セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&

文字の大きさ
185 / 1,471
本編

24話 お嬢様と4本フォーク その8

しおりを挟む
「で、領主様はどうだったの」

テーブルに突っ伏したままのユーリにソフィアは静かに問う、

「あー、たぶんだけど、いい感じだったわー、なんか私の事も憶えてたみたいでねー」

とユーリはゆっくりと上体を起こす、

「ほら、下水道調査の件、遠回しだけど謝ったのかな?そんな感じー」

「へー、良かったじゃない」

「うん、で、エレインさんと共謀して下水道から鏡の製法が見付かったって事にしたから」

「それはありがと、そうなると少しは興味を引けた?」

「そうね、下水道の詳しい話は改めてって事になったわ、学園の方へ連絡が行く予定、ほら、領主様、忙しいからね、でも、鏡の前ではしゃいでたわ」

「あらあら、すると奥様は?」

「元気だったわよ、あんたが来ると思ってたみたいでね、私の顔を見て残念そうにしてたわ」

「それは申し訳なかったわね」

「でも、ほら、お互い顔は合わせてたからね、こっちの素性が分かったら優しくしてくれたわよ、いい人ね」

「そう、じゃ、取り合えず行って良かったんじゃない?」

「取り敢えずね、でもまー、あー、変な所に力が入ってるわね、背中が痛いわ」

ユーリは大きく両肩を回す、

「お疲れ様、あ、エレインさんは?」

「んー、商工ギルドで降ろしてもらってたわ、それからブノワトさんの所に行くって、根回しね、大変だわ」

他人事のように言って茶に手を伸ばす、

「そっか、すると例の部会の話しかしら?」

「そうね、領主様も乗り気でね、そういう事ならギルド長と職人達とエレインさん?まぁ関係者ね、集めてしっかりと話したいってさ、ま、これを見たらそうなるわよね」

ユーリは脱力したままガラス鏡を見る、

「そうなると、いよいよエレインさん忙しくなるわね」

ソフィアはほくそ笑む、

「なによ、他人事みたいに」

「他人事よー、まぁ、頑張ってる若者を見るのは楽しいし、こっちも元気になれるからね、それにガラス鏡を量産できるようになったら作りたいものもあるしね」

「どんなの?」

「内緒」

あん?とユーリは片眉を吊り上げる、

「あ、でも、あれね、理想とする品があるんだけど、どうだろう?赤い魔法石って数少ないわよね」

「まぁ、そうね、上にある分とクロノスの所にある分だけだしね、早いところ諸々を解明したいけど、こればっかりはねー」

「そうよね、うーん」

とソフィアは天を仰いで、

「さっき、カトカさんとも話したんだけど」

と無色の魔法石の活用案について話しだした、

「あら、それも面白いわね、でも、出来るかしら?」

「出来そうだなーとは思っているんだけどね、弄ってみたけど安定はしてないわね、少し方向性を変えて見ようかなとは思っているんだけど」

「そっか、上手くいったら教えて頂戴」

「そのつもり、でね、陶器への魔法陣ってあんたが考えたんでしょ」

ソフィアが珍しくもユーリの研究に興味を示した、

「まぁね、ほら、魔族の使ってた魔法陣を応用してみたのよ、それと釉薬ねこれが肝、構造としては・・・」

「あ、詳しい話しはいいわ、そういうのは苦手だから」

ソフィアはあっさりとユーリの言葉を遮った、

「なに言ってるのよ、頭の出来ならそこそこ良いでしょ」

「そこそこってなによ、面倒な話しが面倒なだけよ」

「面倒って、まぁ、面倒か、で、それがどうしたの?」

「応用できないかなって思ってね、あれは・・・そうね、他の材を下地にしても使えるの?」

「あー、使えるけど、劣化が激しかったわね、さっきも言ったけど釉薬が肝なのよ、それと魔法陣に使う触媒がねその釉薬用に調整した物だから、転送魔法陣に使ってる触媒とは全く別物なのよ、安くて大量に作れるから便利になったって感じ、本来であれば転送魔法陣の触媒を使えば何にでも刻めるでしょ、って、あれはあんたの発案だったわね」

「そっか、そういう事だったのね、確かにそうよね」

とソフィアは腕を組んで小首を傾げ、

「うん、分かった、ちょっとやってみるわ、出来たら見てみてくれる?」

「勿論よ、材料欲しかったら言ってね、カトカとサビナにも言っておくわ」

「ありがと、あ、そうだ、カトカさんに調べもの頼んじゃったけどいい?」

「構わないわよ、あの娘もたまには他の仕事しないと腐っちゃうわ」

「そっか」

ソフィアは笑顔になり、

「お茶、足すわよ?」

「あー、ありがとう、静かでいいわね、人がいないと」

「そうね」

二人は微笑みつつ暫し茶を楽しんだ、しかし、

「ソフィー、山、行っていいー?」

ガツガツとつっかけの激しい音と共にミナの声が響いた、

「あら、静かな時間は貴重ねー」

ソフィアはやれやれと腰を上げると、

「はいはい、行っていいけど足元には注意しなさいよ」

「分かったー、じゃ、行くー」

再びつっかけの激しい音が響く、

「山って?裏山?」

「そうよ、あ、ユーリも行く?なんか山道が丁度良くあってね、草を払ったら上まで行けたのよ」

ソフィアはニコリと適当に誤魔化す、

「ふーん、そっかー、丁度良くねー」

長い付き合いのユーリにはその誤魔化しは通じなかったようである、ユーリは目を細めてソフィアを見つめるが、

「ま、いっか、その内でいいわ、お嬢様もいるしね、あ、学園、顔ださなきゃだわ」

ユーリは残った茶を呷るとヨイショと立ち上がった、

「ん、じゃ、取り敢えずそんな所で」

「ん、お疲れ様」

ソフィアも腰を上げ、ユーリは階段へと向かうのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」 魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。 ――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。 「ここ……どこ?」 現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。 救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。 「ほら、食え」 「……いいの?」 焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。 行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。 旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。 「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」 「ウチの子は天才か!?」 ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。 これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。 ※若干の百合風味を含みます。

処理中です...