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第四章 全てを暴いて幸せになります!
85・アルヴェリオの元へ
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昼下がり。
工房で手伝いをしていたライネルのもとへ、慌ただしくブラウンが駆け込んできた。
「ライネル!ここにいたのか!」
「ブラウンさん?どうしたんですか?そんなに慌てて」
「王都にいるアルヴェリオ様のところへ一緒に来てほしい」
「え?」
「詳しいことまでは分からないが、ただ自分は動けないから、今すぐライネルを王都に連れて来て欲しい、と侍従から伝言があって迎えに来た」
「動けない?!」
嫌な予感がライネルの胸を刺す。
病気?怪我?
悪い想像ばかりが頭の中を駆け巡った。
「こんなことしてる場合じゃない!ブラウンさん、すぐ行きましょう!」
「ああ!」
「待って!」
二人を呼び止めたのはアノマリーだった。
彼は磨いていたルビーを大事そうに懐にしまい、工房から外に出る。
そして、空に向かって大きく口笛を吹いた。
その瞬間、一陣の風が吹き抜け、周囲の木々がざわりと揺れる。
舞い上がる枯れ葉の向こうに、影が落ちた。
ずしん、と地面を揺らしながら、一頭の大きな竜が着地する。
「竜のお母さん!」
アノマリーが駆け寄ると、母竜は嬉しそうに首を曲げ、長い舌で彼の髪をぺろぺろと舐めた。
「さあ、乗って!」
「……えええっ?!?」
伝説の竜を、こんな気軽に呼び出して、しかも背中に乗れと言うのか。
「罰が当たりそうだ……」
ブラウンが青ざめて呟き、ライネルも深くうなずいた。
「何言ってるんです!アルヴェリオ様に何かあったかもしれないんでしょ?馬車なんかでのんびり行ってたら、間に合わないかもしれません!」
確かにその通りだった。
今はとにかく、アルヴェリオの身に何が起きたのか確かめるのが先決だ。
「……分かった。ありがとう、アノマリー」
ライネルは母竜の背へよじ登り、翼の根元を両手でしっかりつかむ。
ブラウンも反対側へ同じようにしがみついた。
「よし、出発!竜のお母さん、お願いします!」
ギュルルッ――
喉を鳴らした母竜は、巨大な翼を広げ、地面を蹴った。
風が一気に吹き上がり、二人の身体は空へと舞い上がる。
そして――
王城自慢の大庭園に竜が降り立ったことで、国中がひっくり返るような大騒ぎになるのは、それからわずか一時間後のことだった。
◇◇◆◆◇◇
あっという間にたどり着いたものの、
ライネルとブラウンは目に見えて青ざめ、震えが止まらなかった。
竜での空の旅は、心臓に悪すぎたのだ。
アルヴェリオとようやく対面した後も、二人の震えは続いていた。
「……大丈夫か?ライネル」
アルヴェリオが湯気の立つお茶を二人の前へ置く。
「だ、大丈夫です……。アルヴェリオ様こそ、いったい何が……」
「いや、やることが多すぎて迎えに行けなかった。すまない」
「いえ……病気や怪我じゃなければ、それで……」
竜に酔ったのか、恐怖が抜け切らないのか、二人の声は震えていた。
風の冷たさと落ちるかもしれない恐怖で、体感では数日飛んでいた気分だった。
「まずは風呂に入って温まってくれ。このままだと風邪を引く」
「はい……ありがとうございます」
「俺も風呂に行ってくる」
「構わないが……おい、ブラウン。どさくさに紛れてライネルと同じ風呂に入ろうとするな」
「ついでなんだからいいでしょう!貴族用のお風呂なんて滅多に……!」
「……お前が死んだら、マルゲリータが悲しむぞ」
「……卑怯な手を……。分かりましたよ」
最近ようやく口説き落とした恋人の名前を出され、ブラウンは大人しく使用人用の風呂場へ向かった。
「皆、下がれ」
「はい」
使用人たちをすべて下がらせたアルヴェリオは、自ら風呂の準備を整えた。
「入れ、ライネル」
「えっ?!い、いや、自分でできますから!」
真っ赤になって抵抗するライネルの服を、アルヴェリオは手際よく脱がせる。
そして温かな湯へぽちゃんと沈められたライネルは、抵抗も忘れてあまりの気持ちよさにうっとりと目を閉じた。
「今日あったことを話していいか?」
「……ふわぁ……あっ、はい!」
ライネルが慌ててアルヴェリオを見上げると、彼は少し笑って言葉を続ける。
「それから……」
アルヴェリオはそう言いながらライネルの柔らかい髪にキスをした。
「……それから?」
「俺たちの将来のことも話そう」
「将来……?」
「ああ」
そうしてアルヴェリオは、王と話したことを、全てライネルに伝えた。
それから約二時間後、ライネルはまだ泣き続けたまま、ハンカチで顔を覆っている。
だがその涙は悲しいものではなく、手放したと思っていた想いが戻ってきたことに対しての感涙だった。
「本当に……皇后陛下に赤ちゃんが……」
「ああ、だから俺はお役御免だ。ただ、子供がある程度大きくなるまで後見として教育係の真似事を引き受けた。だからしばらくは通い婚だ」
「かっ……通い“婚”!」
ライネルはまた顔を赤くして俯いた。
(俺のライネルは可愛いな)
こんな可愛い生き物と、よく離れて暮らそうと思えたものだ。……アルヴェリオはその選択を思い出して恐怖に身を震わせる。
「ライネル、頼みがある」
「?なんですか?」
工房で手伝いをしていたライネルのもとへ、慌ただしくブラウンが駆け込んできた。
「ライネル!ここにいたのか!」
「ブラウンさん?どうしたんですか?そんなに慌てて」
「王都にいるアルヴェリオ様のところへ一緒に来てほしい」
「え?」
「詳しいことまでは分からないが、ただ自分は動けないから、今すぐライネルを王都に連れて来て欲しい、と侍従から伝言があって迎えに来た」
「動けない?!」
嫌な予感がライネルの胸を刺す。
病気?怪我?
