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7.side城田雪人
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「黒川月兎、20歳、血圧低下、脈拍130、外傷による出血性ショック、すぐにオペの用意!
申し訳ありませんがあなたはここまでで、」
黒川はすぐに救急車で運ばれた。付き添いで俺も病院まで着いてきて手術室に運ばれる姿を見送る。
俺は何も出来ずただ立ちすくむしかなかった。
俺はバカだ黒川があんな事になるまで自分の気持ちが分からないなんて、黒川が死んだら俺はどうやって生きていけばいいかも分からない。
それほどまでに俺は黒川のことが、、
「城田、城田!」
どれくらいその場に居たのか、名前を何度も呼ばれて我に返る。
俺を呼んでいたのは花岡だった。
現場は黒川のバイト先から離れておらず、黒川が刺されたことを知ったバイト先のオーナーが甥っ子である花岡に連絡したらしい。
「お前その血大丈夫か?」
言われて初めて気が付いた俺の服は黒川の血が大量について居た。
全て黒川の血であることを告げると花岡は苦しそうに顔をしかめた後、サークルで使ったジャージを貸してくれた。
手に着いていた血を洗って花岡のジャージに着替えた後、花岡と黒川の手術が終わるのを待つ。
「月兎なら大丈夫だ、絶対!あいつが死ぬわけないだろ」
花岡が無理やり作っているのがすぐに分かる笑顔で俺の肩を叩く。
花岡は強いな、最悪のことばかり考えて立ちすくむしか出来なかった自分が情けない。
思えば初めて会話したあの時から、俺が黒川に持っている感情を花岡には見透かされていたのだろう。
「俺は、黒川が好きだ。」
俺が呟いた言葉に花岡が驚いた顔でこっちをふり向く。
「バカだよな、こんな状況になって初めて自分の気持ちに気付くなんて」
俺の言葉に花岡は悲しそうな顔をしてしばらく黙っていたがそっと俺の肩に手を置き、
「なら、余計に月兎は死ぬ訳にはいかないな」
と優しい声で呟いた。
どれくらい経ったのか、永遠にも一瞬にも感じられた待ち時間が終わり手術服を着た医者が出てきた。
「ご家族の方ですか?」
医者の問いに花岡が答える。
「いえ、友人です。黒川の家族は遠いのでまだ来れてません、黒川は?無事ですか?」
「場所が良かったので大事には至りませんでした。今は出血も止まり状態も安定しています。
まだ楽観は出来ませんが、一命は取り留めました。」
良かった、本当に良かった。
医者の言葉を聞いて花岡も崩れ落ちながら良かったとつぶやく。
強がってはいたが心配でたまらなかったようだ。
黒川が心を許すのも分かる本当に良い奴だ。
とりあえずその日は黒川は集中治療室で様子を見るらしく面会はできないので一度着替えるためにも家に帰ろうとしたところ、年配の男女二人と、高校生くらいの女の子が深夜の病院に駆け込んできた。
「月兎!黒川月兎は?大丈夫なんですか?」
受付に大きな声をあげる男性に俺と花岡は顔を見合せ、急いで駆け寄る。
「あの、黒川のご家族の方ですか?俺達黒川の友人です、安心してください黒川ならさっき手術が終わって安定してるそうです。」
花岡の言葉に良かったと崩れ落ちる三人
、、、俺はこの人達に真っ先に言わなければならないことがある。
「申し訳ありませんでした。
息子さんが刺されたのは俺のせいです。
俺が黒川を巻き込んだから。
本当に申し訳ありませんでした。」
俺は病院の床に正座をして頭を地面につけ土下座をする。
黒川の両親とおそらく妹であろう三人は驚いたように顔を見合せる。
そして黒川の父親が代表して俺の肩を叩く。
「頭上げてくれ、君は怪我は無いんか?何があったんかはよう分からんけど。
きっと月兎も君が無事なら良かった思っとるはずや。
もし悪いと思うんやったら自分を責めんと、これからも月兎と仲良くしてやってくれ。」
その言葉に黒川の母親と妹もウンウンと頷く。
黒川があんなに優しい人間に育った理由が分かる。
俺は黒川が運ばれてから溜め込んでいた涙が溢れ出るように涙を流しながらお礼と謝罪を繰り返した。
