転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
31 / 117

第27話 ラスボスの力

しおりを挟む

「さあ、大人しくミネルヴァにやっつけられるです!」

 ゴーレム達の前へ真っ先に飛び出したミネルヴァは、自信満々に胸を張る。

「………………ズズッ……ズッ」
「むーっ……そこを動くなです……!」

 そして、一番近くに居たルビーのジュエルゴーレムと睨み合った。

 ルーテとイリアは少し引いたところでそれを見守るが、両者共に動く気配がない。

「……あの、何もしないとやられてしまいますよ?」
「い、今からやろうと思ってたです! ママは黙っていてほしいのですっ!」
「そうですか……」
「――さあ! ミネルヴァがぶっ飛ばしてやるから覚悟するですよ!」

 握りしめた拳を天高く掲げながらそう言い放ち、勢いよくゴーレムに殴りかかるミネルヴァ。

「ありゃあああああああああっ!」

 彼女の攻撃は見事にヒットし、こん、という音が周囲に響き渡った。

「……………………」
「だ、大丈夫ですか……?」
「……う、うえええええええええんっ! いたいのですぅっ!」

 ミネルヴァは涙を流しながらルーテの元へ逃げ帰り、抱きついて顔を埋める。

「ルーテ、やっぱりこの子に戦う力なんて無いわよ……?」
「と、とりあえず治療するので手を出して下さい」
「ひっぐ……はいなのですぅ……っ」

 涙目で赤くなった手をルーテに見せるミネルヴァ。彼女はとても弱かった。

「このままだと危険よ。……一度戻った方がいいわ」
「いいえ、その必要はありません。――見てくださいイリア」
「え……?」
「ゴーレム達の動きが止まっています!」

 ルーテの言う通り、ゴーレム達は一切動いていない。

 ミネルヴァが一人で攻撃して一人でダメージを負っただけだ。

「これは一体……どういうこと……?」
「『支配』の力です。モンスターに命令を下すことができるラスボス専用の特殊技能なのですが……どうやら弱体化していても問題なく使うことが出来るようですね!」
「ええと……要するにミネルヴァは魔物を操れるってこと……?」
「その通りです! 流石、イリアは理解が早いです!」
「や、やめてちょうだい……褒められると恥ずかしいわ……」

 ――ラスボスであり究極生命体であるミネルヴァは、雑魚モンスターを支配する力を持っている。

 モンスターに命令を下すことによって、一定時間動きを止めたり、同士討ちさせたり、低確率で即死させたりすることができるのだ。

(攻撃力は低いですが……おそらく大器晩成型なのでしょう。鍛え甲斐があります!)

 ルーテは心の中でそう考え、キラキラした眼差しでミネルヴァのことを見つめる。

「……さてと、これで痛くなくなったはずです」
「ぐすっ、ありがとうなのですママ」
「………………やっぱり慣れませんねその呼び方」

 そうこうしている間に、ルーテの奇跡によってミネルヴァの手の怪我は綺麗に治っていた。

「見て、ゴーレム達が動き出したわよ!」

 同時に、支配の効果が切れてモンスター達が再始動する。

「――作戦変更です! ミネルヴァはゴーレム達に動かないよう命令し続けてください! その隙に僕とイリアで殲滅します!」
「ぐすっ……分かったです……! あいつら許さないのですっ!」

 こうして、今度こそ本当にゴーレム狩りが始まるのだった。

 *

 それから少しして。

「止まるですっ!」
「流水よ押し流せ、フルーメン」
「旋風よ切り刻め、ウェルテクス」

 ミネルヴァが動きを止め、イリアとルーテが魔法による全体攻撃で一掃する。

 この連携により、広場のゴーレムは狩り尽くされていた。

 ルーテ達の足元には、ドロップアイテムである宝石の欠片や、金塊や銀塊が大量に積み上がっている。

 【解剖】は一人が持っていればパーティ全体のアイテムドロップ率が上がるので、誰がモンスターにとどめをさしても問題ないのだ。

「はぁ、はぁ……ひとまずゴーレムは居なくなったわね」
「はい! 二人ともありがとうございました!」

 ルーテは感謝の言葉を口にしつつ、懐から袋を取り出して散らばったドロップアイテムを集め始める。

「後はこれを売るだけです! 稼いだお金は三人で均等に分けましょう!」
「私はいらないわ。みんなの為に使って」
「……本当にそれで良いのですか?」
「だって、ルーテもそうするのでしょう? ――私も同じ気持ちよ。みんなのことを守りたいの」

 イリアは言いながらほほ笑んだ。

「ミネルヴァはお金欲しいのです! こっそり町に行ってお菓子買いまくるのです! その後ばら撒いて手下を沢山増やすです!」

 しかし、そこへミネルヴァが割り込んできて雰囲気をぶち壊しにする。

「……ルーテ。この子にもまとまったお金はあげない方が良いと思うわ。だって危ないもの」
「そうみたいですね……」
「そ、そんな?! 二人ともひどいのですっ!」

 話し合いの末、稼いだお金は全額孤児院への投資に使うことになったのだった。

 ――その後、三人は協力してドロップアイテムの回収を始める。

「イリア、こっちに来てください」
「どうしたのルーテ?」

 ルーテに呼ばれ、トコトコと近くへ駆け寄るイリア。

「……手を出してください」
「う、うん」
「お金の代わりと言っては何ですが、イリアにはこれをあげます」

 彼が手渡したのは大きなサファイアだった。

「……私にくれるの?」
「はい! 宝石には色々と特殊な効果があるので、持っていてください!」

 イリアはまじまじと宝石を見つめ、それからルーテに問いかける。

「……青い宝石を選んでくれたのはどうして?」
「イリアにぴったりだと思ったからです!」
「るーちゃん……!」

 イリアの頬が少しだけ赤らんだ。好感度が上昇したらしい。

(サファイアは装備していると魔力と精神力のステータスに上昇補正がかかります! 魔法をメインに立ち回るイリアには最適な装備であると言えるでしょう!)

 一方、ルーテにはそんな思惑があった。

「ありがとう……大切にするわ!」

 そうとは知らず、愛おしそうに貰った宝石を握りしめるイリア。

「……ミネルヴァも欲しいのです」

 その時、彼女の横からミネルヴァが顔を覗かせて宝石を強請《ねだ》った。

「だ、だめっ! これは私が貰ったものなの……っ!」
「じゃあ別のでいいです。ママ、イリアと同じ色のヤツをミネルヴァに寄こすです!」
「そ、それもだめっ!」
「……なんでですか。イリアには関係ないのですよ! ミネルヴァにだけご褒美がないのはおかしいです!」
「そ、それはそうだけれど……その……だって……!」

 珍しくミネルヴァに正論を言われ、イリアは動揺する。

 彼女はルーテから貰ったという事実を独り占めしたいのだ。

「――そ、そうだ! ミネルヴァにはこれをあげるわ。だって、あなたには青より紫の方が似合っているもの!」

 言いながら、拾い上げたアメジストの欠片を強引に押し付けるイリア。

「なるほど……確かにそうなのです。イリアは見る目があるのです!」

 しかし、ミネルヴァは気に入ってくれたようだ。一件落着である。

「ええと……話が済んだようなので帰還しましょうか。拠点に帰るまでがダンジョン探索です!」

 そうこうしている間にドロップアイテムの回収を終えたルーテが、二人に向かって告げた。

「ええ、そうね。そろそろ孤児院に戻った方が良さそうだわ」
「ミネルヴァはお腹が空いたのです!」

 そして、三人で並んで帰ろうとしたその時。

「――待てよガキども」

 坑道の奥から声が響いてきた。

「だ、だれ……っ!」
「……見てたぜテメェら。随分と良さそうなもん拾い集めてたじゃねェか」

 三人の前に姿を現したのは、修道服を身に纏い、血の付いた短剣を手に持った女である。

「それ売ったら金になンだろ? だけどよォ、クソガキが必死こいて金稼いだって仕方ねーぜ? 全部悪い大人に奪われちまうからなァ」

 女は不敵な笑みを浮かべながら続けた。

「いいか、一度しか言わねえぜガキども。――死にたくなけりゃ、集めたモン全部置いて「経験値だぁ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...