セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

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本編

82話 合戦に向けて その8

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「うむ、美味かった・・・」

ホイップクリームをたっぷりと乗せ、メープルシロップを贅沢に垂らしかけ、干し果物もふんだんに振りかけられたスフレを三口ほどで平らげたクロノスが満足そうに一息ついて茶に手を伸ばす、

「速いわねー・・・」

斜めに睨むユーリとソフィア、

「そりゃな、この程度ではな」

フフンと微笑むクロノス、そりゃそうだろうなとタロウも呆れたように苦笑する、今日のスフレは昨日のよりも二回りほど小さくなっているように思う、いや、恐らくであるが王国民の感覚に合わせると昨日のそれが大きすぎたのであろう、タロウの記憶にあるスフレパンケーキは大変に大きい、それこそ有名店の品ともなればその大きさを競っているのであろうかと思われる程で、昨日の指導中にもソフィアらは大きすぎると難色を示していた、それはどうとでも好きにすればいいよとタロウは助言し、実際にそうなっているようで、まぁ菓子として、またあくまで茶請けとして提供するのであればこの程度だよなという大きさになりつつあるようである、そしてそれはやはり女性向けの大きさとなる、クロノスにとっては小さすぎたのであろう、タロウにしても少しこじんまりしてしまっているなと感じられるのは致し方ない所であった、

「しかし、あれだな、なんだ、この甘い樹液か・・・そのままの名前だが、こりゃ美味いな」

クロノスが皿に残ったメープルシロップをスプーンで掬って口に運ぶ、

「だな、なかなかだろ?」

ニヤリと微笑むタロウ、

「そうなのー、ミナも、好きー」

ニマーとクロノスを見上げるミナ、

「そうね、上品な甘さねー」

寝台でスフレを楽しむパトリシアもウフフと笑顔であった、

「ゲインもケチよねー、もっと早く教えてくれればいいのさー」

ユーリがたっぷりのホイップクリームとメープルシロップに塗れたスフレを口に運んだ、すっかり病み付きの様子である、

「・・・ゲインって、あの大男?」

フッと顔を上げるパトリシア、

「そうなんですよ、田舎の名物というか、定番の甘味だそうで、ゲインとルルさんの故郷ですね」

ソフィアが代表して答える、

「まぁ、そうなの・・・あの男もねー、口を利けるとは聞いたけど、一切喋らないのはどういう事かしら、失礼どころではないわよねー」

フンッと鼻息を荒くするパトリシアである、あーそれはなーと苦笑するしかない面々、

「まぁ、ですから・・・そろそろね、冬の終わりから春先にかけて収獲するらしいので、そうしたら大量に買ってくればいいですよ、ゲインも売れるなら売りたいとは言ってましたから」

タロウがニコリと微笑む、

「そう・・・それは嬉しいけど、あっ、あれよ、カシアでしたか?ほら、生徒さんの誰でしたか・・・」

「サレバさんとコミンさんですか?」

「そっ、その子達、あのカシアもね、どうかしら手に入る?」

「あー・・・どうなんでしょう?」

ソフィアがタロウをうかがい、タロウもウーンと首を傾げる、

「あれもね、分けてもらったのを頂いたけど、無いとなると欲しくなるのよねー」

フスーと鼻息を吐き出すパトリシア、そうなるだろうなーとほくそ笑むタロウ、カシアとはシナモンである、あの独特の香りと風味は人を虜にするもので、そっか、それもあったなと思い出すタロウ、

「では、彼女達の村にも転送陣を設置しましょうか、正式な流通や大量生産はすぐすぐには難しいでしょうけど、あれもこれ同様売れる品ではありますね、それも高値になるでしょうね・・・まぁ、サレバさんの実家がそれを望むかどうかですけど・・・サレバさんの様子をみる限り・・・売れたら売りたいのかな・・・どうなんだろう・・・」

タロウが茶を含みつつ小首を傾げる、

「そっ、お願いね、フフッ、楽しみが増えたかしら・・・」

ニコリと自然な笑みを浮かべるパトリシア、こうして微笑んでいれば優しいお姫様なんだよなーとタロウも微笑む、さらには妊娠中で明日明日にも生まれる状況で、本来であれば友人とはいえ平民を側に置いて談笑する事などありえないとも思うが、パトリシアも妙にその辺はだらしない、というか気さく過ぎる、まぁ夫の友人達ですっかり顔見知りとなった相手ともなればそうなっても不思議ではないのかもしれないが、

「そうだ・・・なんでしたっけ、モチ・・・でしたか・・・」

しかしすぐに首を傾げるパトリシア、

「モチー、ミナ、あれも好きー」

ピョンと腰を浮かせるミナ、その口元はホイップクリームとメープルシロップでドロドロに汚れており、アッとソフィアが手拭いを出して拭い取る、エヘヘーと微笑むミナであった、

