
ムッとして言った一言に、またあの眩しい笑顔が帰ってきた。
、、、身が持たぬ。
「そのトマトのサンドイッチ良かったら食べるよ」
誤魔化すように提案すると照れたようにありがとうとサンドイッチを顔の前に差し出すので、俺は無意識にサンドイッチを口に入れる。
、、入れて気がついた。これはいわゆるアーンではなかろうかと。
周りから視線を感じ、顔が一気に赤くなるのを感じる。
「ご、ごめん普通手で受け取るよな、顔の前に出されたからつ、つい」
俺が焦って弁明をしたが城田はあまり聞いていないどころか、
「なんか癖になりそう」
照れたように恐ろしいことをのたまっている。
半分をアーンで食べてしまったが残りはちゃんと自分の手で食べると城田が少し残念そうにしている。
ダメだ城田に変な扉を開けさせては!
それから何度かサンドイッチをアーンしようとする城田を量が多いからと断りながら完食してそろそろ出ようかという時
「いらっしゃいませ。1名様ですね?カウンター席ならすぐにご案内出来ますが、よろしいでしょうか?」
カランカランと見せの扉につけられたベルが鳴り誰か入ってきたようだが俺からは背中側なので見えない、向かいに座る城田からは入ってきた人が見えるのだろう。
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