転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

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第13話 戦技

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「稽古……?」
「剣術の稽古じゃよ。明丸一人じゃと丁度良い相手が居なくてのう」
「なるほど、つまり僕にその相手をして欲しいわけですね」
「その通りじゃ。やってくれるか?」

 老人の問いかけに対し、ルーテは考える。

(稽古をして体の動かし方を覚えれば、多少はプレイヤースキルの向上に役立ちそうですが…………剣術関連のスキルを覚えていないので、レベル上げに利用できないのが痛いですね……)

「なんじゃ、迷っておるのか? ――なら少し待っておれ」

 悩んでいるルーテを見た老人は、そう言い残して再び座敷の奥へと消えた。

 そして、すぐに袴姿で帯刀して戻ってくる。

「おおー! りあるじゃぱにーずさむらーい!」

 謎の歓声を上げるルーテ。

「驚くのはこれからじゃ」

 老人はそう言いながら、近くにあった背の高い竹の前へと歩み出た。

「大きさ的にそれを切ったらまずいのでは……?」

 思わず忠告するルーテ。

 ――刹那、老人は開眼する。そして、右足の踏み込みと同時に、目にも止まらぬ速さで抜刀した。

「………………!」
「………………どうじゃ」

 洗練された所作で納刀し、得意げな顔でルーテの方を見る老人。

「あの……ぜんぜん切れてませんよ……?」
「うん?」

 しかし正面にあった大きな竹は無傷だった。切れ込みすら見当たらない。

(まあ、切れていたら倒れてきた竹に家を潰されていたと思いますけど……)

 大惨事は免れたので、ルーテは内心ほっとした。

「――――ああ、すまん。つい本気を出してしまった。
「………………?」
「お主に見せるんじゃから、もっと派手に吹き飛ばすべきじゃったのう」

 老人は竹を指先で軽く突いた。

 するとその瞬間、途端に竹が上下真っ二つになりルーテの方へ倒れてくる。

「わあ」

 だが、それだけでは終わらない。竹は何故か倒れる途中で四散し、雨のように降り注いで来たのだ。

 ――コン、コン、コン。

「…………痛いです」

 空中でバラバラになった竹のうち、いくつかが頭にヒットし涙目になるルーテ。

「――この竹は、竹の子だった頃から儂が毎日切り続けていた練習相手じゃ。研ぎ澄まされた≪一閃≫は、相手に斬られたことすら悟らせない……という訳じゃな」
「す、すごすぎます……!」
「どうじゃ、カッコイイじゃろ? 少しはやる気になったかのう?」
「師匠と呼ばせてください!」
「ふぉっふぉっふぉ。お主は三番弟子じゃ」

 老人は、新しい弟子を獲得してご満悦のようすだ。

(間違いありません! 今のは≪戦技≫です!)

 しかし、ルーテは居合切りのカッコよさに魅せられていた訳ではなかった。

 『レジェンド・オブ・アレス』には魔法の他に≪戦技≫と呼ばれる特殊技能が存在する。

 魔力を消費して発動する魔法とは違い、戦技は精神力を消費して発動することができる。そして、一時的に身体能力を向上させたり、強力な物理攻撃を放ったりすることが可能なのだ。

(おまけに特定のモーションで発動できるので、恥ずかしい詠唱も必要ありません!)

 これらの技能は、戦術書を読むか特定のNPCに教えを乞うことで習得することができる。

(まさか、このおじいさんが戦技を教えてくれるNPCだったとは思いませんでした!)

 ルーテは思いがけず、戦技を習得するチャンスに巡り合っていたのだ。

「それじゃあ、明丸がお使いから戻ってきたら早速始めるとするかのう」
「よろしくお願いします!」

 元気よく返事をし、頭を下げるルーテ。

 その時――

〈充電完了、使用可能です〉

 突如として、彼の脳内に無機質な声が鳴り響く。

「…………………!」

 ルーテは急いでアレスノヴァを取り出し、様子を確認した。

 するとアレスノヴァは問題なく起動し、空中に大きな球状の地図を投影し始める。

「…………なんじゃそれ?」
「色々な場所にワープできる優れものです! ええと……アルカディアがここだから孤児院の場所は……ありました! ちゃんと帰れます!」

 喜ぶルーテ。どうやら、彼の心配(?)は杞憂に終わったようだ。

「……すみません。大分時間が経っているので僕はひとまず孤児院に戻ります。稽古は明日からでお願いしますね師匠!」
「ま、待つんじゃ、一体どこへ――」
「おにぎり、ごちそうさまでした! 明丸さんにもそう伝えておいてください!」

 ルーテは孤児院付近の森にある遺跡をワープ先として選択し、程なくして光に包まれる。
 
(朝はウォーキング読書、昼は孤児院の皆と遊んで好感度稼ぎ、夜になったら戦技習得の訓練……これから忙しくなりそうです!)

 新しい日課が増えた嬉しさで目をキラキラと輝かせるルーテ。

「さようなら――」

 程なくして、その場から姿を消す。

「……あやつ……居なくなりおった……!」

 一部始終を見ていた老人は、目の前で起きた奇怪な現象に頭を抱えるのだった。
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