転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
81 / 117

第70話 教育済みの双子

しおりを挟む

 ルーテとシースルーが交戦し始めてから少し経った頃。

 再び激しい爆発音が鳴り響き、屋敷全体が揺れる。

「さっきよりも近いぞ。一体どうなっておるのじゃ……!」

 明らかに何かが接近して来ているので、狼狽えている様子のオトヒメ。

「どういうことですか? まさか、あの漫才師どもは侵入者の始末すら出来ないのでしょうか?」
「黙れ。――そんなはずは無い。これは何かの間違いじゃ!」

 オトヒメは、声を荒げてファンのことを怒鳴りつけた。

「やっぱり、ルーテお兄ちゃん達が助けに来てくれたんだ……!」

 一方、部屋の隅で怯えながらも一連のやり取りを聞いていたレアは、ぽつりとそう呟く。

「ルーテ? それは一体誰のことですか?」
「………………ふん!」

 しかしファンの問いかけに対しては、そっぽを向いて答えなかった。

「もう一回死んじゃえっ!」
「随分と口が悪くなってしまいましたね……。久しぶりにお仕置きが必要でしょうか?」

 薄気味悪い笑みを浮かべながら、再びゆっくりと双子の方へ近づいていくファン。

「ノアっ! あれやるよっ!」

 するとその時、突然レアが叫んだ。

「え、ええっ?!」
「はやく!」

 明らかに困惑しているノアに抱きつき、力を込めてその身体を持ち上げるレア。

「おや、私に何かしてくれるのですか? 楽しみですねぇ」

 ファンは余裕の表情で彼女達のしようとしていることを観察する。

「ま、まって! 心の準備が――」

 刹那、レアはノアを抱き抱えたまま高速で回転し始めた。

「双子あたーっく!」
「うわああああああッ!」

 そして、遠心力を利用してファンの方へノアを投げつける。

「――――は?」
「ふ、双子あたーっく!」

 派手に吹き飛んだノアは、涙目になりながらも空中で体勢を整え、半ばやけくそ気味にファンの腹部を蹴りつけた。

「ぐはぁッ!」

 激しい一撃を食らい、その場へうずくまるファン。

 ノアはその隙に、定位置であるレアの隣へ小走りで戻った。

 今のが、ルーテによって仕込まれた彼らの通常攻撃である。

「い、いきなりやるなんて酷いよレア……!」
「つぎ! ツインハンマーサイクロン!」
「えっ?! あ、う、うん……」

 有無を言わせず次の指示をされ、仕方なくレアと背中合わせになるノア。

 次の瞬間、二人は片手を前方へ突き出し、呪文の詠唱を始める。

「溶岩よ象れ、マレウス」
「氷岩よ象れ、マレウス」

 すると、ノアの前には熱気を発する巨大な黒い金槌が、レアの前には冷気を発する巨大な白い金槌が、突如として出現した。

「くっ……今度は何を……っ!」
「ツインハンマーサイクロン!」
 
 両手で金槌を持ち上げた二人は、間髪入れずに背中合わせのまま回転し、金槌を振り回し始める。

 周囲に風が発生し、竜巻となってファンへ急接近していく二人。

「ま、待ちなさ――グハっ、ゴフっ、おごぉっ!」

 ノアとレアの振り回す金槌が多段ヒットしたファンは、ボロ雑巾のようになって床へ転がった。

 ――しかし、彼は人類を超えた存在にして紅蝠血ヴェスペルティリオの一員。この程度の攻撃で死ぬことはない。

「クックック……予想外ですよ。人の身のまま、そこまで強くなっていたとはね。……やはり君達は私の――「ツインハンマーサンドイッチ!」「ごふッ!」「ツインハンマーメテオ!」「がはぁッ!」「ツインハンマーギロチン!」「ま、待ちなさ、ぐああああああああああッ!」

 休みなく攻撃され、手足をもがれた虫のような状態で再び床へ転がるファン。

「ま、またやっちゃった……! し、死んでないよね……っ?!」
「息してるから大丈夫みたい!」

 そんな双子の会話を他所に、ファンはぐしゃぐしゃになった眼鏡をかけ直して立ち上がる。

「あ、あなた達……私が話している間は攻撃をやめなさい……お行儀が悪いですよ……!」
「だ、だって『双子キャラは手数で押し切るものです!』って、ルーテお兄ちゃんが言ってたんだもん……! よく分からなかったけど、いっぱい攻撃した方がいいんだって!」

 言うまでもなく、二人は既にルーテによってであった。

 彼らに戦い方を教えたのも、魔法を教えたのも、数々のコンビネーション技を仕込んだのも、全てルーテである。

「そ、それに『ごちゃごちゃ言ってくる奴は無視して叩き潰せ。先手必勝』って……明丸お兄さんも言ってたし……」

 ついでに、明丸も一枚噛んでいる。

「とにかく、お願いだからもうぼく達に関わらないで……」

 ノアは、悲しそうな顔をしながらファンに言い放った。事実上の絶縁宣言である。

「……お主、徹底的に嫌われておるな」

 一部始終を簾越しに眺めていたオトヒメは、ため息混じりに言った。

「以前は……私のことを親のように慕ってくれていたのに……悲しい限りです」
「良い気味じゃ」
「……貴女は一体どちらの味方なのですか?」
「少なくとも、この非常時に顔見知りの子どもと遊び呆けておるような奴の味方はしたくないのう」
「……分かっていますよ。久しぶりの再会で、少しはしゃぎ過ぎてしまっただけです」

 ファンはそう言いつつも、ひょっとしたら本気を出した自分よりあの双子の方が強いのではないだろうかと思い始めていた。

「ノア、レア」
「……まだぼく達に言いたい事があるの?」
「私が本気を出せば、あなた達など一瞬で死んでしまいます。……ですが、それだけはしたくありません」
「う、嘘つき! 騙されちゃだめだよノア!」
「――降参するなら今のうちですよ?」
「…………!」「…………!」

 第七セプティムス紅蝠血ヴェスペルティリオ、“虚言”のファン。一世一代の大ハッタリをかます。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...