セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&

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本編

37話 やっぱりニャンコな編み物とか その7

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「へーへー、面白いねー、なるほどねー、楽しいねー」

コッキーと弟のデニスが事務所へ現れると、エレインはソフィアを呼び出し、テラを含めて打ち合わせが始まった、デニスはキョロキョロと落ち着きがなく、ブノワトとコッキーは楽しそうにはしゃいでいる、ミナとレインは寮でお留守番である、

「どうでしょう?お眼鏡にかなう品になっていれば嬉しいのですが」

ブノワトはソフィアに対し髪留めの改良点等を一通り説明した、ソフィアはなるほどと楽しそうに数本を手にしている、

「うん、こういうのが楽しいのよね、エレインさんとしては何かある?」

ソフィアはニコニコと上機嫌である、

「そうですね、先ほど実際に使わせて貰ったのですが良い感じです、これもしっくりきますしね」

エレインは右耳に髪をかけ直し髪留めの存在を誇示する、

「そっか、ならいいんじゃない?商品として展開すればウハウハでしょ」

ソフィアはニヤリと微笑み、

「勿論ですよ、絶対売れます、流行りますね、うふふ」

ブノワトもわざとらしく微笑む、

「じゃ、これも、使ってみて下さい」

3人の様子を伺いながらコッキーが木箱を取り出した、

「作ってきた?」

「勿論、自信作です」

ブノワトとコッキーはほくそ笑みつつ木箱を開ける、

「まぁ、綺麗ねー」

「ほんとだー、凄いな、こんな物も作れるんだー」

「これはまた、興味深い・・・」

ソフィアとエレインとテラは木箱を覗き込んでそれぞれに称賛の声を漏らす、

「えへへ、ガラス玉とガラス製の髪留めです、いかがでしょうか?」

コッキーは恥ずかしそうであるが同時に自慢気である、木箱には布の中敷きの上に様々な色のガラス玉と長細いガラス棒が鎮座していた、ご丁寧に緩衝材として綿も詰められている、

「えっとですね、ガラス玉の方は色も拘ってみたんです、着色ガラスの余った物を丸めて、柔らかい内に穴を開けて」

コッキーは説明しながらガラス玉を手に取る、ガラス玉は完全な球体ではないようである、底部は平たくなっており、そこに糸を通すための穴が通されている、

「なるほど、これは良い飾りになりますね・・・」

エレインがしげしげと観察し、

「そうね、これは可愛いわねー、綺麗だし、色が選べるのもいいわよね」

「ですよね、この色が混ざった感じとか、冷えないと色が分からないんですけど、我ながら上手くいったかなって」

コッキーはにやけ笑いを崩さない、

「で、こっちが要相談かなって思うんですが、ねーさんとも話しながら作ってみたんです、ガラスの髪留めですね」

長細いガラス棒を手にする、それは単純に3本のガラス棒を連結した形である、外側の2本は楕円の形で繋がり、内側の一本片方の端のみ繋がっていない、

「あら、いいんじゃない?」

ソフィアはその品を受け取って裏表を確認する、

「えへへ、これはデニスの仕事です、もう、器用になっちゃって、やってって言ったら、あっという間でした」

コッキーが嬉しそうに実弟へ視線を向ける、デニスは恥ずかしそうに俯いた、

「うん、これもいいと思うわ、エレインさんどう?」

ソフィアはエレインへ髪留めを渡すと、

「使ってみていいですか?」

エレインはコッキーへ問い、コッキーは勿論ですと明るく答える、エレインはサッと鏡に向かい、髪留めを交換する、頭部への収まりを確認しながら角度を変え、うんと納得すると、

「いいですね、軽いですし、お洒落です、それにさりげない感じも素晴らしい・・・なるほど、でも保持力がちょっとかな?金属のような弾力が無いので、外れたらと思うとちょっと不安ですね」

エレインは席に戻りつつ感想を口にする、

「そこなんですよね、私も試しましたけどスルッと抜ける感じがあって、不安に思ってました」

「なら、中の棒を鉄に変える?若しくは鉄の髪留めにガラスを乗っけるとか」

ブノワトがエレインの頭を見ながら改善案を出す、

「ならいっそのこと、鏡にしてしまってもいいかもね、金属に銀を貼るのは簡単なんでしょ、で、そこにガラスを乗っけて、高価になっちゃうかな?」

「あ、それいいかもですね」

「うん、できそう?」

コッキーがデニスに問うと、

「できるとは思うけど、大量生産は難しいかな、ちゃんと鏡として映るように磨くことを考えると・・・」

デニスは腕を組んで首を傾げる、

「鏡として使わなくてもいいのよ、正面から見るものでは無いしね、光をこう反射してキラキラする感じ?」

ソフィアが補足する、

「それであれば出来ます、はい、大丈夫です」

デニスはサッと姿勢を正して答えた、

「もう、そんなに固くならなくても」

コッキーがニヤニヤと実弟をからかう、

「そうね、であればほら、形もいろいろ工夫できるんじゃない?色もそうだけど、重さに注意する必要がありますが、ゴテゴテに盛らなければ大丈夫そうですし」

「そうですわね、それに、髪飾りとして考えれば、普段の結った髪に差すような物でもいいんじゃないかしら・・・主旨には反しますが、ガラス製品としてそういう風に考えても面白いかもですよ」

