7 / 28
7
しおりを挟む
森の奥深くにある廃墟(現在は快適なログハウス風別荘)に、平和な午後が訪れていた。
ルシアンはテラスのロッキングチェアに揺られながら、膝の上の本に視線を落とす。
傍らには、キースが淹れたハーブティー。
鳥のさえずりと、風の音。
そして、屋根の上でキースが雨樋を調整する微かな金属音。
(……最高ね)
ルシアンは目を細めた。
先日の『アラン&ミナ襲来事件』という悪夢のような騒音が嘘のようだ。
あの後、二人が二度と来ないように、キースは森の入り口に『落石注意』『熊出没』『毒蛇の巣』という看板を立ててくれたらしい。
その徹底ぶりには感謝しかない。
だが、ルシアンの平穏を脅かすものは、物理的な訪問者だけではなかった。
ガタゴト、ガタゴト。
聞き覚えのある馬車の音が近づいてくる。
「……また?」
ルシアンが警戒して身を起こすと、屋根の上からキースが顔を出した。
「……あれは、味方だ」
「味方?」
「……使用人」
現れたのは、あの日ルシアンをここまで送り届けた御者のハンスだった。
彼は馬車から飛び降りると、涙を流しながら駆け寄ってきた。
「お嬢様ぁぁぁ! ご無事でしたかぁぁぁ! ハンスは、ハンスは心配で夜も八時間しか眠れませんでしたぁぁぁ!」
「……十分寝ていますね、ハンス」
ルシアンは冷静に突っ込んだ。
「約束通り、一ヶ月分の食料と生活用品を持ってきました! ……って、あれ?」
ハンスは屋敷を見上げ、呆気にとられた顔をした。
「こ、ここは……本当にあの廃墟ですか? 壁が白い……窓がピカピカ……庭に花が咲いている……?」
「ええ、まあ。優秀な管理人がいますので」
ルシアンが屋根の上を指差すと、キースが無言でペコリと頭を下げた。
ハンスは「ひぃっ!?」とのけぞったが、すぐに気を取り直した。
「そ、そうですか。それは良かった……。ですがお嬢様、それどころではありません! 王都が大変なことになっているのです!」
「王都? またアラン殿下が何か?」
「違います! お嬢様の『評判』ですよ!」
ハンスは興奮気味に、鞄から数冊の週刊誌と新聞を取り出した。
「ご覧ください! 社交界は今、お嬢様の話題で持ち切りなのです!」
ルシアンは嫌な予感しかしないまま、新聞を受け取った。
一面トップには、デカデカとこう書かれていた。
『真実は沈黙の中にあり! 公爵令嬢ルシアン、元婚約者の暴挙を無言で断罪!』
「……は?」
「読んでください、ここです!」
ハンスが記事を指差す。
『先日、アラン殿下とミナ男爵令嬢が、療養中のルシアン嬢を訪問した件について、驚くべき証言が得られた。殿下らは「慰めに行った」と主張しているが、実態は執拗な嫌がらせであった可能性が高い。しかし、ルシアン嬢は罵詈雑言に対し、一言も言い返すことなく、ただ静寂を保ち続けたという』
ルシアンは眉をひそめた。
「……まあ、事実はその通りですけど」
言い返さなかったのは、面倒だったからだ。
記事は続く。
『その沈黙は、決して弱さではない。それは「貴方たちと同じ土俵には立たない」という、高潔なる貴族の矜持である! 嵐のような罵倒を柳のように受け流し、最後にはその気高さに圧倒された殿下たちが、恐れをなして逃げ帰ったとのことだ』
「……逃げ帰ったのは、キースの殺気にビビったからですが」
『まさに「氷の令嬢」の真骨頂。多くを語らず、背中で語るその姿に、社交界からは称賛の声が上がっている。「彼女こそ真の貴族だ」「沈黙は金、雄弁は銀という言葉を体現している」――今、ルシアン・ヴァイオレット株がストップ高だ!』
バサッ。
ルシアンは新聞を取り落とした。
「……な、なんなのこれ……」
「凄いでしょうお嬢様!」
ハンスが鼻息荒く語る。
