転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
70 / 117

第60話 成長したノックス

しおりを挟む

「さっきぶりです!」

 そう言って、ルーテは勢いよく魔物サンドバッグ道場の扉を開ける。

「死ねええええええええええええええええええッ!」

 すると、その横で待ち伏せしていたトワイライトが全力でルーテに殴りかかって来た。

「同じ手は二度通用しません!」

 ルーテは軽やかにその攻撃をかわし、回し蹴りを放って返り討ちにする。

「う……ぐ……がはぁっ!」
「今回は戦いに来たわけではありませんから、無理をしなくても良いですよ」

 倒れてうめき声を漏らすトワイライトに、優しくそう語り掛けるルーテ。

「死ねェ……!」
「ひどい…………」

 しかし、辛辣な言葉を返されてしまったのでしょんぼりする。

「もしかして……ご褒美に君の体の一部を僕達にくれるのかなぁ!?」

 その時、ホワイトがルーテにのそのそと近づいてきて言った。

「違います」

 ルーテは即答で彼の言葉を否定した後、持っていた袋から三つの腕輪を取り出す。

「……ですが、プレゼントを持ってきたので半分当たりですね」
「ほんとぉ?!」

 ちなみに、彼はこの二年間のうちに【収納】スキルを習得した為、冒険者専用の収納袋に入れたアイテムをいくらでも持ち運べるようになっている。

(持ち運べる数に制限が掛かった状態は不便すぎますからね! 【収納】の指南書を手に入れられて良かったです!)

 と、ルーテは思っていた。

「――皆さんには、これを装備してもらいます!」
「何だいその腕輪は? 君が持ってきたんだから、とぉーっても素敵なモノなんだろう?」

 変質者のような気持ち悪い笑みを浮かべながら問いかけるホワイト。

「これは『友情の腕輪』です! 装備していると、ダンジョン内で離ればなれになってしまっても一瞬で集まることができる優れものなんですよ!」
「へぇー!」

 ルーテから腕輪を受け取ったホワイトは、一切躊躇することなくそれを手首にはめた。

「あ、でもその三つは呪われているので、一度装備するとそう簡単には外せなくなってしまいます! 気を付けてください!」
「つまり、僕と君はこれで永遠に一緒ってことだねぇ」
「違います」

 ホワイトはすでにルーテの言葉を聞いておらず、愛おしそうな目で腕輪のことを眺めていた。

「ええと、ノックスさんとトワイライトさんも装備してください!」
「……だれが……そんな気色わりぃもん付けんだよ……殺すぞクソガキ……!」
「もう、相変わらずトワイライトさんは口が悪いですね! そんな風だから、外に出してあげられないんです!」
「黙れカスが……はなっからアタシらを解放するつもりなんてねぇくせによォ……ッ! ――ノックス! てめぇも、ずっと呆けてねぇで何か言ってやれッ!」

 トワイライトは、放心状態で座り込んでいるノックスに呼びかける。

 すると、ノックスはおもむろに立ち上がって言った。

「……オレ、いいこ。そと、でたい」
「あ?」
「オレ、もう、わるいことしない。しょうきに、もどった。ひと、たすける」
「おいおい……嘘だろ……?」

 そのあまりの豹変ぶりにうろたえるトワイライト。

 精神が完全に崩壊したノックスは、もはや別人になり果ててしまったのである。

「おお、すごいですノックスさん! まともになったのですね! 流石です! 偉いです!」

 ルーテは喜びながらノックスに駆け寄り、つま先立ちをして彼のスキンヘッドを撫でる。

「うれしい。オレ、いいこ」
「素晴らしい成長です! よーしよしよし」
「や、やめろノックス! 気持ち悪ぃモンみせんなッ!」

 絶叫するトワイライトだったが、彼女の言葉はもはや届かない。

「オレ、うでわ、つける」
「はいどうぞ!」
「ありがとう」

 ノックスは、ルーテから受け取った腕輪を強引に引き延ばし、頭から被って首に付けた。

「うぎぎ……ぴったり、フィット」
「えぇ…………?」

 突然の奇行に思わず後ずさるルーテ。

「ダメ?」
「く、苦しくないのであれば……どこに付けても問題ありません!」
「うれしい。あひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「喜んでくれて僕も嬉しいです!」

 こうして、ホワイトとノックスの心はルーテによって掌握され、残ったのはトワイライト一人だけとなった。

「クソッ! どいつもこいつも狂ってやがる! ……もうたくさんだッ! ここに居たらアタシまで狂っちまう! 出せよ……ここから出せええッ!」

 頭をかきむしって大声で叫んだ後、鬼のような形相でルーテに迫るトワイライト。

「じゃあ……これを付けてくれれば出してあげますよ?」

 ルーテは、そんな彼女に腕輪を見せびらかす。

「てめぇの言うことなんて信じられるかッ! クソがあああああああああッ!」
「……では仕方ありません。ノックスさん、ホワイトさん。この人に腕輪を装備させてあげてください。――僕は他に準備することがあるので」

 彼女を説得するのには時間がかかりそうだと思ったルーテは、二人に全て任せることにした。

「オレ、やる」
「ふぅーん、なかなか面白そうな遊びだねぇ」
「はいどうぞ。仲良く協力してくださいね」

 残りの腕輪をホワイトに手渡すルーテ。

「それじゃあ、僕はこれで」
「ばいばい」
「またねぇ!」

 ルーテは、狂人二人に見送られながら部屋を後にする。

「て、てめぇら……正気か……?! やめろ……うわああああああああああああああああああああああああああああッ!」

 そして、その後すぐに、トワイライトの悲鳴が聞こえてくるのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...