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第一章 結婚は人生の墓場と言うが
俺と結婚してください
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濃く立ち込めていた霧が、瞬時に晴れたような気分だった。
記憶の奥底に押し込められていた思い出が、ついさっきのことのように鮮やかに甦る。
背ばかりが高くて線の細い少年だった彼は、きっとお忍びで城を抜け出してきたのだろう。当時は天才的な魔法の使い手だったというから、城を抜け出す手段はいくらでもあったに違いない。
今の今まで忘れていた、グレウスの淡い初恋。
十五年以上が経過しているが、こちらを見上げる横顔には、確かにあの時の面影が残っていた。
あの時――お日様の目をした少年は、グレウスの幼い求婚に何と答えてくれたのだったか。
「――お」
体内に埋められた質量に、相手はようやく少し慣れてきた様子だった。徐々に呼吸を整えながら、潤みを帯びた赤い目が物憂げに見上げる。
美しい、グレウスの大好きな朝焼けの色で。
その目と視線が合った途端、グレウスはあの日に還ったかのように口を開いた。
「俺と結婚してください!」
――思わず、そう叫んでいた。
神経質そうな細い眉が寄せられ、顔に怪訝そうな表情が浮かんだ。
次いで軽く目を見開いたかと思うと、突然何かを察したかのように、真珠のような白い肌がサッと首まで赤く変わった。
「お、おまえ……まさか、今思い出し――ァアッ!?」
驚きと羞恥を浮かべた表情が切なく歪んだ。
ようやく馴染んだかと思った体内の逸物が、急に大きさを増したせいだ
白かった肌が赤みを帯び、取り澄ましていた美貌に人間らしい表情が浮かぶ。潤んだ瞳、宙を彷徨う視線。薄く開いた唇から漏れる声が、グレウスの劣情を煽り立てる。
「待――ッ」
気配を察したオルガが、片腕を後ろに伸ばして、腰を支えたグレウスの手を掴んできた。
待てと言われたが、グレウスの方はもう余裕も忍耐も限界だ。制止を聞かずに深々と入れた腰を引くと、浅い場所で前後に動かし始めた。
「ぁッ、ぁあ……ッ!」
「……好きです、オルガ!……俺と結婚してくださいッ……!」
前に這って逃げようとする体を押さえて、雁の部分で内壁を擦るように小刻みに揺らす。
オルガが苦しんでいるのはわかっていた。
ただでさえ、グレウスは体が大きい。今まで報われることのなかった雄の部分も、体格に比例してそれなりだ。
出来るだけ動きを抑えなければと思ったが、精力と体力が無駄に有り余った体は歯止めが効かない。初めて味わう濡れた肉の感触も、掴んだ腰が掌の下でビクビクと慄く感触も、グレウスの欲情を煽り立てるばかりだ。
体はだんだん前のめりになっていき、それにつれてグレウスの牡は温かい肉の深みを求めてしまう。
「待て、待ッ、ッ…………ああッ、動く、なッ……深い、ぃッ」
体が密着していくと、掠れた声をあげて、ついにオルガが弱音を吐いた。
伸びあがって逃れようとする体。白い首筋を束になった黒髪が流れていき、寝台の上に広がって生き物のようにうねっている。
グレウスの逸物を深々と呑み込んだ穴は、前後に動くたびに淫らな水音を立てた。
引き攣るように断続的に締め付けてくる肉襞。まるで搾り取るような腰の動き。枕を握る手の白さ――。
あまりにも扇情的で、今日人肌を知ったばかりのグレウスに我慢が効くはずもない。
「好きです!……貴方と、もっと深く繋がりたい……!」
「あ、ヒィッ!」
逃げていくオルガを追い詰めるように、グレウスは前に進んだ。
離れていた肌がぴたりと合わさり、膨れ上がった牡が再び根元までオルガの中に収まる。
「……奥……駄目だ、そんな奥、やっ!…………やぁあッ!」
体の奥を突き上げると、低く気品に満ちていた声が裏返った。
膝を立てた両足がぶるぶると震え、濡れた肉壺がグレウスの牡をキュッと締め付ける。
その感触に頭の芯を焼かれそうになりながら、グレウスは亀頭の先端を壁に押し付けるように、オルガの体の最奥部を揺さぶった。
