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守るべきもの(アーノルド視点)
しおりを挟む※アーノルド視点
最初はただの『守るべき対象』だった。
同時期にやってきた二人の聖女。
一人はその場にいたほとんどの視線を独り占めしていながらも堂々とした振る舞いの聖女リーア。
そしてもう一人はリーアに比べると地味ではあるが凛とした佇まいの聖女シルク。
聖力は瞳の色の濃さに反映され、能力で言えば格段にシルクの方が上。
それなのに周囲はさもリーアの方が優秀だと言わんばかりの態度でシルクを蔑ろにしていた。
『はずれ』という言葉が耳に入ってきたのは数年前。
聖女に当たりもはずれもないというのに口さがない連中はこぞってシルクを『はずれ』と罵り始めた。
聖女としての仕事を真面目にミスなくきっちりとこなしている彼女に対しての暴言に腹が立った。
その都度否定して注意して不名誉極まりない噂を払拭しようともがいたが所詮は一騎士団の一団長にすぎない俺に出来る事は限られていた。
当のシルクはというと、確実に噂は耳に入っているはずだし直接心無い事言われているのに職務への影響は皆無だった。
きっと傷付いているのに。
やるせないと感じているはずなのに。
理不尽な噂に胸を痛めているはずなのに。
それなのに普段と何ら変わらない姿勢で職務を全うするその姿に、尊敬の念を抱くのは当たり前の事だった。
気が付けばいつも彼女の姿を探し、声を求め、会えば頬は緩み話せば心は弾み見つめられれば有頂天になる程彼女に惚れ込んでしまっていた。
(ただ守るべき対象というだけだったはずなのに)
可愛い。
可愛すぎる。
何をしていても、何ならたまに毒を吐く姿すら可愛い。
遠征の打ち合わせにかこつけて少しでも共にいられる時間を捻出しているなど、きっとシルクは想像もしていないだろう。
彼女が自分をどう思っているのかはわからない。
ただの仕事仲間としか思われていない可能性が高いが、たくさんの時間を共有したくさんの言葉を交わせば、いつかほんの少しでもこちらを意識してくれるかもしれない。
そんな下心を抱きながらずっとシルクと接してきた。
そして今年、いつもは警備に回されていたパーティー当日が非番になった。
さりげなく誰と行くのか訊ねてみると。
「毎年弟と参加していたんですけど、今年はダメなんですよね」
「都合が悪いのか?」
「恋人が出来たんですよ」
「ああ、なるほど」
はあ、と大きな溜め息を吐くシルク。
「あーーーどうしよう、やっぱり一人で行くのはダメですよね?」
「一応パートナー必須ではあるな」
「ですよね……はあ、どうしよう」
この様子だと弟の他に共に参加してくれそうな心当たりはないのだろう。
これはチャンスだ。
(俺が誘ったら、シルクは受け入れてくれるだろうか)
一夜の夢で終わっても良い。
いや、本音を言うならずっと続いて欲しいがこればかりは自分一人の意思では続けられない。
柄にもなくシルクの雰囲気にあった花を買い、何度もシミュレーションした通りにシルクを誘った。
一度は断られ絶望し、ちょっとした騒動に巻き込まれたがその後誤解が解け無事にシルクを手に入れられた。
パーティーに共に参加するだけで良かったのに嬉しい誤算だ。
うるさい小蠅がいたからとんとん拍子で進んだようにも思うが、小蠅は所詮小蠅。
以前からシルクに関しての不名誉な噂の出所が奴だと報告があがっていたのだが親が権力者で決定的な証拠を得るまで虎視眈々と奴を破滅させる機会を伺っていた。
その証拠が集まると同時にシルクへの暴言暴力を目の当たりにし、俺は全身の血液が沸き上がるのを感じた。
俺のシルクを精神的にも肉体的にも傷付けたのだ、徹底的に潰してやる。
その場で再起不能に陥るまで殴らなかった自分を褒めてやりたい。
同時に、あんな展開を招いてしまった自分の愚鈍さに腹が立った。
シルクは助けてくれて感謝していると言っていたが、やはり自分を許せそうにない。
決心の通りに奴を徹底的に潰し、二度とシルクの目の前に現れないよう追放を命じた。
欲を言えば処刑してしまいたかったが、処刑されるよりも過酷な運命が待っていると思えば多少の溜飲は下がる。
その更に後でリーアとの一悶着もあったのだが、まさか俺がリーアを好いていると勘違いしているとは思ってもみなかった。
俺はいつだってシルクしか見ていないのに。
「アーノルド、大好きです」
想いを確かめ合い、念願通りにシルクを独り占め出来たパーティーの夜。
パーティーが終わってからも、これから先も共にいてくれると誓ったあの日は人生で最良の日であり最高の日だった。
はにかみながら愛を告白してくるシルクの可愛らしさといったらない。
同じ聖女ならリーアの方が良いのに何故という声もかけられたが、笑止千万。
シルクの魅力がわからない奴に何を説明したところでわかりはしないだろう。
それで良い。
シルクの魅力はわかる奴だけがわかれば良いのだ。
パーティーで見せたシルクの嬉しそうな柔らかな笑みと態度にライバルが増えた気もするが、すでに彼女は俺のものだ。
俺だけのものだ。
今更彼女の魅力に気付くなんて遅過ぎる。
彼女を手放すつもりはない。
彼女にも俺を手放して欲しくない。
「今日も可愛いな、シルク」
「っ、アーノルドも素敵、です」
顔を真っ赤に染めて言い返してくる彼女が愛おしくて仕方がない。
可愛い。
愛おしい。
頭の先からつま先まで、俺にとっては全てが完璧な俺の聖女。
髪の毛の一本、視線のひとつすら他の誰かに寄越すつもりはない。
(シルクも厄介な奴に捕まったものだ)
我ながら厄介な奴だと喉の奥を鳴らしつつ、今日も愛しの彼女へキスの嵐をお見舞いするのであった。
終わり
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あっまい〜♪
素適な物語を有難うございました。努力する頑張りやさんが報われる話は大好きですし、聖女ちゃん二人が仲良しなのもよかったです。😄
こちらこそ素敵な感想ありがとうございます(^^)
女の子が仲良くわちゃわちゃしているのが好きなのでああなりました笑
努力は報われてなんぼですからね(^^)
ありがとうございました!
もう最後まで…ご馳走さまでした!!!!!♡
お粗末さまです♡
ありがとうございます!
こんにちは♪
全話楽しく読みました(≡^∇^≡)
団長とシルクのラブラブっぷりが糖度計での測定が不能になるくらい甘すぎて、糖尿病になってしまいそうです(≡^∇^≡)
こんにちは(^^)
読んでいただきありがとうございます!
糖尿病ww
そこまでの糖分受け取っていただいて嬉しいです!
ありがとうございました(^^)