転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
78 / 117

第67話 半魚人化計画と無関係なサメ

しおりを挟む

「ウマかったぜ!」

 不意を打たれたノアとレアは、サメの化け物にあっさりと丸呑みされてしまった。

「ガキだと食い足りねぇけどな! シャシャシャシャシャッ!」

 サメの化け物は桟橋の上に顔だけ突き出した状態のまま、大声で笑う。

「うぅ……ここは、どこ……?」
「くらい……こわいよぉ……」

 その時、彼の腹部から双子の声が響いて来た。

「うおっ?! なんだテメェら、まだ生きてたのか!」

 サメは予想外の事態に驚き飛び上がる。

「……だが、テメェらはもうじき消化されて俺のクソになるんだ。それまでせいぜい泣き喚いてなァッ!」
「うわ……ここお腹の中なの……?」
「いやぁ……なんかべとべとする……!」

 驚愕の事実を伝えられ、露骨に嫌がるノアとレア。

「ど、どうしようノア……このままだと溶かされちゃうよぉ……!」
「落ち着いてレア。絶対にぼくが守るから」
「………………!」
「ぼくたちはまだこうして生きてる。――ここを出る方法が必ずあるはずだ」

 そう言って、怯えるレアのことを勇気づけるノア。

「……そうだよね! わたしたちなら、このくらいどうってことないよね!」
「うん。だから最後まで諦めないで」
「分かった! ――それと、ノアのことはわたしが守ってあげるね!」
「あ、ありがとう……」

「――コイツら……食われたのにまだイチャイチャしてやがる……ッ!」

 一方、強制的に恥ずかしい会話を聞かされたサメは、不愉快そうに歯軋りした。

「ちゃんとモグモグしておくべきだったぜえぇぇぇ!」

 フカヒレを桟橋にべちべちと叩きつけて暴れるサメ。

「アオォォッ! アオォォッ! アオォォッ!」
「うわあっ?!」
「きゃああっ!」
「テメェら黙れええええぇぇぇッ!」

 ――パンパンパンッ!

「………………」
「………………」

 サメに暴れられたせいで、気を失ってしまうノアとレア。

「……帰るか」

 冷静になったサメは、陸に上がって二本の足で立ち上がる。

 そして、どこかへ去って行こうとしたその時。

「――――――ッ!?」

 遥か彼方から飛んできた黒い塊が、彼の右足を撃ち抜いた。

 突然遠方から狙撃され、訳もわからずその場へ倒れ込むサメ。

「ぁ……あぁ?」
「ゥおシァわク、ェまダュてばトヲもドク」

 彼が意識を手放す直前に見たのは、訳の分からないことを呟きながらふわふわと近づいてくる巨大なクラゲだった。

 *

 へスペリアの領主は、決して人前に姿を現さない。

 病弱なは、大半の時間を広大な屋敷の最奥部にある寝室で過ごしているのである。

 今日は彼女の寝室に来客があった。

「御機嫌よう、オトヒメ様」

 眼鏡をかけた胡散臭い男――第七セプティムス紅蝠血ヴェスペルティリオ、“虚言”のファンは、簾《すだれ》の向こう側へお辞儀をする。

「……それは、わらわの気分が常に優れないことを知った上での挨拶か? つくづく嫌な男だ」
「おや, これはまた随分なご挨拶ですね。痛み入ります」
「失せろ」
「そんなことをおっしゃらないでください。――我々は仲間ではありませんか」
「……………………」

 二人の間に不穏な空気が立ち込め始めた次の瞬間。

 突如として部屋の扉が開け放たれ、サメが滑り込んできた。

「な、何事ですか……?」

 あまりにも意味不明な事態に、動揺するファン。

 すると今度は、異様に背の高い女がぬっと部屋の中へ入ってきた。

「ァてアまクつ、ェまス」
「おお、そうか。ご苦労だったな」

 何かを報告した女に対して、労いの言葉をかけるオトヒメ。

「………………」

 女は何も言わず、隈のできた目で近くに居たファンのことを凝視する。

「な、何でしょうか?」
「ェヌせでィクんエチーぁふおュく」
「は…………?」

 彼女の名はジェリー。クラゲの姿を持つ半魚人《マーマン》である。

「彼女は何と……?」
「本人から聞け」

 オトヒメは、困惑するファンを冷たく突き放す。

「ェヌせでィクんエチーぁふおュく」

 ファンに向かって何かを言うジェリー。

「聞いたところで、これとまともに会話が成立するとは思えませんが……」

 彼女の話す言葉は、オトヒメ以外誰にも理解できないのである。

「今日はいい天気ですね」
「普通に話せるんかい」

 ――しかし、普通に話すこともできる。

「ミッションコンプリートだ」

 それからすぐ、ジェリーよりも更に背の高い痩せぎすの男が、窓ガラスを開けて部屋の中へ転がり込んできた。

「漆黒の大顎は、この漆黒の魔弾によって射貫かれた」
「お主もご苦労だったな」
「漆黒の感激」

 男の名はスクイード。イカの姿を持つ半魚人である。

「漆黒のメガネ」

 スクイードは、ファンの方を見て呟いた。

「こいつは何なんですか……」
「漆黒の狩人」
「あなたの部下はまともに会話出来ない方ばかりですね……」
「汝、漆黒の洗礼を受けよ」

 疲れ気味のファンに向かって何かを言うスクイード。

 彼の話す言葉は、オトヒメ以外誰にも理解できないのである。

「念のため聞いておきますが……あなたは普通に話せないのですか……?」
「俺を馬鹿にするな」
「話せるんかい」

 ――しかし、普通に話すこともできる。

「……一応、貴様にも紹介してやろう。こやつらは『不可視』のジェリーと『透視』のスクイード。二人合わせて、暗殺コンビ“シースルー”じゃ」
「お笑いコンビの間違いでは?」
「二人とも、自由にしてよいぞ」

 オトヒメに呼びかけられたジェリーとスクイードは、近くの椅子に向かい合って座り、白と黒の石を使うボードゲームで遊び始めた。

「漆黒に染める……」
「ゥたカギさタをムおュク」

 彼らは基本的にフリーダムなのである。

「……そして、そこのサメはわらわの町を荒らしていた不届き者じゃ。世にも珍しい天然モノの半魚人なので、研究のためこうして捕まえた」
「うげえええぇ……」

 力なくビチャビチャと跳ねるサメ。わずかに意識を取り戻しているようだ。

「ほう……半魚人《マーマン》を自由に生み出すことができる貴女が、これ以上何を研究しようと言うのですか? 実に興味深い」
「……少し話し過ぎたな。お主には関係のないことじゃ。首を突っ込むな」
「…………まあ良いでしょう、余計な詮索はしません。――計画さえ成功すれば、この地の人間は全て我々の意のままに動く半魚人となるのですから……クククッ」
「もう始めるつもりか?」
「ええ、今夜にでも実行させてもらいますよ」
「……好きにしろ」

 オトヒメの言葉を聞き、不敵に笑うファン。

「この計画が成功すれば、貴女にとっても――」
「……うげええええッ!」

 その時、ぐったりしていたサメが不意に嘔吐し、口からノアとレアがヌルリと飛び出した。

「ォもドク」
「漆黒の内容物」
「あぁ……そんな、まさか……!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...