「確かに・・・うん・・・うふ、そうですよね、そっか、ガラスも装飾品になるんだ・・・」

コッキーが頷き、デニスは姿勢を正したままそっかーと一言呟いた、

「そうだ、コッキーさん、このガラス玉は量産出来ますか?」

エレインがポンと手を叩く、

「出来ますよ、それほど難しくは無いので可能です」

「では、うーん、6色・・・無色と赤と黄と緑と青と白・・・で6つね、この色が混じった感じが理想ですわね、これでそれぞれ20・・・30個かな注文したいのですが」

エレインは指折り数えて問う、

「何に使うんです?店舗で売るの?」

ブノワトが単純に問う、

「いいえ、昨日なんですが、髪飾りを作りましてね、で、六花商会の髪飾りを作る事にしたのです」

「あ、あれですか?」

テラもエレインの意図に気付いたようである、これはいいかもと同意した、

「そうよ、で、編み物で花を作る事にしたのですが、はい、このガラス玉を6つ並べるか、まとめるか、それで髪飾りにしたら面白いかもと・・・」

エレインは木箱からガラス玉を取り出してテーブルに並べる、縦長にしたりまとめみたりと組み合わせる、傍から見るとガラス玉で遊んでいるようにしか見えない、

「あー、それいいかもね、うん、可愛いし、綺麗だし、いんじゃない」

ソフィアが楽しそうに微笑んだ、

「なるほど、分かりました、作ります、えっと、そうなると、ご注文頂いたって事でいいんですか?」

コッキーがおずおずと問う、

「勿論ですよ、お幾らになります?」

そして簡単な値段交渉の末に、金額は決まり、木箱のガラス玉は試作品としてエレインに渡された、

「ありがとうございます、じゃ、もう一点」

コッキーがデニスに目配せする、デニスは口元を真一文字に引き締めて別の木箱を取り出して3人へ開いて見せた、

「・・・その、やっと、お見せできる品になったかなと思うのですが・・・」

自信なさげにデニスは呟く、木箱には3本のガラスペンが並んでいた、

「まぁ、え、これは何ですか?」

初見のテラが驚いている、

「ガラスペンですね、ガラスで作ったペンです、ソフィアさんに御教授頂きまして、デニスが取り組んでいたんですよー」

コッキーがデニスに代わって嬉しそうに説明した、

「え、凄い、ペンですか、え、書けるの?」

「勿論です、インクの吸い込みが良いので、羽ペンとか棒ペンとも違って書きやすいですよ」

「へー、初めてみました、これ、凄いんじゃないですか」

テラはエレインとソフィアへ視線を向ける、

「そうよ、ふふ、綺麗ね、やっぱりやれば出来るじゃない」

ソフィアはニヤリと微笑み、

「はい、ここまで良い品になるとは・・・これは芸術作品と言っても過言ではないですよ、素晴らしい品です」

エレインも絶賛の声を惜しまない、木箱の中のガラスペンは見事な装飾が施された品であった、以前披露されたものとは隔絶の感があり、一個の作品としてその存在感を誇示している、3本並んだそれらのモチーフは羽と薔薇、それと樹木であろうか、その造作は美しく、透明ガラスと色ガラスの交じり合った独特な色合いもさることながら、細かい造作が見事な品々である、

「なるほど、やっぱりね、厳しくした甲斐があったってものよ」

ソフィアはその一本を手にすると、じっくりと装飾を眺め、流水を固めたような質感に指を這わせる、そして筆記具として握り直すと、テーブルに何かを書き付けるように使い勝手を確認する、

「うん、少し重い感じがするのと振り回される感じもあるけど、ま、実際に使うか観賞用にするかは人それぞれだしね、うん、これならどこに出しても恥ずかしくないわよ、値段も言い値で売れるんじゃない?」

「そうですわね、うわ、凄いな、眺めているだけで楽しくなりますね、触った感じもヒンヤリしつつ滑らかで・・・うん、高級感がありますね、素晴らしい・・・」

エレインもソフィアと同様にガラスペンを手にし、テラはエレインの手にある品をじっと見つめた、

「えっと、そうなると・・・その」

デニスは何かを求めて口を開く、

「ん、あ、勿論合格よ、こんなに良い品になるとは思わなかったわ、頑張ったわね、よほど勉強したのかしら」

ソフィアの優しい微笑みがデニスに向けられ、デニスは大きく溜息を吐くと、

「良かったー、嬉しいです」

言葉少なく充実感に身を委ねたるのであった。
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