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50.探索だー
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「う、うーんと。あ、原因は『秘宝』と言ってた」
「そうよ。原因は秘宝よ。力を持つメーダーは特定できるわ」
「そのメーダーを追えば秘宝に辿り着くってわけか。秘宝がメーダーに力を与えているはずだから」
「そういうこと。分かったところで、出ましょうか」
すげえ。アリアドネはあっという間に原因特定から解決策まで導いていた。
彼女がいてくれなかったら、本事件は迷宮入りしていたな。
「よし、では明朝、鳥を追いに行こうか」
「今すぐの方がいいと思うわよ」
「鳥が移動するかも?」
「うん。あの鳥は朝日が昇る前に移動するはずだから」
個体名をつけてないという割にアリアドネはメーダーの習性を良く知っている。
問題のメーダーの個体は今バリアスにいるけど、明日になるといなくなるかもしれない。
王都、バリアスに加えて別の巣がいくつかあると来たもんだ。理想は三か所なんだけど、ベルヴァが「いくつか」と言っていたからさ。
外れの巣もあることを想定しなきゃ。
他に意見が無いかなと目配せしたらベルヴァが手を上げる。
「ヨシタツ様、一つよろしいでしょうか」
「是非、頼むよ」
「はい。秘宝を発見した後、いかがなされるおつもりですか?」
「そらすぐ報告して……あ、報告すると情報収集ができなくなるから、どうしましょうということかな?」
「おっしゃる通りです」
「それは、案があるんだ。秘宝を回収できたら、話すよ。捕らぬ狸の皮算用はちょっとだからね」
「承知しました!」
俺の考えが正しければ、クリティカルヒットを利用して……。
◇◇◇
「あのメーダ―よ。分かる?」
「は、はい。何とか」
外に出るとさっそくアリアドネが先導して屋根に並んでとまる青と緑のぶち模様の鳥メーダ―を指さす。
弟子の修行にもよいと思ったのか、彼女はベルヴァにどのメーダーが秘宝の影響にあるかを問うた。
ベルヴァの方は眉間に皺を寄せながらも回答する。
「正解。やるじゃない。弟子」
「あ、ありがとうございます」
「じゃあ、次のレッスンよ」
「つ、次ですか」
戸惑うベルヴァに構わず、アリアドネはエメラルドがはめ込まれた杖を軽く振るう。
「術式を頭の中に送ったわ。使ってみて」
「え、ええ。は、はわ、あ……」
なんてえげつないことをするんだ。駄竜ボイスみたいに頭の中に直接響く声で術式の組み方ってやつを朗読したのだろうか。
教本一冊分を一息に、ってなんという鬼畜……。せめて一言断ってから事に至った方がよいだろ。
ふらつくベルヴァをそっと支える。
「竜の巫女が願います。ホローポイント」
「どう、見えた?」
「は、はい。感じます」
「じゃあ、実戦ね。ヨシタツ。到着したら出してね。私は巣で休むわ」
ひらひらと手を振るアリアドネがアイテムボックスの中に入ることをご所望する。
言われた通り、彼女をアイテムボックスの中に収納した。
最近もっぱら影が薄い駄竜はどうすんだろ? 肉をもしゃもしゃやっている途中で外に放り出したからご不満そうなので、中に入ると言うかもしれない。
『なんだ?』
「ファフサラスはどうする?」
『そうだな。我も行こうではないか。空の王たるこの我を差し置いて好き勝手しおるとは、鳥どもはこれだから侮れん』
「鳥の王とかもいるの?」
『ガルーダ・スローフェンが王なわけないだろう! 奴も一応十二将だが、我の足もとにも及ばぬよ、ぬははは』
「いるのね。まあ、今回は関係ないか」
『降りかかる火の粉であれば我が払ってくれよう』
「お前、ミニドラゴンになっているの忘れてないか?」
『ぐ。ぐぬうう』
何だか安心したわ。ブレない駄竜の額を指先で弾き、今度はベルヴァの方へ向きなおる。
「あとはメーダーが飛び立つのを待てばいいのかな?」
「はい。お任せください。見えていなくとも、感じ取れます」
「よっし。じゃあ、一旦、街から離れようか」
「承知しました!」
ベルヴァと頷き合い、バリアスの街を後にした。
一発でメーダーが目的の巣に向かってくれたらいいなあ。
◇◇◇
