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日曜日、今日は城田と一緒にお出掛けすることになった。
予定では、買い物、映画、食事と予定だけ聞けば完全なデートである。
というより実際城田と話し合ってデートをすることになった、、、と言ってもデートのふりだが。
ここ最近俺達は大学内で時間があれば一緒にいる。普通に城田との時間は心地良い。
時々花岡も一緒になることもあるが、合コンに行き過ぎて課題が溜まっているらしく少し会う時間は減っている。
一度やたら鼻息の洗い女子の集団に、「花岡くんと城田くんどっちを選ぶのか」と詰め寄られた。
鈍い俺でも分かる。これは間違いなく友達以上の関係でどっちを選ぶかということだろう。
全力で「どっちともそういう関係じゃない!」と否定したかったが、否定したことが拡まれば例のストーカー女の耳にも入ってしまう可能性がある。
迷った結果俺の出した答えは「どっちも俺にとっては大事な存在だ。」だった。
無論2人とも友達として大事な存在に変わりないので嘘では無い。
女の子達はキャーと黄色い声を上げながら俺を放って自分たちの世界に入り込んでどこかへ去っていった。
今頃どこまで噂がひろまってしまっているのか聞くのも恐ろしい。
だが、その噂も少し効果があった。
城田の鞄に「嘘だって信じてたのに!」と激しめの文字で書かれた紙が入っていたらしい。
書かれていたのはそれだけで名前も何も無かったが誰が書いたかは明らかだ。
しかもここ最近は大学が休みの日まで女につけられていることもあるという。
そういえば俺達は大学でこそいつも一緒だが、休みの日に一緒に出掛けたことは無かったことに気がつく。
そこで俺から今度の休みに一緒に遊びに行かないか、しかもどうせならとびきりデートっぽくして女に見せつけようと提案したのだ。
最初はあまり刺激すると危ないからと城田は渋っていたが、「城田と一緒に行きたい」と言ったら顔を赤らめて了承した。
何故顔を赤らめるのか分からないが、もしかしたら友達が居ないと言っていたからこういう休日遊びに行くというイベントに憧れていたのかもしれない。
そんな訳で、今俺は普段なら絶対来ないであろうオシャレな服屋さんに来ている。
城田がせめて普段から恋人のフリをさせて迷惑をかけているからと服をプレゼントしたいと言われた。
今度は俺が渋る番だったが危ないことをさせてるんだからこれくらいさせて欲しいと譲らなかった。
まぁ服くらいならと軽い気持ちで了承したことを後悔した。
てっきり俺がいつも行っているような大手チェーン店で買うのだと思っていたのだが、かなりオシャレなお店に来てしまいかなり気後れしている。
城田は普段から何を着ても似合うからあまり意識していなかったが、モデルの仕事をしているのだから城田の通う服の店も安さが売りのチェーン店なわけが無かった。
店員が城田を見てすっ飛んできたが今日は友達の服を自分で選びたいからと断っていた。
俺的には服屋で店員さんに対応されるのは気後れするので助かった。
「黒川はどんなのが好みなんだ?」
「えっと、俺そんなに拘りないから城田のセンスに任せるよ。」
「そうか?黒川はスタイルもいいし結構なんでも似合いそうだ。」
なんだか嬉しそうに俺の服を選んでくれる城田に
普段は安いのを適当に選んで買ってます。とは言えず、何気なく目の前にあった服の値札を確認して目玉が落ちそうになる。
「5万円!あ、あの城田、あまり高いのはちょっと、、、」
「これなんか黒川の雰囲気にあってる気がする」
城田が持ってきたのは淡い青色のドロップショルダーの7分丈で袖口と首元にチェック柄の入ったTシャツだった。
たしかに俺が来ても違和感のなさそうなカジュアルな服だが問題は、、俺はそっと値札を確認すると4700円程だった。
どうやら値段もピンキリらしい。といっても俺がいつも買っているTシャツの2倍程しているが。
「お礼なんだから気にするな、遠慮しないで受け取って?」
城田は俺が値段のことを気にしていることに気づいたらしく、俺に微笑みながら言った。
、、、眩しい。
気遣いもできるイケメン、弱点はないのか。
城田のイケメンオーラに気圧されて俺は頷いてしまった。
結局、城田はいくつか俺の体に当ててさっきのTシャツと合わせて2つの服、1万円相当を買っていた。
普段の俺からしたらだいぶ高い買い物だ。
