転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

文字の大きさ
89 / 117

第77話 不正ルート

しおりを挟む

 聖なる森を攻略するために必要な準備が全て整った、翌日の朝。

「おはようございます!」

 いつものように目を覚ましたルーテは、勢いよく高級なベッドから起き上がった。

「マルス! 僕は外に出かけるので、居なくても探さないでください!」
「…………んぁ? なんだ……また家出か……?」

 いきなりルーテに起こされ、寝ぼけながらそう問いかけるマルス。

「違います! 今日はお友達とダンジョン攻略ピクニックに行ってきます!」
「そっかー……楽しんで来いよー…………俺はまだ……眠い……ぐー」
「おやすみなさい!」

 それから、ルーテは二度寝したマルスを起こさないよう、静かに部屋の外へ出た。

「…………むにゃむにゃ……あけまる……はらへったー…………」

 ルーテを引き止めず呑気に夢を見ていたマルスは、この後イリアや明丸から怒られることになる。

 ――そして、勝手に遠出をしたルーテの方は、イリアと明丸に加えて、とばっちりを受けたマルスからも怒られることがこの時点で確定した。

 *

「到着しました!」

 アレスノヴァを使い、王都付近の遺跡までワープしたルーテは、元気よく外へ飛び出して言った。

「今日もいいグラフィックです!」

 ――聖なる森は、その名前とは裏腹に、封印された凶悪な魔物達が跋扈する禁域だ。

 この森を探索するには、王から特別な許可を貰わなければいけない。

 限られた優秀な冒険者のみが挑むことのできる、王国屈指の難関ダンジョン。それが聖なる森なのである。

 当然ルーテも、まずは王都へ行き、冒険者ギルドで探索の許可証を申請する必要がある。

 だが、特例で冒険者になることが出来たとはいえ、まだ子供である彼に許可が下りる可能性は限りなく低いだろう。

「出発します!」

 ルーテは王都には寄らず、ダンジョンへ直行した。

「今からとても楽しみですね!」

 しかし、わざと王都を無視したわけではない。

 アルカディアの王都は原作開始時点で大地の亀裂により壊滅状態に陥る為、探索の許可を得る必要が無くなってしまうのである。

 そのため、彼は現在の森が禁域であることを知らないのだ。

 かくして、王都による保護が一切無視された『聖なる森』は、ルーテの狩場へと変貌を遂げてしまうことになる。

 ――これが、王国で後々まで語り継がれ、様々な憶測を生むこととなる怪奇現象、『禁域魔物大量失踪事件』の真相だ。

 *

 時間をかけて平原を進んで行き、聖なる森の入口までやって来たルーテは、「危険、王からの許可なしに立ち入ることを禁ず」と書かれた看板を視界に入れることなく、内部へと不法侵入する。

 そして、『友情の鈴』を鳴らし、皆の事を呼び集めた。

「皆さん、ダンジョン攻略の時間ですよ!」

 すると、彼の周囲に六人の人間がワープしてくる。

「全てを漆黒に染める漆黒の魔弾、漆黒のスクイード。ここに漆黒の見参」

「水辺でイチャイチャするカップルは全員俺のおやつだぜぇーーーーーーーーーッ! ……ここカップル居なさそうだな」

「ェヌせでィクんエチーぁふおュく」

 大体いつも通りの登場を決めるシースルーの面々。

「あぁ、このクソ澄み切った青空を見ていると、心が洗われる気がしますわ~!」

「あれ?! て、天使がみんな消えちゃった?! ……あ、一人居たぁ!」

「……空って、こんなにクールだったんだな。本当にかけがえの無いものは盗めないってことか。……へっ、我ながら陳「――こんにちは皆さん! まずは隊列を編成します!」

 ルーテはノックスが話し終わる前に、パーティの陣形を組み始める。
 
 ――ちなみに、半獣人化薬を飲んで動物に変身したトワイライト達だったが、現在はノックス以外、元の姿に戻っている。

 どうやら、無事に変身能力をマスターすることが出来たようだ。

「とりあえず……サメちゃんとワニちゃんは入れ替え要因としてここに置いて行きます!」
「えっ!」「えっ!」

 人間形態に戻れない二人が森の中をまともに移動することは不可能だと瞬時に判断したルーテは、冷酷にそう言い渡す。

「いざという時はもう一度鈴を使ってお呼びしますので、待機していてください!」
「え」「え」
「後衛は僕とスクイードさんが担当するので、ジェリーさんとホワイトさんとトワイライトさんは前衛をお願いします!」

 その後も、瞬く間に隊列を決定していくルーテ。

「さっそく探索開始です!」

 かくして、サメとワニがセットで森の入り口に放置される珍事が発生したのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...