「……やめ……やめ、ろ…………それは……ッ……」
前に這って逃げたせいで、枕を積んだ寝台の端に追い詰められ、オルガはそれ以上の行き場を失っていた。
ガウンはすでに袖を通しているだけで、すっかりはだけてしまっている。
その上、初めに抱きしめていた大振りな枕が腹の下にきたせいで、腰を下げることもできずにいた。
半裸でグレウスに尻を差し出す、扇情的な獣の姿勢だ。
止めろと言われても、こんな姿を見せられては治まるはずもない。
暴走しそうな欲望を必死で堪え、できるだけ負担が少ないようにと単調な動きを繰り返す。
突然、オルガの声が甘い官能の色を帯びた。
「……なに……? なにか、くる…………あっ!? なに……あっ、あぁッ……」
グレウスの牡に抉られ続けたオルガの最奥が、ようやく快楽の扉を開いたようだ。濡れた媚肉がグレウスを迎え入れるように蠕動し、されるがままだった腰が自らの意思をもって揺れ始めた。
鼻にかかった声が立て続けに漏れ、明らかな嬌声へと変わっていく。
声に導かれるように、濡れた水音が激しさを増した。
「好きです、オルガ……!」
なけなしの自制心も使い果たしてしまった。
快楽の頂を目指して、グレウスは突き上げる動きを大きくする。肌を叩く音を立てながら、馬鹿の一つ覚えのように想いを告げた。
返ってくるのは裏返った声と切羽詰まった息遣いだけだ。だが、それでも良かった。
初恋の相手が腕の中にいる。初めて会った時よりも何倍も美しくなって。
たとえ皇帝からの命に逆らえなかっただけだとしても、それでもいい。
寝室でグレウスの妻になろうと待っていてくれた。高貴な身でありながら、自ら初夜の準備までして、受け入れようとしてくれたのだ。
これ以上を望めるはずがない。
「……好き、です……オルガ……ッ!……ッ」
「ア、アアッ……!」
耐えに耐えてきた欲望が、ついに弾けた。
膝を突いた脚を開かせ、猛り狂うものを深々と突き入れる。肉壺の奥に思う存分迸らせると、グレウスの砲身を包む媚肉が貪るように吸い付いてきた。
胴震いしながら、最後の一滴までを注ぎ込む。
「……ふぁっ……あっ……ああぁぁ――…………」
精を搾り取る肉襞の蠕動に合わせて、オルガが腰を揺らしながら啜り泣くような声を上げていた。
記憶の奥底に押し込められていた思い出が、ついさっきのことのように鮮やかに甦る。
背ばかりが高くて線の細い少年だった彼は、きっとお忍びで城を抜け出してきたのだろう。当時は天才的な魔法の使い手だったというから、城を抜け出す手段はいくらでもあったに違いない。
今の今まで忘れていた、グレウスの淡い初恋。
十五年以上が経過しているが、こちらを見上げる横顔には、確かにあの時の面影が残っていた。
あの時――お日様の目をした少年は、グレウスの幼い求婚に何と答えてくれたのだったか。
「――お」
体内に埋められた質量に、相手はようやく少し慣れてきた様子だった。徐々に呼吸を整えながら、潤みを帯びた赤い目が物憂げに見上げる。
美しい、グレウスの大好きな朝焼けの色で。
その目と視線が合った途端、グレウスはあの日に還ったかのように口を開いた。
「俺と結婚してください!」
――思わず、そう叫んでいた。
神経質そうな細い眉が寄せられ、顔に怪訝そうな表情が浮かんだ。
次いで軽く目を見開いたかと思うと、突然何かを察したかのように、真珠のような白い肌がサッと首まで赤く変わった。
「お、おまえ……まさか、今思い出し――ァアッ!?」
驚きと羞恥を浮かべた表情が切なく歪んだ。
ようやく馴染んだかと思った体内の逸物が、急に大きさを増したせいだ
白かった肌が赤みを帯び、取り澄ましていた美貌に人間らしい表情が浮かぶ。潤んだ瞳、宙を彷徨う視線。薄く開いた唇から漏れる声が、グレウスの劣情を煽り立てる。
「待――ッ」
気配を察したオルガが、片腕を後ろに伸ばして、腰を支えたグレウスの手を掴んできた。
待てと言われたが、グレウスの方はもう余裕も忍耐も限界だ。制止を聞かずに深々と入れた腰を引くと、浅い場所で前後に動かし始めた。
「ぁッ、ぁあ……ッ!」
「……好きです、オルガ!……俺と結婚してくださいッ……!」