今度城田にも同じくらい返さないと、と心に決めた。
予定では、買い物、映画、食事と予定だけ聞けば完全なデートである。
というより実際城田と話し合ってデートをすることになった、、、と言ってもデートのふりだが。
ここ最近俺達は大学内で時間があれば一緒にいる。普通に城田との時間は心地良い。
時々花岡も一緒になることもあるが、合コンに行き過ぎて課題が溜まっているらしく少し会う時間は減っている。
一度やたら鼻息の洗い女子の集団に、「花岡くんと城田くんどっちを選ぶのか」と詰め寄られた。
鈍い俺でも分かる。これは間違いなく友達以上の関係でどっちを選ぶかということだろう。
全力で「どっちともそういう関係じゃない!」と否定したかったが、否定したことが拡まれば例のストーカー女の耳にも入ってしまう可能性がある。
迷った結果俺の出した答えは「どっちも俺にとっては大事な存在だ。」だった。
無論2人とも友達として大事な存在に変わりないので嘘では無い。
女の子達はキャーと黄色い声を上げながら俺を放って自分たちの世界に入り込んでどこかへ去っていった。
今頃どこまで噂がひろまってしまっているのか聞くのも恐ろしい。
だが、その噂も少し効果があった。
城田の鞄に「嘘だって信じてたのに!」と激しめの文字で書かれた紙が入っていたらしい。
書かれていたのはそれだけで名前も何も無かったが誰が書いたかは明らかだ。
しかもここ最近は大学が休みの日まで女につけられていることもあるという。
そういえば俺達は大学でこそいつも一緒だが、休みの日に一緒に出掛けたことは無かったことに気がつく。
そこで俺から今度の休みに一緒に遊びに行かないか、しかもどうせならとびきりデートっぽくして女に見せつけようと提案したのだ。
最初はあまり刺激すると危ないからと城田は渋っていたが、「城田と一緒に行きたい」と言ったら顔を赤らめて了承した。
何故顔を赤らめるのか分からないが、もしかしたら友達が居ないと言っていたからこういう休日遊びに行くというイベントに憧れていたのかもしれない。
そんな訳で、今俺は普段なら絶対来ないであろうオシャレな服屋さんに来ている。
城田がせめて普段から恋人のフリをさせて迷惑をかけているからと服をプレゼントしたいと言われた。
今度は俺が渋る番だったが危ないことをさせてるんだからこれくらいさせて欲しいと譲らなかった。
まぁ服くらいならと軽い気持ちで了承したことを後悔した。
てっきり俺がいつも行っているような大手チェーン店で買うのだと思っていたのだが、かなりオシャレなお店に来てしまいかなり気後れしている。
城田は普段から何を着ても似合うからあまり意識していなかったが、モデルの仕事をしているのだから城田の通う服の店も安さが売りのチェーン店なわけが無かった。
店員が城田を見てすっ飛んできたが今日は友達の服を自分で選びたいからと断っていた。
俺的には服屋で店員さんに対応されるのは気後れするので助かった。
「黒川はどんなのが好みなんだ?」
「えっと、俺そんなに拘りないから城田のセンスに任せるよ。」
「そうか?黒川はスタイルもいいし結構なんでも似合いそうだ。」
なんだか嬉しそうに俺の服を選んでくれる城田に
普段は安いのを適当に選んで買ってます。とは言えず、何気なく目の前にあった服の値札を確認して目玉が落ちそうになる。
「5万円!あ、あの城田、あまり高いのはちょっと、、、」
「これなんか黒川の雰囲気にあってる気がする」
城田が持ってきたのは淡い青色のドロップショルダーの7分丈で袖口と首元にチェック柄の入ったTシャツだった。
たしかに俺が来ても違和感のなさそうなカジュアルな服だが問題は、、俺はそっと値札を確認すると4700円程だった。
どうやら値段もピンキリらしい。といっても俺がいつも買っているTシャツの2倍程しているが。
「お礼なんだから気にするな、遠慮しないで受け取って?」
城田は俺が値段のことを気にしていることに気づいたらしく、俺に微笑みながら言った。
、、、眩しい。
気遣いもできるイケメン、弱点はないのか。
城田のイケメンオーラに気圧されて俺は頷いてしまった。
結局、城田はいくつか俺の体に当ててさっきのTシャツと合わせて2つの服、1万円相当を買っていた。
普段の俺からしたらだいぶ高い買い物だ。
今度城田にも同じくらい返さないと、と心に決めた。
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