転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
36 / 117

外伝4 誰かの記憶

しおりを挟む

「……ぐ…………」

 目覚ましのアラームが鳴り響いてから約4時間後、少年はうめき声を発しながら起き上がった。

 現在の時刻は昼の12時である。

「……今日の天気を教えて」

 寝起きで半開きになった目を更に細めて問いかける少年。

〈天気:快晴、最高気温:45度、降水確率:0パーセント〉

 すると、付けっぱなしにしていたコンタクトレンズに情報が表示された。

「なるほど……」

 ベッドから這い出して部屋のカーテンを開けると、まばゆい日の光が差し込んでくる。

「………………」

 少年はそれを見て、何も言わずにカーテンを閉めた。

〈絶好のお出かけ日和です〉
「非表示」

 そしてコンタクトレンズの表示を全て消す。

(ゲーム日和ですね)

 少年はあくびをしながらゲーミングPCを起動し、VRゴーグルを装着して『レジェンド・オブ・アレス』のプレイを始めた。

 先日アップデートがあり、ストーリーを最後まで攻略できるようになったばかりなのである。

 プレイしないわけにはいかない。

(いよいよラストダンジョン……!)

 少しだけ心を躍らせながら、キャラクターを操作してラストダンジョンへと乗り込む。

 ――すると、突然長めのムービーが始まり、冒険の舞台となっている星が実はテラフォーミングされた火星であるという衝撃の事実が明かされた。

「へー」

 しかしストーリー自体にはさほど興味がなく、ほとんど読み飛ばしていた少年には何の驚きも感動もない。

 むしろありきたりな設定だと辟易していた。

 おまけに、今まで使用していた魔法や奇跡は、この星全体を漂う無数のナノマシンの働きによって生み出されていたものらしい。

 「ナノマシン万能すぎでは?」

 少年は率直な感想を述べ、ムービーをスキップした。

 正直どうでもいい。

 ――そんな風に文句を言いつつもこのゲームをプレイする理由は、ひとえに無料で遊べるからである。

 少年はただでさえ少ないお小遣いをほぼ全てゲーム関連につぎ込んでいるため、常に金欠気味なのだ。

 従って、購入するゲームはレビューを見てよく吟味する必要がある。

 つまらないゲームにお金を払う余裕はないのだ。

 そんな彼にとって、基本プレイ無料のこういったゲームは、お金を気にせずに遊べるありがたい存在なのである。

 ――それから少年は、特に苦戦することなくラストダンジョンを進んで行き、あっという間にラスボスを撃破した。

「ゲームクリアですね」

 そしてムービーが始まる。

『もうやめてマルスっ! この子は……誰かに愛して欲しかっただけなのっ!』
『…………………………!』
『分かっているわ……。確かに、この子のせいで大勢の人が魔物に殺された。……孤児院の皆も。……それに私だって、もう人には戻れない』
『…………………………』
『おねが――』

 それを躊躇なくスキップすると『ミネルヴァに止めを刺しますか?』という文章と共に、『はい』と『いいえ』の選択肢が表示された。

 少年は最初にカーソルが合っていた『はい』をノータイムで選択する。

 こうして、ラスボスのミネルヴァは無事死亡した。

 彼女が生み出した不死身の魔物達も消滅し、世界に平和が訪れて感動のエンディングが始まる。

「簡単すぎました。星一つです」

 思ったよりも難しくなかったので、余韻に浸る気分にはなれなかった。

 エンドロールが流れ終わる前にVRゴーグルを外して席を立ち、部屋を後にする。

(のどが渇いた……)

 起きてから何も飲んでいなかったので、飲み物を探しにキッチンへ向かったのである。

「………………あれ?」

 ――しかし、驚くべきことに冷蔵庫の中は空だった。

 いつもの如く両親は家に居ないので、自分で近くのコンビニへ飲み物を買いに行くしかないらしい。

 少年は仕方なく長い間使っていなかった帽子を被り、ゲーム機を持って外に出た。

「うわ…………」

 案の定、家の外はありえない暑さである。どう考えてもお出かけ日和ではない。

「暑すぎ……」

 ずっとクーラーの効いた部屋で過ごしていた少年に耐えきれる暑さではなかった。

 少年は早く目的を済ませる為、家から持ってきたゲームをせずに、ただひたすら歩いてコンビニへ向かう。

 しかし、起きてからご飯すら食べていないのですぐに体力が尽きた。

「みず…………」

 ――――もう限界かもしれない。

 朦朧とする意識の中、コンビニ前の横断歩道を渡ろうとしたその時、けたたましいクラクションの音が鳴り響いた。

 自動運転の無人トラックが、一直線にこちらへ向かってきているのである。

 緊急時には自動ブレーキが作動するはずだが、トラックは少年に接近しても一切減速しない。

「え?」

 少年の意識はそこで途切れた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...