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ヴィー
回想3
しおりを挟む服が仕立て上がり、しばらくすると、王都へ向かうことになった。王都へは馬車で5日かかるらしい。
馬車だとそんなにかかるのか。それなら自力で走ったり馬で駆けた方が楽だな。
ハンターをやっていると、商人の護衛の仕事がない限り馬車に乗ることはほとんどない。馬を借りるか、自力で走ることが多かった。
王都へ向かうため、綺麗な彫刻が施された馬車に乗って進んでいく。
今日泊まる街で宿を訪ねると、部屋が私とアルマ様が同室で予約されていたらしい。
別に私は構わないが、アルマ様はとても困った顔をしていた。
やはりまだ受け入れてもらえているわけではないんだな……
そんな困った顔をされると少し悲しい。
私がソファーで寝ると言うと、アルマ様は何もしないから一緒に寝ると言った。
何もしないのか。そう言われてしまうと私からも何もできない。
それでも寝る前のキスは受け入れてくれたし、手を繋いで寝たいという私の希望にも応えてくれた。
今はこれでいい。手を繋いでくれるだけでもいい。嫌われてはいないということだ。いつか好きになってもらえたら嬉しいけど、嫌われていないだけでいい。
そう思っていたが、翌朝起きて驚いた。アルマ様が私のことを抱きしめて寝ていた。
アルマ様は無意識だったようで自分でも驚いていたが、もうこんなチャンスはないかもしれないと思い「もう少しだけ……」と言ってアルマ様の胸筋の谷間に顔を埋めた。
そしたらアルマ様は私のことを抱きしめてくれて、もしかしたらなんてふわふわとした気持ちになった。
ここは温かくて柔らかくて幸せだ。
王都までの宿は全て同室だったので、毎日手を繋いで寝た。こんなに幸せな日々が続いていくなんて、これからとんでもなく悪いことが起きる前触れじゃないよな?
少し不安になりながら王都に辿り着くと、アルマ様が街に一緒に行こうと言った。
フォンテ王国の王都は久しぶりだな。と言ってもアルマ様の領地に行く前にちょっと寄ったから、それほど昔というわけでもない。
「アルマ様、あれが食べたいです」
「ん? マシュマロか? いいぞ」
私は串に刺さったカラフルなマシュマロを売っている屋台を指差した。
するとアルマ様はマシュマロを買って私に渡してくれた。
またアルマ様にマシュマロを買ってもらえる日が来るなんて思っていなかった。今日はなんて幸せな日なんだろう?
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