「殿下たちが帰還後、『森で恐ろしい目に遭った! ルシアンは呪われている!』と触れ回ったのが逆効果だったのです! 人々は『か弱い令嬢一人に怯えるとは情けない』と殿下を笑い、逆に堂々としていた(らしい)お嬢様を評価したのです!」
「まって。堂々としていたわけじゃないわ。ただ耳を塞いでいただけよ」
「それが『聞く価値なし』という究極の侮辱(ポーズ)として解釈されたのです!」
「誤解だわ! 盛大な誤解よ!」
ルシアンは頭を抱えた。
彼女の望みは『忘れ去られること』だ。
「あの人はもう過去の人」「森でひっそり野垂れ死んだらしい」と思われてこそ、真の自由が得られるのだ。
それなのに、なぜか『孤高の聖女』みたいな扱いになっている。これでは、また面倒な連中が様子を見に来てしまうではないか。
「……迷惑だわ」
「なぜですか! これでお父上も鼻が高いと仰っておりましたぞ! 『やはり我が娘だ、無言の圧力に関しては天才的だ』と!」
「褒められていない気がします……」
その時、背後からスッと手が伸び、落ちた新聞を拾い上げた。
キースだ。
彼は真剣な眼差しで記事を読み込み、フム、と頷いた。
「……悪くない」
「どこがですか! 私の隠遁計画が台無しです!」
「……真実は、伝わる」
キースは記事の隅にある、小さなコラムを指差した。
そこには『森の守護者? 令嬢を守る謎の影』という見出しがあった。
『目撃者(御者)によると、ルシアン嬢の背後には、黒き衣を纏った大男が立っていたという。彼は一言も発さず、ただ殿下たちを睨みつけただけで退散させた。あれは森の精霊か、あるいはルシアン嬢の忠誠なる守護騎士か――』
「……俺だ」
「知っています。貴方以外に誰がいるのですか」
キースは満足げに口角を上げた。
「……守護騎士。……いい響きだ」
「喜んでいる場合ですか! 貴方の存在までバレかけていますよ!」
「……問題ない」
キースは新聞を丁寧に折りたたみ、懐にしまった。
「……俺の正体は、誰も知らない。……ただの『噂』として流布させておいた」
「流布させた?」
ルシアンはハッとした。
「まさか、この記事……貴方が?」
キースは答えなかった。
だが、彼が時折、森から姿を消していたことを思い出す。
まさか王都に行って、情報操作をしていたのではあるまいか。
アランたちに有利な噂が流れるのを防ぐために、先手を打って『ルシアン称賛記事』を書かせた?
「……キースさん」
「……なんだ」
「貴方、私のために……?」
キースはそっぽを向いた。
「……静かな生活を守るには、世論を味方につけるのが一番だ」
「それは……そうですけれど」
「……『気高い令嬢』というイメージが定着すれば、軽々しく手出しできなくなる。……アランのような馬鹿は特にな」
論理的だ。
確かに、「惨めな追放令嬢」だと思われれば、面白がって揶揄いに来る輩がいるかもしれない。
だが、「手出し無用の孤高の存在」になれば、遠巻きに崇められるだけで済む。
(……考えてくれているのね)
ルシアンは溜息をつきつつも、胸の奥が少し温かくなった。
この不器用な隣人は、彼なりに彼女の『おひとり様』を守ろうと必死なのだ。
方向性は少々おかしいが。
「……ありがとうございます。でも、これ以上目立つのは困りますから、ほどほどにお願いしますね」
「……善処する」
「お嬢様、このハンスも微力ながら協力しますぞ!」
ハンスが割り込む。
「街で『お嬢様は森で仙人のような修行をしている』と広めておきます!」
「やめてハンス。仙人は嫌」
「では『森の魔女』で!」
「もっと嫌です」
そんなやり取りをしていると、キースが持ってきた籠から林檎を一つ取り出し、ハンスに投げ渡した。
「……帰れ」
「へ?」
「……日が暮れる。森は危険だ」
「あ、はい! そうですね! 長居は無用ですね!」
