セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&

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本編

32話 幸せなお裾分け その2

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「ちわー、納品ですー」

給与の支払いが一段落して、エレインとオリビアも下着作成に合流した頃合いでブノワトが事務所を訪れた、エレインが出迎え事務所に通すが、

「わ、今日も?」

事務所の惨状にブノワトが驚き、

「そりゃね、こうなるでしょ」

エレインは鼻息を荒くして何とも鷹揚に答える、

「へー・・・そうだ、あのね、あのね」

ブノワトは一転、実にだらしない顔になる、エレインはこの顔は見覚えがあるなと思いだす暇もなく、

「旦那に効くのよこの下着」

ブノワトは当然のように喜々として色話を口にした、

「もう、そういう話しは向こうでお願いします、納品ですよね」

エレインはジロリと睨み、

「えー、いいじゃんさー、あのね、あのね」

「はいはい、納品が先です」

エレインは視線にさらに力を込めて睨みつけ、ブノワトはあからさまに不満顔となるが、

「ぶー、もー」

と獣のようにブツクサ言いながら手にした革袋を開いて見せる、

「型?でいいのかな?正式名称とかつける?」

「まぁ、早いですわね」

革袋を覗き込んでエレインは嬉しそうに微笑んだ、

「そうね、材料はあったし、旦那に木型を作ってもらってそれに合わせて曲げただけだから、早かったんだわ、量産も難しくないかなって感じ、うん、実際に使って貰って改良する所が出てくると思うけど、もう少し洗練したいかなって思うかな」

ブノワトが型の一つを取ってエレインに手渡す、

「なるほど、こんな小さいんですのね、うんうん、なるほど、良い感じですわね、オリビア、厨房へ、ここでは騒がしいですわ」

エレインがオリビアを呼びつけて、厨房へ向かい、3人はテーブルを囲むと型を並べた、

「可愛らしいですね、これだけでも装飾品になりそうです」

オリビアは楽しそうに一つ一つを手に取った、

「そうだね、ちょっと小さいかなって思ったけど、黒板の大きさの通りだよ、あ、黒板も返すね」

ブノワトが黒板をテーブルに置き、エレインがそれを手にして図に型を重ねると、

「なるほど、合わせてみるとほぼ同じ大きさですね、描いたものと立体になったものではまるで印象が変わるんですわね」

「そうみたいだね、ま、実際に焼き菓子を作ってみて貰って、大きさは調整が必要かな?それと、ニャンコの目とかは小さくなりすぎるから、持ち手になればと思って全体を長くして分かり易くしてみたよ」

「これですわね」

エレインが何本かある長く細い型を手にしてその先を覗き込む、

「あ、先が細いから目とか危ないよ、ミナちゃんが使う時は注意が必要かもね」

「そうですわね、ばつ印のと、三角のも、これはこれで可愛いですわね」

「ばつ印のは抜く型って言うよりも、ただの印になっちゃったけどね、こんな感じだけど、どう?」

ブノワトが上目遣いでエレインに問う、

「大丈夫かと思います、注文通りですわね、ありがとうございます」

「そっか、良かった」

ブノワトは嬉しそうに笑顔となり、エレインも楽しそうに型の一つ一つを手にしては覗き込む、

「では、レアン様へ連絡を、恐らくですが待っていらっしゃると思いますが」

オリビアがエレインに問う、

「そうね、では、木簡をしたためます、連絡をお願いできますか?」

「はい、それと、ブノワトさんは訪問着の合わせが必要かと思いますがどうされますか?」

「訪問着?あ、来てるんだっけ?」

「はい、昨日お呼びしたのはその為ですよ、見事な程に手を付けませんでしたけど」

オリビアの冷静な言葉に、

「そうだよねー、でも、昨日はしょうがないよー」

「そうですわね、それどころでは無かったですし」

エレインとブノワトは朗らかに笑い合う、

「確かに、では、ブノワトさんは先にそちらを、私は領主邸へ向かいます」

「あ、レアン様へはケイランさんにお願いしましょう、いや、私が行きますわね、その方が作業が進みそうです、オリビアは訪問着の着付けと修正があればそれをテラさんのも必要よね」

