転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
69 / 117

第59話 ルーテの決断

しおりを挟む

「先生」
「おや、ルーテですか。……どうかしましたか?」
「いえ……。その……様子を見に来ただけです」

 朝食を食べ終えたルーテは、シスターの部屋へお見舞いに来ていた。

 大勢で押しかけてしまうとシスターの負担になってしまうので、皆で相談した結果、様子を見に行くのは一人だけという決まりになっている。

 今日は、ルーテにその番が回って来たのだ。

「具合はどうですか? 何か僕にできることはありますか?」
「大丈夫ですよ。…………まさか、私が貴方に心配されてしまうような立場になるだなんて……考えてもみませんでした」

 ベッドに寝ていたシスターは、そう言ってルーテの方を見ながら微笑んだ。

 それから、皺くちゃの手を伸ばしてルーテの頭を優しく撫でる。

「知らない間に、随分と成長したのですね。――少なくとも、私の目の届く範囲では」
「はい。だから僕のことは心配しないでください!」
「……そうですか」
「他に心配事があったら、何でも僕に相談してくれて構いません!」

 彼の言葉を聞いたシスターは、少しだけ考えた後言った。

「……それでは……私の悩みを聞いてもらえますか?」
「先生に悩み……? はい、聞かせてください!」

 ルーテが元気よく返事をすると、やがてシスターはこう切り出す。

「私が居なくなった後……ここを任せられる人がいません」
「なるほど。……それなら、いなくならないでください!」
「……そういう訳にもいかないのですよ。生きとし生けるものは皆、いつか天に帰ります」
「じゃあ、あと百年くらい生きてください!」

 ルーテは立ち上がって言った。

「無理です。……分かって言っていますよね……?」
「先生なら頑張ればいけると思います!」
「あなたの私に対する絶大な信頼は、一体何に由来するものなのでしょうか……?」

 困惑しつつも、シスターは続ける。

「とにかく、私であっても無理なものは無理なのです」
「でも、僕は先生に長生きして欲しいです。みんなも絶対にそう思っているはずです!」
「どう思われていようが、関係ありません。分かってくださいルーテ」
「………………はい」

 シスターに断言され、珍しく引き下がるルーテ。

「後任者探しは……私の方でどうにかします。――ですからその間、ルーテには……子供達のことをお願いしたいのです」
「ええと、つまり……?」
「出来るだけ皆のことを気にかけてほしい、ということですよ」
「確かに、みんな少し変わっている所はありますが……しっかりやれていると思いますよ……?」

 ルーテは首を傾げながら問いかける。

「あなたの言う通りです。でも……例えば、イリアはとても面倒見が良いですが他者に依存しすぎる傾向がありますし、マルスは明るく振る舞って皆を元気づけてくれますが自分の悩みは抱え込んでしまいがちです。それに、ゾラもまだ――」
「わ、分かりました! 要するに、僕にしか出来ないお願いということですね!」

 話が長くなりそうだったので、慌てて打ち切るルーテ。

「はい。あなたは良くも悪くも中立で、他者の心に深く踏み込もうとはしません。でも、だからこそ、平等に皆のことを引っ張ってあげられると思うのです。だから――よろしくお願いしますね」
「よく分かりませんが、僕に任せてください!」
「ふふふ、それで良いのですよ」

 シスターはそう言って、再びルーテの頭を撫でるのだった。

 *

「結局……僕は何をすればいいのでしょうか?」

 シスターの部屋を後にした、自室に戻ったルーテは、椅子に座って呟く。

(……なんだか、上手いことはぐらかされただけのような気がします!)

 そんなことを思いながら、アレスノヴァを取り出すルーテ。

(とにかく、先生にはもっと生きていて欲しいです。それに、僕も成長限界を突破しなければいけません)

 やがて彼は椅子から立ち上がり、こう決断した。

(早速入手しに行きましょう……『生命の雫』を……!)

 生命の雫は、アルカディアの王都付近に存在するダンジョン、『聖なる森』の最深部で入手できる成長限界突破アイテムだ。

 しかし、そのアイテムを入手する為には、森の番人である魔物『リヴァイアサン』と『ベヒーモス』を撃破する必要がある。

 どちらも、レベル50が一人居ただけでは突破できない強敵だ。

「まずは……準備が必要ですね!」

 ルーテはそんな独り言を呟き、勢いよく部屋を出て行くのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...