ハンスはキースの無言の圧力(早く二人きりにさせろというオーラ)を敏感に察知した。
「ではお嬢様、物資は玄関に置いておきます! また来月!」
「ええ、ありがとうハンス。次は静かに来てね」
ハンスは嵐のように去っていった。
再び、静寂が戻ってくる。
ルシアンは新聞の束を、やはり燃料にするために暖炉のそばに積んだ。
「……有名になるのも、楽じゃないわね」
「……有名税だ」
キースが再びお茶を注いでくれる。
「……だが、ここには誰も来させない。……俺がいる限り」
その言葉は、どんな騎士の誓いよりも頼もしく響いた。
ルシアンは紅茶を一口飲む。
「頼りにしていますわ、守護騎士様(ナイト)」
からかうように言うと、キースが初めて、あからさまに動揺した。
ガチャン。
ティーポットの蓋を落としたのだ。
「……っ」
彼は慌てて拾い上げ、耳まで赤くして背を向けた。
「……修理してくる」
「壊れていませんよ?」
「……心の修理だ」
意味不明なことを言い残し、彼は屋根の上へと逃亡した。
ルシアンは、くすりと笑った。
(意外と初心なのね)
王都の噂など、どうでもよくなった。
どんなに誤解されようと、ここでこうして静かに笑い合える(片方は無言だが)相手がいれば、それでいい。
勘違いされた『悪役令嬢の沈黙』。
その真実は、ただ『大切な人との時間を邪魔されたくない』という、ささやかな我儘へと変わりつつあった。
だが、運命はそう簡単に彼女を隠居させてはくれない。
この噂を聞きつけ、次にやってくるのは『好奇心』という名の野次馬たちだった。
ルシアンの安息の日々は、まだまだ遠い。
ルシアンはテラスのロッキングチェアに揺られながら、膝の上の本に視線を落とす。
傍らには、キースが淹れたハーブティー。
鳥のさえずりと、風の音。
そして、屋根の上でキースが雨樋を調整する微かな金属音。
(……最高ね)
ルシアンは目を細めた。
先日の『アラン&ミナ襲来事件』という悪夢のような騒音が嘘のようだ。
あの後、二人が二度と来ないように、キースは森の入り口に『落石注意』『熊出没』『毒蛇の巣』という看板を立ててくれたらしい。
その徹底ぶりには感謝しかない。
だが、ルシアンの平穏を脅かすものは、物理的な訪問者だけではなかった。
ガタゴト、ガタゴト。
聞き覚えのある馬車の音が近づいてくる。
「……また?」
ルシアンが警戒して身を起こすと、屋根の上からキースが顔を出した。
「……あれは、味方だ」
「味方?」
「……使用人」
現れたのは、あの日ルシアンをここまで送り届けた御者のハンスだった。
彼は馬車から飛び降りると、涙を流しながら駆け寄ってきた。
「お嬢様ぁぁぁ! ご無事でしたかぁぁぁ! ハンスは、ハンスは心配で夜も八時間しか眠れませんでしたぁぁぁ!」
「……十分寝ていますね、ハンス」
ルシアンは冷静に突っ込んだ。
「約束通り、一ヶ月分の食料と生活用品を持ってきました! ……って、あれ?」
ハンスは屋敷を見上げ、呆気にとられた顔をした。
「こ、ここは……本当にあの廃墟ですか? 壁が白い……窓がピカピカ……庭に花が咲いている……?」
「ええ、まあ。優秀な管理人がいますので」
ルシアンが屋根の上を指差すと、キースが無言でペコリと頭を下げた。
ハンスは「ひぃっ!?」とのけぞったが、すぐに気を取り直した。
「そ、そうですか。それは良かった……。ですがお嬢様、それどころではありません! 王都が大変なことになっているのです!」
「王都? またアラン殿下が何か?」
「違います! お嬢様の『評判』ですよ!」
ハンスは興奮気味に、鞄から数冊の週刊誌と新聞を取り出した。
「ご覧ください! 社交界は今、お嬢様の話題で持ち切りなのです!」
ルシアンは嫌な予感しかしないまま、新聞を受け取った。
一面トップには、デカデカとこう書かれていた。