ジャンプ、ジャンプ、そしてジャンプである。
メーダーが飛んで進む距離より俺の方が速い。ある程度メーダーが進むのを待ってからジャンプして、を繰り返していた。
小刻みにジャンプするのも調整が難しい。時にはメーダーを追い越してしまうこともあった。
そしてついにメーダーが巣に入ったのだ。
500メートル以上はあろうかという垂直の崖の上部に窪みがある。その窪みにメーダ―は巣を作っていた。
燕の巣みたいだな……さすが鳥である。人間に発見されることはまずないだろうな。人里から遠く離れたこの場所は王都、バリアスと正三角形で結ぶことができる辺りになる。
空を飛ぶ鳥なら、労せずに辿り着ける距離だけど、地上を進んで……ならドロテア・バリアス間くらいはかかると思う。
窪みの上に静かに着地するとビックリしたメーダーたちが一斉に飛び立った。
窪みは奥へ続いていて、何とか一人分通ることができる広さがある。
うんしょとくぐって見たら、中は水たまりになっていた。
どうも湧き水があるみたいで、ちょっとした池と言ってもいいほど。
『感じるぞ。秘宝がある』
喋りながら水たまりに前脚を沈める駄竜。
「少し待ってくれ。アリアドネも呼ぶ」
アイテムボックスからアリアドネを取り出す。
彼女は駄竜と同じようにすぐに察知したようで、ギギギギと音を出し愉快そうに口が頬まで裂けた。
「待て」と言うのに駄竜は止まらず、どぶんと水の中に潜る。
全くもう。
水に手をつけ、駄竜にも分かるように叫ぶ。
「収納!」
水たまりの水を全て回収する。打ちあがる駄竜。あははは。
湧き水があるから、ちょろちょろと水が隙間から出てきているけどほんの僅かだ。
ええと、目ぼしいものはっと。
ベルヴァが持つランタンの光にキラリと光る銀色の何かを発見!
コインのような金属? かな。取ろうとしたら先に駄竜が口で咥え宙に浮く。
『我が回収してやろうというのに邪魔しおって』
「待てと言っただろ」
とりあえず、ブツは回収した。ここでは何だし。
『なぬ。我を邪蒼竜としっての狼藉か……分かった。入ろう』
久々に収納に文句を言った駄竜であったが、同意して収納された。
続いて、アリアドネ、ベルヴァの順にアイテムボックスの中へ。
最後は俺だ。
「そうよ。原因は秘宝よ。力を持つメーダーは特定できるわ」
「そのメーダーを追えば秘宝に辿り着くってわけか。秘宝がメーダーに力を与えているはずだから」
「そういうこと。分かったところで、出ましょうか」
すげえ。アリアドネはあっという間に原因特定から解決策まで導いていた。
彼女がいてくれなかったら、本事件は迷宮入りしていたな。
「よし、では明朝、鳥を追いに行こうか」
「今すぐの方がいいと思うわよ」
「鳥が移動するかも?」
「うん。あの鳥は朝日が昇る前に移動するはずだから」
個体名をつけてないという割にアリアドネはメーダーの習性を良く知っている。
問題のメーダーの個体は今バリアスにいるけど、明日になるといなくなるかもしれない。
王都、バリアスに加えて別の巣がいくつかあると来たもんだ。理想は三か所なんだけど、ベルヴァが「いくつか」と言っていたからさ。
外れの巣もあることを想定しなきゃ。
他に意見が無いかなと目配せしたらベルヴァが手を上げる。
「ヨシタツ様、一つよろしいでしょうか」
「是非、頼むよ」
「はい。秘宝を発見した後、いかがなされるおつもりですか?」
「そらすぐ報告して……あ、報告すると情報収集ができなくなるから、どうしましょうということかな?」
「おっしゃる通りです」
「それは、案があるんだ。秘宝を回収できたら、話すよ。捕らぬ狸の皮算用はちょっとだからね」
「承知しました!」
俺の考えが正しければ、クリティカルヒットを利用して……。
◇◇◇
「あのメーダ―よ。分かる?」
「は、はい。何とか」
外に出るとさっそくアリアドネが先導して屋根に並んでとまる青と緑のぶち模様の鳥メーダ―を指さす。
弟子の修行にもよいと思ったのか、彼女はベルヴァにどのメーダーが秘宝の影響にあるかを問うた。
ベルヴァの方は眉間に皺を寄せながらも回答する。
「正解。やるじゃない。弟子」
「あ、ありがとうございます」
「じゃあ、次のレッスンよ」
「つ、次ですか」