前に這って逃げようとする体を押さえて、雁の部分で内壁を擦るように小刻みに揺らす。
オルガが苦しんでいるのはわかっていた。
ただでさえ、グレウスは体が大きい。今まで報われることのなかった雄の部分も、体格に比例してそれなりだ。
出来るだけ動きを抑えなければと思ったが、精力と体力が無駄に有り余った体は歯止めが効かない。初めて味わう濡れた肉の感触も、掴んだ腰が掌の下でビクビクと慄く感触も、グレウスの欲情を煽り立てるばかりだ。
体はだんだん前のめりになっていき、それにつれてグレウスの牡は温かい肉の深みを求めてしまう。
「待て、待ッ、ッ…………ああッ、動く、なッ……深い、ぃッ」
体が密着していくと、掠れた声をあげて、ついにオルガが弱音を吐いた。
伸びあがって逃れようとする体。白い首筋を束になった黒髪が流れていき、寝台の上に広がって生き物のようにうねっている。
グレウスの逸物を深々と呑み込んだ穴は、前後に動くたびに淫らな水音を立てた。
引き攣るように断続的に締め付けてくる肉襞。まるで搾り取るような腰の動き。枕を握る手の白さ――。
あまりにも扇情的で、今日人肌を知ったばかりのグレウスに我慢が効くはずもない。
「好きです!……貴方と、もっと深く繋がりたい……!」
「あ、ヒィッ!」
逃げていくオルガを追い詰めるように、グレウスは前に進んだ。
離れていた肌がぴたりと合わさり、膨れ上がった牡が再び根元までオルガの中に収まる。
「……奥……駄目だ、そんな奥、やっ!…………やぁあッ!」
体の奥を突き上げると、低く気品に満ちていた声が裏返った。
膝を立てた両足がぶるぶると震え、濡れた肉壺がグレウスの牡をキュッと締め付ける。
その感触に頭の芯を焼かれそうになりながら、グレウスは亀頭の先端を壁に押し付けるように、オルガの体の最奥部を揺さぶった。
「……やめ……やめ、ろ…………それは……ッ……」
前に這って逃げたせいで、枕を積んだ寝台の端に追い詰められ、オルガはそれ以上の行き場を失っていた。
ガウンはすでに袖を通しているだけで、すっかりはだけてしまっている。
その上、初めに抱きしめていた大振りな枕が腹の下にきたせいで、腰を下げることもできずにいた。
半裸でグレウスに尻を差し出す、扇情的な獣の姿勢だ。
止めろと言われても、こんな姿を見せられては治まるはずもない。
暴走しそうな欲望を必死で堪え、できるだけ負担が少ないようにと単調な動きを繰り返す。
突然、オルガの声が甘い官能の色を帯びた。
「……なに……? なにか、くる…………あっ!? なに……あっ、あぁッ……」
グレウスの牡に抉られ続けたオルガの最奥が、ようやく快楽の扉を開いたようだ。濡れた媚肉がグレウスを迎え入れるように蠕動し、されるがままだった腰が自らの意思をもって揺れ始めた。
鼻にかかった声が立て続けに漏れ、明らかな嬌声へと変わっていく。
声に導かれるように、濡れた水音が激しさを増した。
「好きです、オルガ……!」
なけなしの自制心も使い果たしてしまった。
快楽の頂を目指して、グレウスは突き上げる動きを大きくする。肌を叩く音を立てながら、馬鹿の一つ覚えのように想いを告げた。
返ってくるのは裏返った声と切羽詰まった息遣いだけだ。だが、それでも良かった。
初恋の相手が腕の中にいる。初めて会った時よりも何倍も美しくなって。
たとえ皇帝からの命に逆らえなかっただけだとしても、それでもいい。
寝室でグレウスの妻になろうと待っていてくれた。高貴な身でありながら、自ら初夜の準備までして、受け入れようとしてくれたのだ。
これ以上を望めるはずがない。
「……好き、です……オルガ……ッ!……ッ」
「ア、アアッ……!」
耐えに耐えてきた欲望が、ついに弾けた。
膝を突いた脚を開かせ、猛り狂うものを深々と突き入れる。肉壺の奥に思う存分迸らせると、グレウスの砲身を包む媚肉が貪るように吸い付いてきた。
胴震いしながら、最後の一滴までを注ぎ込む。
「……ふぁっ……あっ……ああぁぁ――…………」
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