『真実は沈黙の中にあり! 公爵令嬢ルシアン、元婚約者の暴挙を無言で断罪!』
「……は?」
「読んでください、ここです!」
ハンスが記事を指差す。
『先日、アラン殿下とミナ男爵令嬢が、療養中のルシアン嬢を訪問した件について、驚くべき証言が得られた。殿下らは「慰めに行った」と主張しているが、実態は執拗な嫌がらせであった可能性が高い。しかし、ルシアン嬢は罵詈雑言に対し、一言も言い返すことなく、ただ静寂を保ち続けたという』
ルシアンは眉をひそめた。
「……まあ、事実はその通りですけど」
言い返さなかったのは、面倒だったからだ。
記事は続く。
『その沈黙は、決して弱さではない。それは「貴方たちと同じ土俵には立たない」という、高潔なる貴族の矜持である! 嵐のような罵倒を柳のように受け流し、最後にはその気高さに圧倒された殿下たちが、恐れをなして逃げ帰ったとのことだ』
「……逃げ帰ったのは、キースの殺気にビビったからですが」
『まさに「氷の令嬢」の真骨頂。多くを語らず、背中で語るその姿に、社交界からは称賛の声が上がっている。「彼女こそ真の貴族だ」「沈黙は金、雄弁は銀という言葉を体現している」――今、ルシアン・ヴァイオレット株がストップ高だ!』
バサッ。
ルシアンは新聞を取り落とした。
「……な、なんなのこれ……」
「凄いでしょうお嬢様!」
ハンスが鼻息荒く語る。
「殿下たちが帰還後、『森で恐ろしい目に遭った! ルシアンは呪われている!』と触れ回ったのが逆効果だったのです! 人々は『か弱い令嬢一人に怯えるとは情けない』と殿下を笑い、逆に堂々としていた(らしい)お嬢様を評価したのです!」
「まって。堂々としていたわけじゃないわ。ただ耳を塞いでいただけよ」
「それが『聞く価値なし』という究極の侮辱(ポーズ)として解釈されたのです!」
「誤解だわ! 盛大な誤解よ!」
ルシアンは頭を抱えた。
彼女の望みは『忘れ去られること』だ。
「あの人はもう過去の人」「森でひっそり野垂れ死んだらしい」と思われてこそ、真の自由が得られるのだ。
それなのに、なぜか『孤高の聖女』みたいな扱いになっている。これでは、また面倒な連中が様子を見に来てしまうではないか。
「……迷惑だわ」
「なぜですか! これでお父上も鼻が高いと仰っておりましたぞ! 『やはり我が娘だ、無言の圧力に関しては天才的だ』と!」
「褒められていない気がします……」
その時、背後からスッと手が伸び、落ちた新聞を拾い上げた。
キースだ。
彼は真剣な眼差しで記事を読み込み、フム、と頷いた。
「……悪くない」
「どこがですか! 私の隠遁計画が台無しです!」
「……真実は、伝わる」
キースは記事の隅にある、小さなコラムを指差した。
そこには『森の守護者? 令嬢を守る謎の影』という見出しがあった。
『目撃者(御者)によると、ルシアン嬢の背後には、黒き衣を纏った大男が立っていたという。彼は一言も発さず、ただ殿下たちを睨みつけただけで退散させた。あれは森の精霊か、あるいはルシアン嬢の忠誠なる守護騎士か――』
「……俺だ」
「知っています。貴方以外に誰がいるのですか」
キースは満足げに口角を上げた。
「……守護騎士。……いい響きだ」
「喜んでいる場合ですか! 貴方の存在までバレかけていますよ!」
「……問題ない」
キースは新聞を丁寧に折りたたみ、懐にしまった。
「……俺の正体は、誰も知らない。……ただの『噂』として流布させておいた」
「流布させた?」
ルシアンはハッとした。
「まさか、この記事……貴方が?」
キースは答えなかった。
だが、彼が時折、森から姿を消していたことを思い出す。
まさか王都に行って、情報操作をしていたのではあるまいか。
アランたちに有利な噂が流れるのを防ぐために、先手を打って『ルシアン称賛記事』を書かせた?
