転生ゲーマーは死亡確定のサブキャラから成り上がる~最序盤で魔物に食い殺されるキャラに転生したので、レベルの暴力で全てを解決します~

おさない

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第79話 おやつの時間はないんですの?

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「到着しました! ここがベヒーモスとリヴァイアサンの住んでいる遺跡です!」

 極力戦闘を避けながら聖なる森を進んでいったルーテ達は、最奥に存在する『原初の遺跡』の前にやって来ていた。

 遺跡という名だが、その内部はほとんど崩壊しており、現在は地下に広大な迷宮が広がる魔物達の巣窟である。

「ここからは、エンカウントする魔物も更に強くなります。心して挑みましょう!」
「――質問がありますわ」

 その時、トワイライトが遠慮がちに手を挙げながら言った。

「……どうしたのですか? 気になることがあるなら、遠慮せずに言ってください!」
「そ、その……おやつの時間は……ないんですの? ワタクシ、ピクニックではみんなで持ち寄ったおやつを食べると聞いて……クッッソ楽しみにしておりましたの……!」

 恥ずかしそうに顔を赤らめるトワイライト。

「おやつ……食べたい……」

 ジェリーもそれに同調する。

「なるほど……」

 予想外の提案に、しばらく考え込むルーテ。

「ワタクシ、ローパーの触手をスライム漬けにしたお菓子を持って来ましたわ。みんなで食えば、きっと楽しいと思いますの……!」
「世界一美味しくなさそう」

 どさくさに紛れて辛辣なことを呟くジェリー。

「確かに、ボスに挑む前に体力を回復しておくのはありですね! それでは、おやつの時間にしましょう!」

 一方、ルーテはそう判断した。

「ほ、本当ですの?!」

 その言葉を聞いたトワイライトは、パッと明るい表情になる。

「はい! ……確か、遺跡の入口付近は魔物とエンカウントしないので、中に入って食べましょう!」
「分かりましたわっ!」
「――ホワイトさんとスクイードさんも、そっちで喧嘩していないでついて来てください!」

 ルーテに呼ばれた二人は、血と墨で芸術にされたコボルトの最上位種――コボルトゴッドにとどめを刺し、駆け寄って来た。

「我が漆黒の魔弾は、敵に血を流させることなく、安らかな死と漆黒を齎す。……だが、貴様のせいで余計な血が流れ、色が混ざった。……漆黒の不愉快」
「僕の大切な天使に下品な墨をぶち撒けたのはそっちだろう?! せっかく綺麗な赤だったのに、何を考えてるんだい?! 馬鹿なの?!」

 二人とも、相変わらず仲が悪いようだ。

「わたし、おやつ持って来てない」
「ワタクシのを分けてあげますわ!」
「いらない」

 一方ジェリーは、トワイライトが服の中に手を入れて取り出した触手を、手でそっと遠ざける。

他のおやつは僕が用意するので心配無用ですほはのほやふはぼふはほふひふるほへひんはひほふほふへふ!」

 対して、ルーテはトワイライトから貰った触手を頬張りながらそう答えるのだった。

「……わたしもこんな風に見られてたのか」

 オトヒメ以外誰も理解してくれない言葉を話していたジェリーは、そんなルーテを見て少しだけ反省した。

「……ごくん。とにかく、入りましょう!」

 ――そして、彼らがいよいよ遺跡の内部へと踏み入れた時、

「立ち去れ人間。さもなくば、貴様も骸として我が足元に積み上がることとなるだろう」
「来なさい人間。死よりも恐ろしい絶望が、この地の最奥で貴方を待っています」

 刹那、地の底から物々しい二つの声が響いて来た。身の毛もよだつ殺気と、常人なら気絶してしまうほどの強大な威圧感。

 全ての生命の王にして始原の存在が、侵入して来たルーテ一行の存在に気付いたのである。

「『ティーセット』と、『高級なジャム』と『高級なクッキー』それから『サンドイッチ』と『高級な椅子』と『高級なテーブル』『高級なパラソル』があればいいんですか? 収納スキルを覚えておいて良かったです!」
「そう。お茶会……オトヒメさまと屋敷の庭でよくやったな……なつかしい」
「すげぇ……まるで、本物のクソ貴族のボンクラどもみてぇですわ!」

 一方、ルーテ達は遺跡の入口でお茶会のセッティングを進めていく。

 一帯は老朽化によって天井が崩れ落ちているため、日当たりも良好で、まさに絶好のポジションである。

「よく焼けた漆黒の肉は無いのか?」
「僕はレアがいいな! 中が真っ赤なやつ!」
「バーベキューではないのでお肉はありません! お菓子を食べてください!」
「漆黒の落胆」「そんなぁ……!」

 どうやらスクイードとホワイトは、ピクニックというものを根本的に勘違いしていたらしい。

「巫山戯《ふざけ》るな人間、我が領域で何をしている」
「神聖なこの地を土足で踏み荒らした報いを――」
「今からおやつタイムなので後にしてください!」

 ルーテは、ベヒーモスとリヴァイアサンの言葉を遮り、皆で楽しくおやつを食べ始めるのだった。
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