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ヴィー
領地へ
しおりを挟む私は近づこうとするアルマ様から逃げた。
馬車の中は逃げられなかったが、休憩を終えると、外にある御者席の隣に座った。
隣に座れば、手を握ろうとするし、私の顔をジッと見つめるし、なぜか分からない。
途中の街の宿では、同じベッドで寝たが、私は落ちそうなほど左端に寄って背を向けて寝た。
雨が降る日は、さすがに御者席にいることはできず、馬車の中に入ることになったが、気まずくて仕方なかった。
「ヴィー、俺のことが嫌いになったのか?」
「いいえ」
「俺を避けないでくれ」
「はい」
そんなことを真剣な顔で言われると、逃げることができなくなる。
嫌いになったか? なんて、そんなわけない。
嫌いになったのは、あなたの方ですよね?
何の意図があってアルマ様は私にそんなことを聞いたのかも分からなかった。
気まずい空気のまま領地に着くと、私は疲れてしまっていた。
さっさと自室に引っ込んで、1人用の部屋にあるベッドで寝た。
夕方になると執事が夕飯の用意ができたと呼びに来たから、仕方なくダイニングに向かって、また会話もなく食事をとった。
「ヴィー、一緒に部屋に行こう」
「はい」
私が返事をすると、アルマ様は有無を言わさず私の右手をギュッと握ってきたので、解こうとしたけど解けなかった。
もしかして、手放す前に食うだけ食っておこうとか、そういうことか?
そんな人には見えないが、私はアルマ様の全てを知っているわけではない。そのような一面が無いとも限らない。
私は自分で言うのもなんだが、それなりに綺麗な容姿をしている。だから色欲の目で見られることも多いし、危ない目に遭ったこともある。鍛えてからは全て返り討ちにしているが。
しかし、この握られた手すら振り解けないとなると、アルマ様が相手だと私では抵抗しても逃れることはできないだろう。
どうせ捨てられるなら、最後にアルマ様に抱かれるのもありかもしれない。
私は男だし処女を守ったりする必要もない。
抵抗していた手の力を抜いた。
部屋に入ると、アルマ様に熱の籠った目で見つめられ、抱きしめられた。
いよいよか。起きている時に抱きしめられるのは初めてだな。逞しい体だ。温かくて、幸せで、そして苦しくて涙が出そうだ。
「じ、準備をしてくるので、しばしお待ちください」
私は覚悟を決めて部屋の風呂に向かった。
アルマ様の嫁になると決めた時から受け入れるための準備はしていた。
手順も分かる。最後に一度抱くというなら、すぐに入れてくるかもしれない。しっかり解しておかなければきっと痛いだろう。
中を洗って、香油を手に馴染ませて入口をグイグイと指で広げて、中にも香油を注いだ。
これだけしておけばきっとすぐに入れられても大丈夫だと思う。たぶん。
まだ私は自分の指しか突っ込んだことはないから、分からないが、やれることはやったと思う。
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