【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~

深山きらら

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第八章 薔薇は夜明けに

十年後

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 それから十年が過ぎた。

 ローズは十五歳になり、美しい少女に成長していた。
 母譲りの琥珀色の瞳と、父譲りの意志の強さを持つ彼女は、社交界でも注目を集めていた。
 でも、ローズは両親から最も大切なことを学んでいた。真の価値は、外見ではなく、心の中にあるということを。

 アランも十三歳になり、父のような騎士を目指していた。
 優しく、正義感の強い少年だった。

 エリアナとアレクシスには、さらに二人の子供が生まれていた。
 双子の娘、エマとソフィア。

 ヴァルモント家は、笑い声に満ちていた。



 ある日、エリアナは一通の手紙を受け取った。
 リリアーナからだった。

「エリアナ姉様へ
 お久しぶりです。お元気でしょうか。

 わたくしにも、素晴らしいことがありました。
 この村で、小さな学校の教師をしている男性と結婚しました。
 彼は、わたくしの美しさではなく、心を愛してくれました。
 初めて、本当の愛を知りました。
 お姉様が言っていた通り、本当の自分として生きることで、幸せは訪れるのですね。

 今、わたくしはとても幸せです。
 お姉様ほどではないかもしれませんが、自分なりの幸せを見つけました。

 いつか、夫を連れて、お会いに行きたいと思います。
 その時は、本当の笑顔で、お姉様に会えると思います。
 お幸せに。
 リリアーナ」

 エリアナは、微笑んだ。
 妹も、やっと幸せを見つけたのだ。
 遠回りだったかもしれない。
 でも、それも人生。

「良い知らせか?」

 アレクシスが、書斎に入ってきた。

「ええ。リリアーナが結婚したそうです」
「そうか。良かったな」

 アレクシスは、エリアナの肩に手を置いた。

「すべての人が、幸せになるべきだ」
「あなたは、本当に優しい人ですね」
「君に教わった」

 二人は微笑み合った。

 窓の外では、子供たちが庭園で遊んでいる。ローズが弟妹たちの世話をしている。優しく、愛情を持って。

「わたくしたち、良い子供たちを育てていますね」

 エリアナが、囁いた。

「ああ。それは、君が素晴らしい母親だからだ」
「あなたが、素晴らしい父親だからです」

 二人は、抱き合った。



 エリアナは、窓から薔薇園を見つめた。

 かつて、自分は灰色だと思っていた。
 でも、それは間違いだった。
 誰もが、心の中に色を持っている。
 ただ、それを咲かせる機会が必要なだけ。

 愛されること。
 そして、愛すること。
 それが、薔薇を咲かせる魔法。

 エリアナは、その魔法を知った。
 そして今、その魔法を次の世代に伝えている。
 子供たちに。
 そして、出会うすべての人々に。

「灰色の薔薇なんて、いないのよ」
 エリアナは、かつて孤児院で語った物語を思い出した。
「全ての薔薇は、美しく咲く力を持っている。ただ、愛と光が必要なだけ」

 アレクシスが、彼女の隣に立った。

「何を考えている?」
「幸せについて、です」
「どんな?」
「本当の幸せは、外側にあるのではなく、内側にあるということです」

 エリアナは、アレクシスを見上げた。

「自分を愛し、他者を愛し、愛される。それが、真の幸せなのだと」
「その通りだ」

 アレクシスは、エリアナを抱きしめた。

「そして、君は今、その幸せの中にいる」
「わたくしたちは、です」

 二人は、微笑み合った。

 夕日が、城を照らしている。
 オレンジ色の光が、全てを温かく包んでいる。

 子供たちの笑い声。
 薔薇の香り。
 愛する人の温もり。
 これが、エリアナが手に入れた幸せ。
 長い旅路の末に、ついに辿り着いた場所。


 灰色の薔薇は、夜に咲いた。
 暗闇の中で、必死に光を求めて。

 そして、夜明けと共に、真紅の薔薇になった。
 美しく、強く、誇り高く。

 これからも、この薔薇は咲き続ける。
 愛する人々と共に。
 永遠に。【完】
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