「そうよねー、好きよねー・・・」

ジローっとタロウを睨むパトリシア、エッ俺?と背筋を伸ばすタロウ、

「まだ・・・口にしてないのよね・・・それと、あっ、あれもありましたね・・・髪を染める?」

スッと束にして肩にかけた長い髪を手にするパトリシア、確かにそうだとパトリシア同様タロウを睨むユーリ、

「いや、待って、えっ、それも俺?だっけ?」

あせあせとユーリとパトリシアを見比べるタロウ、

「そりゃそうでしょ、モチはまぁね、その気になればいつでもなんとかなるけど、染髪はねー、あんたがあーだこーだ言い出したんだし」

ソフィアがやれやれと茶を含む、今日のスフレも良い出来であった、特にリンゴにブドウ、ミカンとエレインの事務所にあった干し果物を軽く砕いて振りかけたそれが大変に美味であった、そこにバナナの柔らかな甘味が加わり、それぞれの酸味がホイップクリームとスフレの甘さを引き立たせ、甘い樹液とも絶妙に合っていた、こりゃ正しい意味で贅沢な菓子だなとほくそ笑んでしまう、

「そっ・・・それはだってさ・・・君らが・・・ほら?」

「私達?」

ギンと睨みかえすソフィア、ユーリもニヤニヤとタロウを見つめ、パトリシアもフフンと鼻で笑っている、

「・・・そっか・・・まぁ、では・・・そうですねー」

ハテと首を傾げるタロウ、すると、

「お前食わないなら寄越せ」

クロノスがスッと腕を伸ばした、その先にあるのはタロウが四分の一ほど口にして手を付けていなかったスフレである、すると当然、

「ダメー、それ、ミナのー」

ギャンと吠えるミナ、エッと手が止まるクロノス、ミナが猛然とスフレをかき込み、コラッと叱るソフィア、

「あー・・・すまんな、そういう感じなんだよ」

申し訳なさそうに微笑むタロウ、あらまとパトリシアもミナを見つめて目を丸くしている、

「・・・お前ねー、甘やかしすぎだぞ」

まったくと鼻息を荒くして手を引っ込めたクロノスである、タロウがミナを溺愛しているのは知っており、すぐに察するあたり、やはりそれなりの付き合いがあるだけはあった、

「かもしれんがさ・・・」

片目を閉じてミナを見つめるタロウ、すると、

「食べたー、タロウ、タロウのもちょうだーい」

口の周りをベタベタに汚したミナが満面の笑みである、

「はいはい、あっ、ほら、ハナコも欲しがってるぞ」

「知ってるー、だから、ちょっとあげるー」

「ん、それでいい、ほれ」

ソッと皿を滑らせるタロウ、アリガトーと叫ぶミナ、まったくと微笑む大人達であった、そうして一旦話題は途切れるも、今度はこの場に相応しい、生まれてくる子供の話題に移った、男だとどうだ、女だとどうだと仲間内らしい遠慮の無い会話で、どうやらクロノスはすでに幾つかの名前も決めているらしい、しかしその決定権はパトリシアとボニファースにあるらしく、クロノスとしてはどうにもならんのだと泣き言を言い出す始末、そういうものよと微笑むパトリシアである、まぁ気持ちは分かると同情するタロウ、ソフィアとユーリもだろうなーと微笑むしかない、そこへ、

「あらっ、珍しい事」

扉を開けて入って来たのはエフェリーンであった、さらには、

「フフッ、お揃いのようね」

マルルースも笑顔で続き、

「ミナちゃんいるのー」

とウルジュラが飛び込んだ、

「あっ、ユラ様だー」

パッと振り返り、うんしょと椅子から下りて駆け出すミナ、これはとユーリが腰を上げ、あっ、そうよねとソフィアも続く、

「いたー、あー、ハナコも来てたのー」

「そうなのー、リシア様に挨拶したのー、ハナコは出来なかったのー」

エッとミナを見つめるタロウとユーリ、ハナコは仕方ないが、お前は挨拶なんぞしておらんだろうとその目がありありと語っている、ハナコもミナを追ってウルジュラに駆け寄っており、ヘッヘと尻尾を振りまくっていた、