悪い想像ばかりが頭の中を駆け巡った。
「こんなことしてる場合じゃない!ブラウンさん、すぐ行きましょう!」
「ああ!」
「待って!」
二人を呼び止めたのはアノマリーだった。
彼は磨いていたルビーを大事そうに懐にしまい、工房から外に出る。
そして、空に向かって大きく口笛を吹いた。
その瞬間、一陣の風が吹き抜け、周囲の木々がざわりと揺れる。
舞い上がる枯れ葉の向こうに、影が落ちた。
ずしん、と地面を揺らしながら、一頭の大きな竜が着地する。
「竜のお母さん!」
アノマリーが駆け寄ると、母竜は嬉しそうに首を曲げ、長い舌で彼の髪をぺろぺろと舐めた。
「さあ、乗って!」
「……えええっ?!?」
伝説の竜を、こんな気軽に呼び出して、しかも背中に乗れと言うのか。
「罰が当たりそうだ……」
ブラウンが青ざめて呟き、ライネルも深くうなずいた。
「何言ってるんです!アルヴェリオ様に何かあったかもしれないんでしょ?馬車なんかでのんびり行ってたら、間に合わないかもしれません!」
確かにその通りだった。
今はとにかく、アルヴェリオの身に何が起きたのか確かめるのが先決だ。
「……分かった。ありがとう、アノマリー」
ライネルは母竜の背へよじ登り、翼の根元を両手でしっかりつかむ。
ブラウンも反対側へ同じようにしがみついた。
「よし、出発!竜のお母さん、お願いします!」
ギュルルッ――
喉を鳴らした母竜は、巨大な翼を広げ、地面を蹴った。
風が一気に吹き上がり、二人の身体は空へと舞い上がる。
そして――
王城自慢の大庭園に竜が降り立ったことで、国中がひっくり返るような大騒ぎになるのは、それからわずか一時間後のことだった。
◇◇◆◆◇◇
あっという間にたどり着いたものの、
ライネルとブラウンは目に見えて青ざめ、震えが止まらなかった。
竜での空の旅は、心臓に悪すぎたのだ。
アルヴェリオとようやく対面した後も、二人の震えは続いていた。
「……大丈夫か?ライネル」
アルヴェリオが湯気の立つお茶を二人の前へ置く。
「だ、大丈夫です……。アルヴェリオ様こそ、いったい何が……」
「いや、やることが多すぎて迎えに行けなかった。すまない」
「いえ……病気や怪我じゃなければ、それで……」
竜に酔ったのか、恐怖が抜け切らないのか、二人の声は震えていた。
風の冷たさと落ちるかもしれない恐怖で、体感では数日飛んでいた気分だった。
「まずは風呂に入って温まってくれ。このままだと風邪を引く」
「はい……ありがとうございます」
「俺も風呂に行ってくる」
「構わないが……おい、ブラウン。どさくさに紛れてライネルと同じ風呂に入ろうとするな」
「ついでなんだからいいでしょう!貴族用のお風呂なんて滅多に……!」
「……お前が死んだら、マルゲリータが悲しむぞ」
「……卑怯な手を……。分かりましたよ」
最近ようやく口説き落とした恋人の名前を出され、ブラウンは大人しく使用人用の風呂場へ向かった。
「皆、下がれ」
「はい」
使用人たちをすべて下がらせたアルヴェリオは、自ら風呂の準備を整えた。
「入れ、ライネル」
「えっ?!い、いや、自分でできますから!」
真っ赤になって抵抗するライネルの服を、アルヴェリオは手際よく脱がせる。
そして温かな湯へぽちゃんと沈められたライネルは、抵抗も忘れてあまりの気持ちよさにうっとりと目を閉じた。
「今日あったことを話していいか?」
「……ふわぁ……あっ、はい!」
ライネルが慌ててアルヴェリオを見上げると、彼は少し笑って言葉を続ける。
「それから……」
アルヴェリオはそう言いながらライネルの柔らかい髪にキスをした。
「……それから?」
「俺たちの将来のことも話そう」
「将来……?」
「ああ」
そうしてアルヴェリオは、王と話したことを、全てライネルに伝えた。
それから約二時間後、ライネルはまだ泣き続けたまま、ハンカチで顔を覆っている。
だがその涙は悲しいものではなく、手放したと思っていた想いが戻ってきたことに対しての感涙だった。
「本当に……皇后陛下に赤ちゃんが……」
「ああ、だから俺はお役御免だ。ただ、子供がある程度大きくなるまで後見として教育係の真似事を引き受けた。だからしばらくは通い婚だ」
「かっ……通い“婚”!」
ライネルはまた顔を赤くして俯いた。
(俺のライネルは可愛いな)
こんな可愛い生き物と、よく離れて暮らそうと思えたものだ。……アルヴェリオはその選択を思い出して恐怖に身を震わせる。
「ライネル、頼みがある」
「?なんですか?」
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