セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

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80話 儚い日常 その1

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翌朝、朝食を済ませ、さて今日は忙しいのだなーとタロウが白湯を口にしていると、

「バナナー、言ってみてー、バーナーナー」

眠そうにしているハナコにミナが小声で話しかけ、迷惑そうに顔を上げるハナコ、ゲッとタロウは内心で呻き、努めてそちらを視界に入れないようにと壁を見つめてしまう、

「バーナーナー、ほーらー、バーナーナー」

それを知ってか知らずかミナは尚も話しかけ、キューと呻いたハナコ、普段であれば寝せてやれと叱りつけるレインもニヤニヤとミナとハナコを見つめており、ソフィアとオリビアも嫌らしい笑みを口元に浮かべる、

「だめー?分かんないー?」

ムーと顔を顰めるミナ、キューと寝そべってついにそっぽを向いたハナコである、ありゃーとミナが呟くも、ニコーとタロウを見上げた、しかしタロウは見事にこちらを見ていない、ムーと再び顔を顰めるミナ、しょうがないなーと呟くと、ハナコを抱き上げ、タロウの座る炬燵にソッと近付き、

「バーナーナー、バーナーナー、たーべーたーいーニャー」

ハナコの背中に顔を埋め上目遣いでタロウを見つめる、どうやらハナコに隠れて言わせているつもりらしい、ウグッと視界に入れざるを得ないタロウ、何もそこまでと微笑むソフィアとオリビア、ニャーは違うだろうと生真面目に眉を顰めるレイン、

「ねー、食べたいよねー」

サッとミナは顔を上げ、再びサッとハナコの背中に顔を埋めると、

「たーべーたーいーニャー」

実に器用な腹話術、いや、二人羽織かその類、まったくとタロウは目を細めるも、実に迷惑そうに成すがままの眠そうなハナコ、ハナコも大変だなとタロウは苦笑し、仕方ないと大きく溜息を一つ吐いて、

「・・・はいはい、でもハナコは少しだけだぞ、甘すぎるからな・・・」

そう答えた瞬間、

「甘いの?」

サッと顔を上げるミナ、キャフンと驚くハナコ、

「まずな、甘くて柔らかくて・・・うん、食べやすいかな・・・」

「そうなのー?どんなの?美味しいの?」

「美味しいぞ、黄色いんだ、白い所を食べるんだけど」

「ホント?ホント?」

「ホントだ、ハナコも少しだけなら食べてもいいぞ」

「そうなのー?」

「そうなの」

やれやれと微笑むタロウ、結局こうなるんだからと苦笑するソフィアとレイン、優しいなーと微笑むオリビアである、昨晩、すっかりバナナがどうした、トマトがどうだと生徒達は盛り上がるも、当のタロウは実に嫌そうで詳細を口にせず、ジャネットが調子に乗ってあーだこーだと言い出し、いつのまにやらスイカのように巨大で、となれば種も大きくその種を食べる果物なのだというなんとも突拍子も無い代物になってしまっていた、美味しそーと一緒に騒ぐミナ、流石にそれはどうだろうと呆れるサレバ、大人達は面白い事を言うなーと純粋に楽しんでおり、誰も止める者はいなかった、どうせこうやって騒いでいればその内タロウが持って来るであろう、披露しないのはなんらかの理由があるか単にめんどくさいかだけでしかないと見透かしている、実際トマトの時もそうであった、トマトを披露した際はトマトの漬物はそれなりの量があったが、生のトマトは少なかった、よく考えれば冬の真っ只中である、いかに南の作物とはいえ、南方も冬であろうし、どのような植生を持つ植物かも分からない、タロウの気まぐれを待つのが良いのだろうなと考えたのだが、結局ミナのおねだりには敵わないようだ、

「ウフフー、嬉しー、ハナコー、ハナコも食べれるのよー」

ギューっとハナコを抱き締めるミナ、ムギューと嫌そうに身体を捻るハナコ、

「寝せてやれ、嫌われるぞ」

やっとレインが叱りつけた、わかったーと上機嫌で叫びハナコを床に下ろすミナ、ハナコはそそくさと暖炉の前の定位置に向かい、ムフーと鼻息を荒くしコテンと横になる、どうやらかなり迷惑で不愉快であったらしい、そりゃそうか可哀そうにとタロウは微笑み、