そしてそれに黒川の家族も、もらい泣きし、何故か花岡も鼻をすすり始め、深夜の病院の受付で男女五人が止められるまで抱き合って泣いていた。
申し訳ありませんがあなたはここまでで、」
黒川はすぐに救急車で運ばれた。付き添いで俺も病院まで着いてきて手術室に運ばれる姿を見送る。
俺は何も出来ずただ立ちすくむしかなかった。
俺はバカだ黒川があんな事になるまで自分の気持ちが分からないなんて、黒川が死んだら俺はどうやって生きていけばいいかも分からない。
それほどまでに俺は黒川のことが、、
「城田、城田!」
どれくらいその場に居たのか、名前を何度も呼ばれて我に返る。
俺を呼んでいたのは花岡だった。
現場は黒川のバイト先から離れておらず、黒川が刺されたことを知ったバイト先のオーナーが甥っ子である花岡に連絡したらしい。
「お前その血大丈夫か?」
言われて初めて気が付いた俺の服は黒川の血が大量について居た。
全て黒川の血であることを告げると花岡は苦しそうに顔をしかめた後、サークルで使ったジャージを貸してくれた。
手に着いていた血を洗って花岡のジャージに着替えた後、花岡と黒川の手術が終わるのを待つ。
「月兎なら大丈夫だ、絶対!あいつが死ぬわけないだろ」
花岡が無理やり作っているのがすぐに分かる笑顔で俺の肩を叩く。
花岡は強いな、最悪のことばかり考えて立ちすくむしか出来なかった自分が情けない。
思えば初めて会話したあの時から、俺が黒川に持っている感情を花岡には見透かされていたのだろう。
「俺は、黒川が好きだ。」
俺が呟いた言葉に花岡が驚いた顔でこっちをふり向く。
「バカだよな、こんな状況になって初めて自分の気持ちに気付くなんて」
俺の言葉に花岡は悲しそうな顔をしてしばらく黙っていたがそっと俺の肩に手を置き、
「なら、余計に月兎は死ぬ訳にはいかないな」
と優しい声で呟いた。
どれくらい経ったのか、永遠にも一瞬にも感じられた待ち時間が終わり手術服を着た医者が出てきた。
「ご家族の方ですか?」
医者の問いに花岡が答える。
「いえ、友人です。黒川の家族は遠いのでまだ来れてません、黒川は?無事ですか?」
「場所が良かったので大事には至りませんでした。今は出血も止まり状態も安定しています。
まだ楽観は出来ませんが、一命は取り留めました。」
良かった、本当に良かった。
医者の言葉を聞いて花岡も崩れ落ちながら良かったとつぶやく。
強がってはいたが心配でたまらなかったようだ。
黒川が心を許すのも分かる本当に良い奴だ。
とりあえずその日は黒川は集中治療室で様子を見るらしく面会はできないので一度着替えるためにも家に帰ろうとしたところ、年配の男女二人と、高校生くらいの女の子が深夜の病院に駆け込んできた。
「月兎!黒川月兎は?大丈夫なんですか?」
受付に大きな声をあげる男性に俺と花岡は顔を見合せ、急いで駆け寄る。
「あの、黒川のご家族の方ですか?俺達黒川の友人です、安心してください黒川ならさっき手術が終わって安定してるそうです。」
花岡の言葉に良かったと崩れ落ちる三人
、、、俺はこの人達に真っ先に言わなければならないことがある。
「申し訳ありませんでした。
息子さんが刺されたのは俺のせいです。
俺が黒川を巻き込んだから。
本当に申し訳ありませんでした。」
俺は病院の床に正座をして頭を地面につけ土下座をする。
黒川の両親とおそらく妹であろう三人は驚いたように顔を見合せる。
そして黒川の父親が代表して俺の肩を叩く。
「頭上げてくれ、君は怪我は無いんか?何があったんかはよう分からんけど。
きっと月兎も君が無事なら良かった思っとるはずや。
もし悪いと思うんやったら自分を責めんと、これからも月兎と仲良くしてやってくれ。」
その言葉に黒川の母親と妹もウンウンと頷く。
黒川があんなに優しい人間に育った理由が分かる。
俺は黒川が運ばれてから溜め込んでいた涙が溢れ出るように涙を流しながらお礼と謝罪を繰り返した。
そしてそれに黒川の家族も、もらい泣きし、何故か花岡も鼻をすすり始め、深夜の病院の受付で男女五人が止められるまで抱き合って泣いていた。
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