「で、なにやら新しい料理とか?」

キラーンと目を輝かせるエフェリーンとマルルース、アッしまったと口に手を当ててしまうソフィアである、

「そうですね、大変に美味ですわよ」

ニコリと微笑むパトリシア、

「そう、それは楽しみね・・・」

ニコリと返すエフェリーン、しかし先程持参した分では足りていない、アチャーとソフィアは頭をかいて、

「申し訳ないです、その・・・」

と事情を説明するのであった。



「まぁ、そういう事ならいいけど・・・」

やれやれと茶に手を伸ばすエフェリーン、三人はモニケンダムに行くのであればその前に顔を出すかとなっただけらしく、用件が無くても毎日のように見舞ってはいるらしい、それもそうであろう、エフェリーンにしてみれば娘の初めての出産であり、初孫ともなる、まして本来であれば日参する事も難しい遠隔地であってもこうして気楽に顔を出せるとなれば来ない理由がない、

「申し訳ないです」

再び頭を下げるソフィア、今日持ち込んだスフレはティルが焼き上げた10人分程度となり、ここでその内の半数以上が消費され、残りはメイドさん達に試してもらいましょうとティルと話していた、そして恐らくその通りになっている、なにせ、ソフィアの視界の端でメイドが三回ほど交代していた、その度にティルに向けて何やら笑顔で目配せしており、ティルも笑顔で返している、つまりは美味しかったとの表明と礼なのであろう、となれば残ったスフレも食べ尽くされているのは確実なのであった、

「構いませんよ、楽しみは先にとっておきましょう」

マルルースが優しく微笑んだ、

「そうね・・・」

エフェリーンも笑顔を見せる、やれやれと安堵するソフィアとユーリ、タロウとクロノスも色々めんどいなーと苦笑している、そして暖炉の前では、

「ウフフー、でねー、ミナがねー、ハナコを綺麗にしたのー」

床に座り込みハナコを組んだ足に載せてその毛を撫でつけるミナ、

「そうなんだー」

とこちらも床にペタンと座り込みミナの髪を弄って遊ぶウルジュラである、何をやっているんだかとパトリシアが横目で睨むも、まぁこの子達ならこうしているのが静かでいいわねと放っておくことにしたらしい、

「あっ、あれは?マカロンならまだあるだろ?」

タロウがふと思い出す、

「そうね、どうかしら?」

ソフィアが振り向くと、ティルが静かに頷いて廊下へ向かった、マカロンはスフレを食べた後に出しましょうと話しており、今さっきスフレを食べ終えたばかりである、

「そういえば、こっちのマカロンってどんな感じなの?」

なんとなく話題を続けるタロウ、

「どんなって・・・」

ソフィアがん?と片眉を上げる、

「王都の名物なんですよ」

マルルースが代わって答えた、

「それは聞いてましたねー・・・製法も似たようものらしいですねー」

ニコリと答えるタロウ、流石に相手は王妃である、そしてそれほど親しくも無い、となればある程度の礼を尽くすのが大人というものである、故に少しばかり口調に気をつけ柔らかい笑みを浮かべてみた、そこへティルが皿いっぱいに盛られたマカロンをそっとテーブルに置いた、いつの間に戻ったのかと驚くソフィア、さらにはその気配も感じさせない見事な所作である、

「あら・・・それらしいわね・・・」

フーンと手を伸ばすエフェリーン、マルルースも自然と手を伸ばす、タロウもなるほど見た目はそれらしいかなと早速摘まんで試してみる、なるほど、マカロンと言われればそうである、甘みが強いし、どちらかと言えばクッキーだなとも思う、左目を閉じて観察すればどうやら主原料は小麦粉と卵白であった、あっ、アーモンドパウダーではなく小麦粉なんだと理解するタロウ、なるほどねーと微笑み、

「・・・これならさ・・・あっ、ティルさん、ナイフある?それとホイップクリームって余ってる?」

振り返るタロウ、エッと目を見開くティル、

「なにするのよ」

ムッとタロウを睨むソフィアとユーリ、

「まぁまぁ・・・俺の知ってるマカロンってやつはね、ホイップクリームが挟まっているんだよ」

ニヤリと微笑み返すタロウ、ナニッとその目が光るソフィアとユーリ、

「いや・・・カスタードクリームなのかな・・・まぁ、どっちでもいいだろ・・・」

んーと首を傾げるタロウ、どっちを挟んでも美味い事は美味いであろう事は明白で、チョコレートがあればなー、何かお洒落でいい感じになるんだろうなー等と考えてみたりした、

「それ・・・」

「美味しそうね」

エフェリーンとマルルースも目を輝かせる、

「でしょう、で、ほら、干し果物もあるならさ、それを挟んでもいいかもね、だから・・・」

タロウが再び振り返った時ティルの姿は無く、アラッと思った瞬間、

「お持ちしました」

タロウの背後にティルが立っていた、ウオッと驚くタロウ、アッハッハと笑いだす大人達であった。
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