「まったく、まぁいいか・・・じゃ、俺はお仕事な・・・」

やれやれと腰を上げた、

「あら、早いのね」

ソフィアが白湯を手にしてニヤリと微笑む、

「まずねー、少し打合せをしたいしな・・・まぁ、あいつらがいればだけど」

タロウはめんどくさそうに額に手を当て朝食のトレーを片付けると、

「戻りは遅くなるかな・・・たぶんだけど」

と振り返る、

「ハイハイ、お好きにどうぞ、バナナ忘れないでよ」

ニヤーと微笑むソフィア、

「バナナー」

ミナが叫んでピョンと跳ねた、

「はいはい、あっ、ミナ、お手伝いしない子にはあげないからな」

一応と親父らしい事を言ってみるタロウ、

「えー、お手伝いー」

「そうだ、あっ、でも今日は勉強の日かな?」

「どうだろう、エルマさんもミシェレさんも来るけど、そんな暇あるかしら?」

ソフィアは軽く首を傾げ、

「事務所の個人部屋の準備は整えてありますよ」

オリビアがニコリと微笑む、

「そっか、じゃあ・・・と言っても好きにしてもらえばいいわね」

「ですね、今日はお嬢様もこちらで対応するとの事でした」

「そっ、じゃ、エレインさんにお願いして・・・まぁ、なにあったら子供達にも手伝わせましょう、と言っても大した事も出来ないでしょうけどね」

「ですねー」

優しく微笑むオリビア、

「えー、お手伝うー」

ミナがバッと振り返る、

「はいはい、じゃ、みんなが来るまでお掃除でもお願いしようかしら」

「わかったー、えっと、えっと、やるー、なにからやるー」

「まだ早いわよ」

「えー、でもー」

「落ち着きなさい」

「ブー、お手伝いー」

ギャーギャーと喚くミナ、元気だなーと思いつつ外套を手にして階段を上がるタロウであった。



それから生徒達とテラにニコリーネが食堂に顔を出し、バナナーと叫んで満面の笑顔を振り撒くミナ、あっ、どうなったのと盛り上がる生徒達、ミナがタロウが持って来るってーと簡単に報告すれば、よくやったーとミナを褒めだす女性達、あまり煽てないでよとソフィアは釘を差しつつ厨房へ向かう、そうして普段よりも若干騒がしい朝食が済まされ、生徒達は学園に、テラとエレインにニコリーネも仕事に向かった、やがて子供達も集まりだす、すると、

「おはようございます」

ソフィアが片付けを終えたとほぼ同時にエルマとミシェレ、アフラが顔を出す、ついでに朝食を済ませて三階に上がったユーリも下りて来た、

「あら、おはよう」

「オハヨー」

笑顔で一行を迎える子供達、

「おはよう、みんな風邪引いてない?」

「大丈夫ー」

「元気ー」

「先生はー」

キャーキャーとエルマを囲む子供達、エルマは嬉しそうな笑顔を浮かべ、ミシェレも硬い表情を柔らかくする、何気に緊張してしまっている、先日下見は済ませているが、かと言ってまったくの新生活が始まる初日であった、緊張しない方がおかしいというもので、さらには朝一番で王妃直々に声を掛けられている、期待していますよと優しい言葉であったが低く重い声音で、独特の圧を感じるその声に大きくハイと返し背筋を伸ばしたミシェレである、

「随分早いわね、もう少し遅いかと思ってたわ」

ニコニコと微笑むソフィア、見ればエルマもミシェレも大荷物を幾つか下げており、アフラも木箱を抱えている、

「その予定だったんですけど、タロウさんの講義を拝聴したいと思いまして」

子供達をあやしつつ笑顔で答えるエルマ、

「あら・・・そりゃまた・・・そうなの?」

「はい、王妃様達も気にしておりましたし、足を運ぶとの事でした」

ニコリと続けるエルマである、そんな大事になっていたのかと眉を顰めるソフィア、

「なのですいません、今日はまずそちらからと思いまして」

一転申し訳なさそうにソフィアをうかがうエルマとなる、あっ、そういう事かとソフィアは察し、

「はいはい、構わないわよ、でもそうなるとまだ早いんじゃない?午前の中頃って聞いたけど」

「ですね、先に荷物だけでも運んでおこうかと」

「そういう事ね、了解、じゃ、ほら、あんた達、今日は編み物の勉強から始めましょうか」

パンパンと手を叩くソフィア、女児達はハーイと素直であったが、エーと嫌そうに叫ぶ男児が一人、ブロースである、フロールが即座にコラッと叱り付け、ブーっと反抗するブロース、アハハーと子供達の笑い声が響き、うふふと微笑むエルマとミシェレ、そして二人はそのまま事務所へ向かったようで、後は自分達でなんとかなりますとアフラに一礼する二人、アフラはそのようですねと笑顔で受け、