「……キースさん」
「……なんだ」
「貴方、私のために……?」
キースはそっぽを向いた。
「……静かな生活を守るには、世論を味方につけるのが一番だ」
「それは……そうですけれど」
「……『気高い令嬢』というイメージが定着すれば、軽々しく手出しできなくなる。……アランのような馬鹿は特にな」
論理的だ。
確かに、「惨めな追放令嬢」だと思われれば、面白がって揶揄いに来る輩がいるかもしれない。
だが、「手出し無用の孤高の存在」になれば、遠巻きに崇められるだけで済む。
(……考えてくれているのね)
ルシアンは溜息をつきつつも、胸の奥が少し温かくなった。
この不器用な隣人は、彼なりに彼女の『おひとり様』を守ろうと必死なのだ。
方向性は少々おかしいが。
「……ありがとうございます。でも、これ以上目立つのは困りますから、ほどほどにお願いしますね」
「……善処する」
「お嬢様、このハンスも微力ながら協力しますぞ!」
ハンスが割り込む。
「街で『お嬢様は森で仙人のような修行をしている』と広めておきます!」
「やめてハンス。仙人は嫌」
「では『森の魔女』で!」
「もっと嫌です」
そんなやり取りをしていると、キースが持ってきた籠から林檎を一つ取り出し、ハンスに投げ渡した。
「……帰れ」
「へ?」
「……日が暮れる。森は危険だ」
「あ、はい! そうですね! 長居は無用ですね!」
ハンスはキースの無言の圧力(早く二人きりにさせろというオーラ)を敏感に察知した。
「ではお嬢様、物資は玄関に置いておきます! また来月!」
「ええ、ありがとうハンス。次は静かに来てね」
ハンスは嵐のように去っていった。
再び、静寂が戻ってくる。
ルシアンは新聞の束を、やはり燃料にするために暖炉のそばに積んだ。
「……有名になるのも、楽じゃないわね」
「……有名税だ」
キースが再びお茶を注いでくれる。
「……だが、ここには誰も来させない。……俺がいる限り」
その言葉は、どんな騎士の誓いよりも頼もしく響いた。
ルシアンは紅茶を一口飲む。
「頼りにしていますわ、守護騎士様(ナイト)」
からかうように言うと、キースが初めて、あからさまに動揺した。
ガチャン。
ティーポットの蓋を落としたのだ。
「……っ」
彼は慌てて拾い上げ、耳まで赤くして背を向けた。
「……修理してくる」
「壊れていませんよ?」
「……心の修理だ」
意味不明なことを言い残し、彼は屋根の上へと逃亡した。
ルシアンは、くすりと笑った。
(意外と初心なのね)
王都の噂など、どうでもよくなった。
どんなに誤解されようと、ここでこうして静かに笑い合える(片方は無言だが)相手がいれば、それでいい。
勘違いされた『悪役令嬢の沈黙』。
その真実は、ただ『大切な人との時間を邪魔されたくない』という、ささやかな我儘へと変わりつつあった。
だが、運命はそう簡単に彼女を隠居させてはくれない。
この噂を聞きつけ、次にやってくるのは『好奇心』という名の野次馬たちだった。
ルシアンの安息の日々は、まだまだ遠い。
255
あなたにおすすめの小説
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。
王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?
ねーさん
恋愛
公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。
なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。
王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!
謹んで、婚約破棄をお受けいたします。
パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。
婚約破棄、承りました!悪役令嬢は面倒なので認めます。
パリパリかぷちーの
恋愛
「ミイーシヤ! 貴様との婚約を破棄する!」
王城の夜会で、バカ王子アレクセイから婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢ミイーシヤ。
周囲は彼女が泣き崩れると思ったが――彼女は「承知いたしました(ガッツポーズ)」と即答!
私が生きていたことは秘密にしてください
月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。
見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。
「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)
放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」
公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ!
――のはずだったのだが。
「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」
実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!?
物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる!
※表紙はNano Bananaで作成しています
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる