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第57話 絶望的な事実
しおりを挟む「皆さんありがとうございます! おかげでレベル50になることが出来ました! 目標達成です!」
ルーテは、倒れている三人にぺこりとお辞儀をする。
「今までお世話になりました!」
「か、解放してくれるのか!?」
ノックスは、お礼の言葉に反応して起き上がった。
「…………?」
「お、俺達は用済みになったんだろ? だったら今すぐ解放してくれッ!」
「いえ、成長限界を突破したら戻って来ますから、待っていてください!」
「は…………?」
「そもそも、皆さんを解放したらまた悪い事をするでしょうし、捕まえても脱獄してしまうので、ここに居てもらうしかありません! 出たかったら良い子になってください!」
立て続けに絶望的な事実を告げるルーテ。
「というわけで、これからもよろしくお願いしますね! あと、余裕があったら皆さんの成長限界も突破させてあげます!」
こうして、ノックスは一瞬だけ希望を見せられた後でドン底にたたき落とされたのだった。
「あ……ははは、くくくッ、あひゃひゃひゃひゃッ!」
目を見開いて笑うノックス。どうやら、完全に壊れてしまったようだ。
「今……笑うところありましたか……?」
彼の心をへし折った自覚が無いルーテは、大いにドン引きする。
「えっと、ゆっくり休んでください……」
こうして、ルーテは逃げるように道場を後にするのだった。
*
一仕事終えたルーテが孤児院へ戻ると、玄関近くにある階段で遊んでいたノアとレアが出迎えてくれた。
「あ……お帰り、ルーテお兄さん」
「今日は早かったね。ルーテお兄ちゃん!」
双子は、トコトコとルーテに駆け寄ってくる。
「はい、ただいま帰りました!」
先ほどまで殴り合いをしていた人間とは思えない爽やかさで返事をするルーテ。
「……二人とも、またその遊びをしているのですか? シスターに怒られてしまいますよ?」
「やっぱりバレちゃったみたいだよ、レア」
「やっぱりバレちゃったみたいだね、ノア」
ルーテに指摘された二人は、不思議そうな顔をしてお互いを見合った。
「完璧に入れ替わってるのに」
そして、同時に呟く。
「どうして分かったの、ルーテお兄ちゃん?!」
ノアの姿をしたレアが、ルーテに詰め寄りながら問いかけた。
「他のみんなは騙されるんだけど……」
レアの格好をしたノアは、首を傾げて考える素振《そぶ》りをする。
「勘です!」
「そっかぁ!」
「なら仕方ないね」
二人は何故か納得した。
「……それより、もうすぐ朝ご飯の時間ですよ。一体いつ着替えるつもりですか?」
「ぼく達はこのままで行くよ。ルーテお兄さん以外には隠し通せるから」
「つまり、ルーテお兄ちゃんが秘密にしておいてくれれば大丈夫ってこと!」
二人にそう言われたルーテは、呆れた様子で肩をすくめた。
「まったく、いけない子達ですね!」
「それ、こんな時間にどこか行ってるルーテお兄さんがいえること?」
「わたしたち、ルーテお兄ちゃんよりはいい子だと思う!」
二人の言う通り、この孤児院で一番の問題児はルーテである。
「――あ、二人ともこんなところにいたですか。朝ご飯だから早くこっちに来るです!」
「見つかっちゃった」「見つかっちゃったね」
その時、少しだけ成長したミネルヴァが階段から駆け下りてきて、三人の前に姿を現した。
「あ、ママ!……じゃなくてルーテも急ぐのですよ!」
ミネルヴァは、自分よりも幼いノアとレアの前ではお姉ちゃんぶりたいらしく、ルーテのこともなるべくママと呼ばないようにしている。
「分かりました。わざわざありがとうございますミネルヴァ」
「えへへ……! さあ二人とも、ミネルヴァお姉ちゃんに付いてくるのです!」
そう言うと、ミネルヴァは入れ替わったノアとレアの手を引っ張って食堂の方へ歩いて行った。
双子はルーテの方へ振り返り、「ほらね、バレてないでしょ?」という視線を送ってくる。
(やはり、明丸の性別当てゲームを極めないと二人を判別するのは難しいのでしょうか?)
三人の後ろ姿を見ながら、ルーテはそんなことを思うのだった。
「さてと……僕も食堂に行きましょう!」
ちなみに、明丸は現在この孤児院で暮らしている。
互いに切磋琢磨するルーテと明丸に触発された老人は、剣を更に極める為の旅に出てしまったのだ。
(明丸を残して勝手に居なくなるなんて……師匠は嘘つきです! 今度会ったら捕獲することを検討しておきましょう!)
――ルーテは怒っていた。
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