27 / 43
新たな動き
しおりを挟む
今まで婚約破棄イベントをこなさないと終われない、と頭から思い込んでいたけれど。
「直で言っちゃ駄目なのかな?」
考え込んでてついうっかりと、リュオディス殿下に『婚約破棄が』などと呟いてしまったあと、大慌てで誤魔化して全速力でその場から逃げ出した私だったけど──その時ふと、そんな考えが脳裏に浮かびあがってきたのだ。
そもそも私からして原作とは性格が違っているし。
ていうかなんならリュオディス殿下も性格が違うみたいだし。
原作ゲームを序盤しかプレイしてない私だけれど、それでもすぐ原作との違いがわかるくらいなのだ。
ていうか、ゲームをプレイした人ならそれ以外にも色々、元の話との相違点が解るんではなかろうか??
「だったら直接、婚約破棄を申し出るのもありなのでは?」
これは試してみる可能性はある、と私は思った。幸い、今の殿下は気性が穏やかでとても優しい。このくらいの我儘なら、試しに話してみても怒ったりしないんじゃないだろうか。──しかし、
「う~ん……まずは相談してみるか…」
殿下は怒らないだろうが、立場的な問題も色々あるのだ。そもそも、位が下の公爵家から最上位の王家に対して婚約破棄など、申し入れるなど非常識を通り越して無礼極まりない。なにせ、下手したら公爵家のお取りつぶしだって有り得る世界なのだ。
慎重に事をすすめなければならない。
思い付きで行動しなかった自分を褒めつつ、私は、家へ帰ってからミィナに相談してみることにした。
「駄目に決まっているでしょう……」
「あ、やっぱり?」
答えは想像通りだった。つーか、ミィナから思いっきり、可哀想なものを見る目で見られたわよ。
「当たり前でしょう…お相手はこの国一の権力者なんですよ?解ってます??」
「はい……解ってます」
「そんなお相手を前に、婚約破棄して!!なんて、幼稚な子供じゃあるまいし、言えるものですかって…」
「はぁ…………」
主人に対して失礼じゃない??なんて軽く思いつつも、私は私を諫めてくれるミィナに一応の感謝はした。
「うーん…直接は駄目かぁ……残念。でも、ありがとうね、ミィナ」
「いいえ。こんな大事なこと、事前に相談してくれて助かります」
「あはは………」
そうすると、リュオディス殿下に『婚約破棄』の呟きを聞かれたのは、我ながら痛い失敗だったけども。まあ、こんなホントにただの思い付きで、一生をふいにする気はないので、今回のはただの独り言っつーことで無理矢理通そう。うん。
でも、もしも出来ることなら私のあの呟きで何かを察して、殿下の方から言ってきてくんないものかしら??なんて、都合の良すぎることを密かに願う私だった。
「次の手を考えなきゃなんないけど…」
何も思いつかなかったので、私はタマに添い寝して貰って、その日は気持ち良いくらいに爆睡した。
すると翌朝、事態は突然、動きを見せたのである。
「直で言っちゃ駄目なのかな?」
考え込んでてついうっかりと、リュオディス殿下に『婚約破棄が』などと呟いてしまったあと、大慌てで誤魔化して全速力でその場から逃げ出した私だったけど──その時ふと、そんな考えが脳裏に浮かびあがってきたのだ。
そもそも私からして原作とは性格が違っているし。
ていうかなんならリュオディス殿下も性格が違うみたいだし。
原作ゲームを序盤しかプレイしてない私だけれど、それでもすぐ原作との違いがわかるくらいなのだ。
ていうか、ゲームをプレイした人ならそれ以外にも色々、元の話との相違点が解るんではなかろうか??
「だったら直接、婚約破棄を申し出るのもありなのでは?」
これは試してみる可能性はある、と私は思った。幸い、今の殿下は気性が穏やかでとても優しい。このくらいの我儘なら、試しに話してみても怒ったりしないんじゃないだろうか。──しかし、
「う~ん……まずは相談してみるか…」
殿下は怒らないだろうが、立場的な問題も色々あるのだ。そもそも、位が下の公爵家から最上位の王家に対して婚約破棄など、申し入れるなど非常識を通り越して無礼極まりない。なにせ、下手したら公爵家のお取りつぶしだって有り得る世界なのだ。
慎重に事をすすめなければならない。
思い付きで行動しなかった自分を褒めつつ、私は、家へ帰ってからミィナに相談してみることにした。
「駄目に決まっているでしょう……」
「あ、やっぱり?」
答えは想像通りだった。つーか、ミィナから思いっきり、可哀想なものを見る目で見られたわよ。
「当たり前でしょう…お相手はこの国一の権力者なんですよ?解ってます??」
「はい……解ってます」
「そんなお相手を前に、婚約破棄して!!なんて、幼稚な子供じゃあるまいし、言えるものですかって…」
「はぁ…………」
主人に対して失礼じゃない??なんて軽く思いつつも、私は私を諫めてくれるミィナに一応の感謝はした。
「うーん…直接は駄目かぁ……残念。でも、ありがとうね、ミィナ」
「いいえ。こんな大事なこと、事前に相談してくれて助かります」
「あはは………」
そうすると、リュオディス殿下に『婚約破棄』の呟きを聞かれたのは、我ながら痛い失敗だったけども。まあ、こんなホントにただの思い付きで、一生をふいにする気はないので、今回のはただの独り言っつーことで無理矢理通そう。うん。
でも、もしも出来ることなら私のあの呟きで何かを察して、殿下の方から言ってきてくんないものかしら??なんて、都合の良すぎることを密かに願う私だった。
「次の手を考えなきゃなんないけど…」
何も思いつかなかったので、私はタマに添い寝して貰って、その日は気持ち良いくらいに爆睡した。
すると翌朝、事態は突然、動きを見せたのである。
39
あなたにおすすめの小説
逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?
魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。
彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。
国外追放の系に処された。
そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。
新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。
しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。
夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。
ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。
そして学校を卒業したら大陸中を巡る!
そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、
鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……?
「君を愛している」
一体なにがどうなってるの!?
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
悪役令嬢は始祖竜の母となる
葉柚
ファンタジー
にゃんこ大好きな私はいつの間にか乙女ゲームの世界に転生していたようです。
しかも、なんと悪役令嬢として転生してしまったようです。
どうせ転生するのであればモブがよかったです。
この乙女ゲームでは精霊の卵を育てる必要があるんですが・・・。
精霊の卵が孵ったら悪役令嬢役の私は死んでしまうではないですか。
だって、悪役令嬢が育てた卵からは邪竜が孵るんですよ・・・?
あれ?
そう言えば邪竜が孵ったら、世界の人口が1/3まで減るんでした。
邪竜が生まれてこないようにするにはどうしたらいいんでしょう!?
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
【完結】悪役令嬢は何故か婚約破棄されない
miniko
恋愛
平凡な女子高生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。
断罪されて平民に落ちても困らない様に、しっかり手に職つけたり、自立の準備を進める。
家族の為を思うと、出来れば円満に婚約解消をしたいと考え、王子に度々提案するが、王子の反応は思っていたのと違って・・・。
いつの間にやら、王子と悪役令嬢の仲は深まっているみたい。
「僕の心は君だけの物だ」
あれ? どうしてこうなった!?
※物語が本格的に動き出すのは、乙女ゲーム開始後です。
※ご都合主義の展開があるかもです。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。
【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる