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本編
16話 開店 その10
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カラミッドは予定があるとの事でエレインに挨拶を求めた、
「お忙しい中ありがとうございました、お楽しみ頂けたなら幸いと存じます」
エレインの恭しい挨拶に、
「うむ、満足だ、ライニール、例の物を」
とライニールを呼びつけると、ライニールは鞄から分厚い木簡と革袋を取り出しカラミッドに手渡した、
「うむ、本日と、ユスティーナの件の礼としては、とても足りない品だが受け取って欲しい」
分厚い木簡をエレインに渡す、見た目通りにズシリと重い板である、表面にはクレオノート家の紋章とその下に仰々しい文字でクレオノート家御用達の文字が刻まれている、
「えっと、これは?」
「はい、クレオノート家のお墨付きの木簡です、ギルド看板と共に掲示して下さい」
「えっ、それって、この街でも数える程しか無いと聞いておりますが」
「そうだな、数件だな、しかし、その価値はあると儂が認めたのだ胸を張って掲示してくれ、それとこれは祝い金だな、今後ともモニケンダムの発展の為に尽力する事を願うぞ、それとだ、新商品のお披露目には必ず呼ぶようにな、さらにだな、おいおいで構わないが来賓の接待に料理人を借り受ける事もあるかもしれん、よしなに頼むぞ」
そう言って金貨入りの革袋をエレインに手渡す、こちらは見た目に反してズシリと重い、
「そんな、いえ、ありがとうございます、数々のお心遣い感激でございます」
エレインは一瞬たじろぐが変に遠慮しては失礼と思い直し、感謝の意を伝える、
「うむ、本来であれば領主館で式典を上げるべきと思うが、まぁ、こういうのも良いだろう、エレイン嬢、今後ともミナの良き友人として、良き領民として活躍する事を期待する、では、ライニール、後を頼むぞ」
「はっ、承りました」
さっと踵を返すとカラミッドは一人馬車へ歩く、馬車には従者が待っており、二人が乗り込むと同時に馬車は走り出した、
「えっと、頂いて宜しいのでしょうか」
カラミッドを見送った後エレインはライニールに問う、
「はい、それでも足りないとカラミッド様もおっしゃっております、私もそのように思いますし、是非ご活用下さい」
「では、クレオノート家の印章に恥じないよう精進致します」
エレインはライニールにも一礼するのであった。
「思い出した、お嬢様、待ってて、すぐ戻る」
突然ミナが叫ぶと寮へ走り出した、
「どうしたのだ、騒々しいのう」
ユスティーナとレアンはベンチでゆったりと店舗の客を眺めている、客層は従業員の家族と学園の関係者であろうか、それぞれに顔見知りを見付けてはキャイキャイと楽し気である、
「母上、市民の生活も楽しいものなのですね」
レアンはしみじみと語る、
「そうね、特にこの街は豊かな方です、あの笑顔を守るのが我々のお仕事です、父上もライニールも勿論リシャルトも皆その為に頑張っているのです、ですので、もう少し父上を労わりましょうか・・・ね」
微笑むユスティーナにレアンも微笑みで答える、
「ソフィー、あれ、どこー、ないー」
再びミナの叫び声が響く、
「あれって何よ、今行くから」
店舗の方からソフィアが駆け出した、
「ふふ、ソフィアさんも忙しそうね」
「それは、ミナの母上だからな、あのお転婆の相手は大変なのです」
ムフーとレアンは鼻息を荒くする、
「あら、でも楽しいんでしょ、あの娘といるとレアンも輝いて見えますよ」
「む、母上それは、私もお転婆と言いたいのですか?」
「そうね、お転婆くらいが元気でいいわよ、今の所はね、後5年もしたらお淑やかになりましょう、だから、今は元気に遊んで、元気に勉学に励むこと」
「はいはい、母上の仰せのままに」
レアンはむすっと顔をしかめるが機嫌を悪くしたわけではないらしい、
「あった、お嬢様いるー?」
三度ミナの叫び声が響いた、去った勢いそのままに駆け寄ると、
「これ、これ、お嬢様と、お母さまと、あと、男の人、えっと、なんだっけ?」
「ん、ライニールか?」
「うん、ライニールさんに、えっと、お嬢様のはどれだっけ」
ハァハァと息を切らせながら手にした細工物を選り分けて、
「これ、お嬢様にはこれ、にゃんこの、にゃんこのだよ」
一つをレアンに強引に握らせた、
「でね、でね、お母さまのはこれ、このお花の、えっと、百合?だったかな」
何の配慮も無く強引にユスティーナの手に押し込むと、
「でね、ライニールさんはこの盾のかっこいいやつ、ライニールさんどこ?」
やや離れて母娘を警護していたライニールが少し顔を傾げると、
「いた、ライニールさんこれ、これ、あげる、お礼なの、みんなでお揃いだよ」
駆け寄ってライニールに押し付ける、
「これは、光栄です、ミナさん」
ライニールはしげしげと細工物を見る、
「これはかっこいいですね、盾と剣ですか、なるほど、有難く頂きます」
「うん、かっこいいよね」
満面の笑みを浮かべるとサッと振り向いて母娘の元に戻る、
「にやんこ、かわいいでしょ、にやんこ」
じっと細工物を見詰めるレアンに問い掛ける、
「うむ、可愛い猫だな、でも、なんで?」
「うん、お嬢様はにゃんこみたいで可愛いから」
うぬっとレアンは面喰い、ユスティーナはクスクスと笑顔になる、
「確かににゃんこ見たいよねこの娘、うん、ミナさんよく見てるわ」
「でね、お母さまのは、レインが選んでくれたんだけど、お母さまは百合が一番似合うって言ってた、ミナもそう思うの」
「あら、嬉しいわね、百合かー、ふふ、生家の家紋も百合なのよ、何処かで調べたのかしら」
ユスティーナもしげしげと細工物を見る、百合である事はわかるが見慣れた家紋とはまるで違う、しかし、とても丁寧に彫られた百合の姿はとても愛らしい、
「どう、どう?気に入った?ミナとお揃いなのよ、ミナのはお馬さんなの」
「あぁ、知っているぞ、お馬が好きなんだったな、うん、でもにゃんこの方が可愛いぞ」
「えーお馬さんも可愛いよー」
「いやいや、ミナが選んでくれたこのにゃんこが一番可愛いな」
「えへへ、そう?気に入った?」
「勿論じゃ、早速」
とレアンは背筋を伸ばして腰回りを見る、
「ほら、貸して、付けてあげる」
ユスティーナが腰帯に括り付けると、
「母上のは私が」
とレアンがユスティーナに括り付けた、
「うふふ、お揃いだね、嬉しいね」
「そうだな、感謝するぞ、ミナ、これほど嬉しい贈り物は始めてだ」
「そうね、私もよありがとうね、ミナさん」
二人の笑顔にミナは笑顔で答えるのであった。
それから暫く店舗の前は学園関係者と従業員の家族でごった返し、それが落ち着くころにレアン達も帰途につく、
「次は祭りの日じゃ、迎えに来るからの」
「うん、待ってる」
レアンとミナは別れを告げて、
「レインもな、今度はゆっくり遊ぼうぞ」
人混みの中では奇妙な程静かになるレインに声をかけつつ、やはり名残惜しいのかその足は中々馬車に向かない、
「もう、この娘は、まったく」
ユスティーナは優しくレアンの肩に手を置いて、それが合図であるのか二人は馬車へ向かい、ライニールもそれに続くのであった、
「エレインさん、これは美味いな、うん、学園にも近いし、これはあれかな?儂の為の店かな、ん?」
シェルビー事務長が御機嫌でエレインを捕まえた、
「これは事務長、御足労、感謝致します」
「全然じゃ、ほれ、学園長とダナもいるぞ」
指差す先には事務員に囲まれる学園長と笑顔のダナが屯している、
「良かった、皆さんお楽しみのようですね」
「そうだな、しかし、屋台の商品も良かったがこれは格別だな、今度家族も連れてこよう、正式な開店は明後日であったか?」
「はい、明日も開けておりますが、生徒達専売にしております、それでも宜しければお越し頂ければと思いますわ」
「そうか、うーん、職権乱用とはならんだろうか・・・それが問題だな、うん」
シェルビーに一つ悩み事が増えたようである、生真面目な性格がこういう時に分かりやすく表にでてくる、シェルビーは実に勤勉で実直な紳士なのであった、
「ふふ、そこまで真面目にならなくても、いつでも歓迎致しますから」
エレインの優しい答えに、
「おう、そうか、そうだな、うん」
シェルビーは曖昧な笑みで答えに代えたのであった。
「お忙しい中ありがとうございました、お楽しみ頂けたなら幸いと存じます」
エレインの恭しい挨拶に、
「うむ、満足だ、ライニール、例の物を」
とライニールを呼びつけると、ライニールは鞄から分厚い木簡と革袋を取り出しカラミッドに手渡した、
「うむ、本日と、ユスティーナの件の礼としては、とても足りない品だが受け取って欲しい」
分厚い木簡をエレインに渡す、見た目通りにズシリと重い板である、表面にはクレオノート家の紋章とその下に仰々しい文字でクレオノート家御用達の文字が刻まれている、
「えっと、これは?」
「はい、クレオノート家のお墨付きの木簡です、ギルド看板と共に掲示して下さい」
「えっ、それって、この街でも数える程しか無いと聞いておりますが」
「そうだな、数件だな、しかし、その価値はあると儂が認めたのだ胸を張って掲示してくれ、それとこれは祝い金だな、今後ともモニケンダムの発展の為に尽力する事を願うぞ、それとだ、新商品のお披露目には必ず呼ぶようにな、さらにだな、おいおいで構わないが来賓の接待に料理人を借り受ける事もあるかもしれん、よしなに頼むぞ」
そう言って金貨入りの革袋をエレインに手渡す、こちらは見た目に反してズシリと重い、
「そんな、いえ、ありがとうございます、数々のお心遣い感激でございます」
エレインは一瞬たじろぐが変に遠慮しては失礼と思い直し、感謝の意を伝える、
「うむ、本来であれば領主館で式典を上げるべきと思うが、まぁ、こういうのも良いだろう、エレイン嬢、今後ともミナの良き友人として、良き領民として活躍する事を期待する、では、ライニール、後を頼むぞ」
「はっ、承りました」
さっと踵を返すとカラミッドは一人馬車へ歩く、馬車には従者が待っており、二人が乗り込むと同時に馬車は走り出した、
「えっと、頂いて宜しいのでしょうか」
カラミッドを見送った後エレインはライニールに問う、
「はい、それでも足りないとカラミッド様もおっしゃっております、私もそのように思いますし、是非ご活用下さい」
「では、クレオノート家の印章に恥じないよう精進致します」
エレインはライニールにも一礼するのであった。
「思い出した、お嬢様、待ってて、すぐ戻る」
突然ミナが叫ぶと寮へ走り出した、
「どうしたのだ、騒々しいのう」
ユスティーナとレアンはベンチでゆったりと店舗の客を眺めている、客層は従業員の家族と学園の関係者であろうか、それぞれに顔見知りを見付けてはキャイキャイと楽し気である、
「母上、市民の生活も楽しいものなのですね」
レアンはしみじみと語る、
「そうね、特にこの街は豊かな方です、あの笑顔を守るのが我々のお仕事です、父上もライニールも勿論リシャルトも皆その為に頑張っているのです、ですので、もう少し父上を労わりましょうか・・・ね」
微笑むユスティーナにレアンも微笑みで答える、
「ソフィー、あれ、どこー、ないー」
再びミナの叫び声が響く、
「あれって何よ、今行くから」
店舗の方からソフィアが駆け出した、
「ふふ、ソフィアさんも忙しそうね」
「それは、ミナの母上だからな、あのお転婆の相手は大変なのです」
ムフーとレアンは鼻息を荒くする、
「あら、でも楽しいんでしょ、あの娘といるとレアンも輝いて見えますよ」
「む、母上それは、私もお転婆と言いたいのですか?」
「そうね、お転婆くらいが元気でいいわよ、今の所はね、後5年もしたらお淑やかになりましょう、だから、今は元気に遊んで、元気に勉学に励むこと」
「はいはい、母上の仰せのままに」
レアンはむすっと顔をしかめるが機嫌を悪くしたわけではないらしい、
「あった、お嬢様いるー?」
三度ミナの叫び声が響いた、去った勢いそのままに駆け寄ると、
「これ、これ、お嬢様と、お母さまと、あと、男の人、えっと、なんだっけ?」
「ん、ライニールか?」
「うん、ライニールさんに、えっと、お嬢様のはどれだっけ」
ハァハァと息を切らせながら手にした細工物を選り分けて、
「これ、お嬢様にはこれ、にゃんこの、にゃんこのだよ」
一つをレアンに強引に握らせた、
「でね、でね、お母さまのはこれ、このお花の、えっと、百合?だったかな」
何の配慮も無く強引にユスティーナの手に押し込むと、
「でね、ライニールさんはこの盾のかっこいいやつ、ライニールさんどこ?」
やや離れて母娘を警護していたライニールが少し顔を傾げると、
「いた、ライニールさんこれ、これ、あげる、お礼なの、みんなでお揃いだよ」
駆け寄ってライニールに押し付ける、
「これは、光栄です、ミナさん」
ライニールはしげしげと細工物を見る、
「これはかっこいいですね、盾と剣ですか、なるほど、有難く頂きます」
「うん、かっこいいよね」
満面の笑みを浮かべるとサッと振り向いて母娘の元に戻る、
「にやんこ、かわいいでしょ、にやんこ」
じっと細工物を見詰めるレアンに問い掛ける、
「うむ、可愛い猫だな、でも、なんで?」
「うん、お嬢様はにゃんこみたいで可愛いから」
うぬっとレアンは面喰い、ユスティーナはクスクスと笑顔になる、
「確かににゃんこ見たいよねこの娘、うん、ミナさんよく見てるわ」
「でね、お母さまのは、レインが選んでくれたんだけど、お母さまは百合が一番似合うって言ってた、ミナもそう思うの」
「あら、嬉しいわね、百合かー、ふふ、生家の家紋も百合なのよ、何処かで調べたのかしら」
ユスティーナもしげしげと細工物を見る、百合である事はわかるが見慣れた家紋とはまるで違う、しかし、とても丁寧に彫られた百合の姿はとても愛らしい、
「どう、どう?気に入った?ミナとお揃いなのよ、ミナのはお馬さんなの」
「あぁ、知っているぞ、お馬が好きなんだったな、うん、でもにゃんこの方が可愛いぞ」
「えーお馬さんも可愛いよー」
「いやいや、ミナが選んでくれたこのにゃんこが一番可愛いな」
「えへへ、そう?気に入った?」
「勿論じゃ、早速」
とレアンは背筋を伸ばして腰回りを見る、
「ほら、貸して、付けてあげる」
ユスティーナが腰帯に括り付けると、
「母上のは私が」
とレアンがユスティーナに括り付けた、
「うふふ、お揃いだね、嬉しいね」
「そうだな、感謝するぞ、ミナ、これほど嬉しい贈り物は始めてだ」
「そうね、私もよありがとうね、ミナさん」
二人の笑顔にミナは笑顔で答えるのであった。
それから暫く店舗の前は学園関係者と従業員の家族でごった返し、それが落ち着くころにレアン達も帰途につく、
「次は祭りの日じゃ、迎えに来るからの」
「うん、待ってる」
レアンとミナは別れを告げて、
「レインもな、今度はゆっくり遊ぼうぞ」
人混みの中では奇妙な程静かになるレインに声をかけつつ、やはり名残惜しいのかその足は中々馬車に向かない、
「もう、この娘は、まったく」
ユスティーナは優しくレアンの肩に手を置いて、それが合図であるのか二人は馬車へ向かい、ライニールもそれに続くのであった、
「エレインさん、これは美味いな、うん、学園にも近いし、これはあれかな?儂の為の店かな、ん?」
シェルビー事務長が御機嫌でエレインを捕まえた、
「これは事務長、御足労、感謝致します」
「全然じゃ、ほれ、学園長とダナもいるぞ」
指差す先には事務員に囲まれる学園長と笑顔のダナが屯している、
「良かった、皆さんお楽しみのようですね」
「そうだな、しかし、屋台の商品も良かったがこれは格別だな、今度家族も連れてこよう、正式な開店は明後日であったか?」
「はい、明日も開けておりますが、生徒達専売にしております、それでも宜しければお越し頂ければと思いますわ」
「そうか、うーん、職権乱用とはならんだろうか・・・それが問題だな、うん」
シェルビーに一つ悩み事が増えたようである、生真面目な性格がこういう時に分かりやすく表にでてくる、シェルビーは実に勤勉で実直な紳士なのであった、
「ふふ、そこまで真面目にならなくても、いつでも歓迎致しますから」
エレインの優しい答えに、
「おう、そうか、そうだな、うん」
シェルビーは曖昧な笑みで答えに代えたのであった。
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