「そうですね、分かりました」

「うん、じゃ、木簡を用意して、ブノワトさん支払いを」

「あー、支払いは月末でいいよー、その方がこっちは楽かな?木簡に記名だけお願いできる?」

「わかりましたわ」

「あ、それとね、鏡の方も10組完成してるけど、どうする?」

「10組も、それは嬉しいですわね」

「うん、職人さん達も慣れてきた感じ、1日あたり2組ずつかな?そのくらい作れるようになってきててね、それも商品として出せる品質で、だから、領主様分を持って来る?」

「そうですね、では、明日にもお願いします、それと・・・そうですね、もう6枚分をクロノス様向けで納品お願いできますか?」

「大丈夫だけど、そんなに?」

「はい、それでも足りない可能性もあるので、先手を打っておきたいかなと、ほら、むこうの人達はなにかとあれがなになので」

「あはは、あれがなにか・・・うん、理解できるな」

ブノワトは苦笑いを浮かべる、

「さらに言えば支払いに関しては全く心配がいらない点も、貴族相手の商売に関しては良い点ですわね」

「そうだねー」

「お嬢様、こちらの品はどうします?」

オリビアがテーブルの上に並べられた焼き菓子の型を指差す、

「うーん、手ごろな箱があればそれに入れておきたいですわね」

「あ、そっか、このままだと何か遊び道具みたいだよねー、木箱か何かあれば良いのかな?」

「それ大事かもですね、取り敢えず藁籠が余っているのでそれに、捨てられないようにしないとですね」

オリビアが事務室へ向かい、

「じゃ、オリビアに任せて、訪問着は2階の左の個室に並べてありますので、先にそちらへ」

「うん、わかった、ありがとう」

2人もそれぞれに厨房を後にした。



「うへへ、でねー、これの上から触られるのがまた違った感覚で良い感じなのよー」

「へー、で、で」

「それで、なんか、そのゆっくりと脱がされる感じ?何かこう、悪いことしてるって感じでー、もう、ゾクゾクしちゃう?」

「それから?それから」

「うん、半脱ぎがいいらしいかなー、なんか胸の形が綺麗なままじゃない、だから、それがいいんだってさー」

うへへとだらしない顔となるブノワト、

「なによー、あんたもしっかりやってる事はやってるんじゃない」

「うへへ、勿論だよー」

ブノワトが婦人部の間に座り込んだ瞬間から色話が始まり、御婦人方は楽しそうに笑っているが、生徒達は静かに聞き耳を立てながら作業を進めていた、

「じゃぁさ、あれだ、見せ下着ってのも作らないとだわね」

「あ、それだ、ね、それはいつ作るの?」

ブノワトが唐突にテラに問う、

「は、え、どうでしょう、まだ、先かなって感じですね」

「えー、大事だよー、必要だよー、楽しいよー、ねー、作ろうよー」

「なによ、あんたが作ればいいんじゃない?」

「えー、私はほらー、針仕事は得意じゃないしさー、レースとか刺繍とかでしょー、あーでも、想像したらスゴソーだなー」

「ちょっとどっちを想像してるのよ」

「えー、どっちもー」

「若いっていいわねー」

「えー、そうかなー、みなさん若いじゃないさー」

「なによ、10は違うわよ」

「そう?」

「それに子供いるんだし」

「もう一人二人いけるじゃないさ、いけるってー」

「あーたはまず自分の事を心配しなさいよ、他人の事を言ってないで」

「そうだけどさー」

エヘヘとブノワトが笑い、御婦人達も子供の話しに話題が変わってきたようである、ブノワトはもう十分に吐き出したのであろうか満足そうに微笑むと、

「うん、じゃ、私は失礼するわねー」

ふらりと立ち上がり、

「はいはい、お疲れ様、しっかり仕事しなさいよ」

「そうそう、呆けていると捨てられるわよー」

「うるさいなー、捨てられる前に捨てるわよーだ」

それもそうかと御婦人達とブノワトは笑いあった、

「じゃ、明日また来るから、えっと、納品はいつ頃が良いです?」

エレインを捕まえて段取りを確認する、

「そうですね、午後の方が宜しいかと」

「わかりました、ではいつもの時間で」

ブノワトは落ち着いたのか普段の顔に戻り事務所を辞した、

「やれやれ、そっか、この下着でも効果はあるのねー」

「うん、これはもう少し見た目も良くしたいかなー」

「あれ、あんた、子供はもういいって言ってなかった?」

「やー、それはそれ、これはこれでしょー」

御婦人達の姦しい会話は続き、生徒達もボソリボソリと話し出す、

「やっぱり、男を釣るには大事だよね」

「そうだね、あ、なんか男どもが噂してたよ」

「噂?」

「うん、ケイスが妙に可愛いとか、パウラがすげーとか」

「えっ」

ケイスとパウラが驚いて顔を上げる、

「私は?私は?」

ジャネットがズイッと顔を寄せる、

「えーと、ジャネットは別にかなー」

「うん、女どもは騒いでたかも・・・」

「あ、それ気付いた、カッコイイーとかなんとか」

「また女かよー女はどうでもいいよー」

「はいはい、男にもてたいのよねジャネットは」

「そうだけどさー、もう、こうなったら女でもいいかー」

ジャネットは座り直して腕を組む、

「また、そんな、心にも無いこと言ってー」

「えー、でもさー、結局、胸かよ、ケッって感じだわ」

「ま、そのうち物好きが現れるわよ」

「なんだよそれー」

生徒達は生徒達でそれなりに楽しそうに作業を進めている様子であった。
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