「では、こちらは寮の皆様で」

と抱えた荷物をソフィアに向けた、

「あら・・・何?」

「色々ですね、ほら、コウボパンですか、あれの御礼との事です」

「あらま・・・別にいいのに」

「そう言う訳にもいかんと陛下も仰っておられました」

ニヤリと微笑むアフラ、これにはソフィアも思わずゲッと呻き、ユーリもそりゃまたと眉を顰める、

「フフッ、陛下もですしリシア様も大変喜ばれております、昨日もお召し上がりになりまして、これが一番ねと褒めておりました」

「それは・・・嬉しいけど・・・あっ、持たせたままでは失礼ね」

「断るのはもっと失礼ですよ」

ニコリと微笑むアフラ、

「それもそうね、では、素直に頂きます、陛下にも王妃様達にもリシア様にも御礼をお伝え下さい」

「はい、承ります」

ズシリと重い木箱を受け取るソフィアである、随分重いなと驚きつつ、恐らく生ものか肉の類かなと首を傾げると、

「なにそれー」

ミナがテテッとソフィアに駆け寄る、他の子供達も羨ましそうに見つめていた、

「なんだろねー、ほら、あんたらは準備なさい、今日は真面目にやるわよー」

子供達を見渡すソフィア、ハーイと明るく返す子供達、ミナも編み物籠に向かったようで、さてとソフィアは厨房へ入る、

「じゃ、上でいいかしら?」

ユーリがなんだ上で待っててもよかったなーとボリボリと頭をかく、一応何かあるかと下りて来たのであるが、まるで何も無かった、

「はい、報告書ですね」

「そうねー、アフラさんとリンドさんの意見も欲しかったのよ、時間ある?」

「はい、タロウさんの講義には私も出席しますので、それまでは」

「そっか、アフラさんも大変ねー、あっ、あれだ、サビナとカトカとゾーイも連れて行ってあげてー」

サッと踵を返すユーリ、

「あらっ・・・ユーリ先生は聞かれないのですか?」

「どうせ報告書にまとめるんだからそれを読めばいいわよ、第一、昨日ソフィアに聞いたらね、理想的過ぎて難しいって事だったし、タロウもね、それは先に言わないと駄目だなーって感じだったのよ」

階段に向かいつつ続けるユーリ、アフラはそれを追いつつ、

「理想的・・・ですか?」

怪訝な表情を浮かべる、

「そうなのよ、だから、ソフィアもね、その理想に近づけようとしているみたいでね、確かに毎朝の食事が豪華なんだわこの寮・・・まぁ、夕食も豪華なんだけどねー、お陰で少し太ったわ」

「まぁ、それは凄い・・・」

目を丸くするアフラである、

「ねー、まぁ、私も研究に専念してて身体を動かしてないからさ、それもあるかもだし、あれよね、クロノスは少しは痩せたの?」

「はい、殿下はもう、だいぶ」

「そっか、私も少し動くか、なんか昨日もねー、いや、私もやっぱり聞きに行こうかしら、なんかその辺の、なんていうか食事の摂り方ってのも大事だとかなんとかってタロウが言っててね」

「はい、それは私も聞いております、なにより病気に強くなるとか長生きできるとか」

「あらっ、そんな事も言ってるの?」

「そうなんです、なもんで、陛下も王妃様達も気にしてまして・・・」

「そっか、なら、王妃様達も来たくなるわよねー」

「そうなんですー」

取り留めなく話し乍ら階段を上がる二人、二人の去った食堂では、

「なにやってたっけー」

「マフラーでしょー」

「あっ、そっか、でも、出来たよー」

「そうだっけ?」

「うん、出来たー」

「えー、ソフィーのまだできてないー」

「ミナちゃんのは大きいんだもん」

「ムー、レイン、なんとかしてー」

「なんとかとはなんじゃ」

「だからなんとかー」

キャーキャーと子供達が騒ぎ出し、

「ハイハイ、じゃ、やるわよー、次は何を作ろうかしらねー」

ソフィアが食堂に戻ってきてハーイと元気に返す子供達であった。
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