戸惑うベルヴァに構わず、アリアドネはエメラルドがはめ込まれた杖を軽く振るう。
「術式を頭の中に送ったわ。使ってみて」
「え、ええ。は、はわ、あ……」
なんてえげつないことをするんだ。駄竜ボイスみたいに頭の中に直接響く声で術式の組み方ってやつを朗読したのだろうか。
教本一冊分を一息に、ってなんという鬼畜……。せめて一言断ってから事に至った方がよいだろ。
ふらつくベルヴァをそっと支える。
「竜の巫女が願います。ホローポイント」
「どう、見えた?」
「は、はい。感じます」
「じゃあ、実戦ね。ヨシタツ。到着したら出してね。私は巣で休むわ」
ひらひらと手を振るアリアドネがアイテムボックスの中に入ることをご所望する。
言われた通り、彼女をアイテムボックスの中に収納した。
最近もっぱら影が薄い駄竜はどうすんだろ? 肉をもしゃもしゃやっている途中で外に放り出したからご不満そうなので、中に入ると言うかもしれない。
『なんだ?』
「ファフサラスはどうする?」
『そうだな。我も行こうではないか。空の王たるこの我を差し置いて好き勝手しおるとは、鳥どもはこれだから侮れん』
「鳥の王とかもいるの?」
『ガルーダ・スローフェンが王なわけないだろう! 奴も一応十二将だが、我の足もとにも及ばぬよ、ぬははは』
「いるのね。まあ、今回は関係ないか」
『降りかかる火の粉であれば我が払ってくれよう』
「お前、ミニドラゴンになっているの忘れてないか?」
『ぐ。ぐぬうう』
何だか安心したわ。ブレない駄竜の額を指先で弾き、今度はベルヴァの方へ向きなおる。
「あとはメーダーが飛び立つのを待てばいいのかな?」
「はい。お任せください。見えていなくとも、感じ取れます」
「よっし。じゃあ、一旦、街から離れようか」
「承知しました!」
ベルヴァと頷き合い、バリアスの街を後にした。
一発でメーダーが目的の巣に向かってくれたらいいなあ。
◇◇◇
ジャンプ、ジャンプ、そしてジャンプである。
メーダーが飛んで進む距離より俺の方が速い。ある程度メーダーが進むのを待ってからジャンプして、を繰り返していた。
小刻みにジャンプするのも調整が難しい。時にはメーダーを追い越してしまうこともあった。
そしてついにメーダーが巣に入ったのだ。
500メートル以上はあろうかという垂直の崖の上部に窪みがある。その窪みにメーダ―は巣を作っていた。
燕の巣みたいだな……さすが鳥である。人間に発見されることはまずないだろうな。人里から遠く離れたこの場所は王都、バリアスと正三角形で結ぶことができる辺りになる。
空を飛ぶ鳥なら、労せずに辿り着ける距離だけど、地上を進んで……ならドロテア・バリアス間くらいはかかると思う。
窪みの上に静かに着地するとビックリしたメーダーたちが一斉に飛び立った。
窪みは奥へ続いていて、何とか一人分通ることができる広さがある。
うんしょとくぐって見たら、中は水たまりになっていた。
どうも湧き水があるみたいで、ちょっとした池と言ってもいいほど。
『感じるぞ。秘宝がある』
喋りながら水たまりに前脚を沈める駄竜。
「少し待ってくれ。アリアドネも呼ぶ」
アイテムボックスからアリアドネを取り出す。
彼女は駄竜と同じようにすぐに察知したようで、ギギギギと音を出し愉快そうに口が頬まで裂けた。
「待て」と言うのに駄竜は止まらず、どぶんと水の中に潜る。
全くもう。
水に手をつけ、駄竜にも分かるように叫ぶ。
「収納!」
水たまりの水を全て回収する。打ちあがる駄竜。あははは。
湧き水があるから、ちょろちょろと水が隙間から出てきているけどほんの僅かだ。
ええと、目ぼしいものはっと。
ベルヴァが持つランタンの光にキラリと光る銀色の何かを発見!
コインのような金属? かな。取ろうとしたら先に駄竜が口で咥え宙に浮く。
『我が回収してやろうというのに邪魔しおって』
「待てと言っただろ」
とりあえず、ブツは回収した。ここでは何だし。
『なぬ。我を邪蒼竜としっての狼藉か……分かった。入ろう』
久々に収納に文句を言った駄竜であったが、同意して収納された。
続いて、アリアドネ、ベルヴァの順にアイテムボックスの中へ。
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