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第四部:決戦、飢餓の戦場
第四十四話:戦場の滋養糊、血潮蘇る
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決戦は、昼夜を問わず続いていた。
前線からは、絶え間ない怒号や悲鳴、そして剣戟の音(剣戟の音)が響いてくる。
戦場は、もはや生きる者と死ぬ者が混在する、凄惨な光景だ。
勝鬨握り(第四十一話)と滋養液(第四十二話)は、前線で戦う兵士たちの命を繋ぐ一時的な支えとなっている。
しかし、戦いが長引くにつれて、負傷者や、極度の疲労で戦線を離脱する兵士が増えてきた。
後方の、臨時の野戦病院や、一時的な休息場所には、呻き声や荒い息遣いが満ちている。
血に塗れ、泥にまみれた兵士たちは、手当を受けている者、力なく横たわる者。
彼らは、戦いの直接的な脅威からは一時的に離れているが、飢えと渇き、そして自身の傷という、別の敵と戦っている。
「水……
誰か、水を……」
「腹が、減った……
でも、噛めねえ……」
彼らは、勝鬨握りのような固形物はもちろん、滋養液のような液体を飲むことすら困難な場合がある。
体は栄養を求めているが、弱り切った胃や喉は、それを受け付けない。
兵士たちの命を救うためには、彼らが容易に摂取でき、迅速に体に染み渡る、濃厚な滋養が必要だった。
千兵衛と彼の兵糧隊は、井上治部少輔が確保した、比較的に安全な後方の野営地で活動していた。
前線の混沌が間近に迫る場所だが、負傷者を運び込む兵士や、一時的な休息をとる部隊が立ち寄る、兵站の重要な拠点だ。
ここで、千兵衛は、戦場のもう一つの戦い、つまり「回復と延命」のための食事を作ることにした。
彼は、手元に残った雑穀や豆を、惜しみなく大きな鍋に入れた。
さらに、乾燥肉や乾燥魚の、固くて食べられない端材を細かく砕いたもの、乾燥野菜の粉末などを加える。
そして、たっぷりの水で、コトコトとじっくり、それこそ形がなくなるまで煮込んでいく。
鍋の中では、穀物や豆が溶け崩れ、ドロドロとした、粘度の高い状態になっていく。
肉や魚の端材から出た濃厚な旨味と、穀物の甘みが混じり合う。
火から下ろしても、鍋からはほかほかと温かい湯気が立ち上る。
出来上がったのは、見た目は地味な、茶色や灰色がかったどろりとした「戦場の滋養糊、血潮蘇る(せんじょうのじようこ、ちしおよみがえる)」だ。
しかし、湯気からは、滋養に満ちた、力強い香りがふわりと漂う。
塩と味噌を少量加え、味を調える。
それは、噛む必要がなく、弱った体でもつるりと飲み込めるように作られている。
この滋養糊は、野戦病院に運ばれ、あるいは休息場所で、弱った兵士たちに配られた。
自力で食べられない者には、兵糧隊の兵士や、仲間の兵士が、柄杓や小さな器で、少しずつ口元へ運んでやる。
兵士たちは、その温かい滋養糊を、ゆっくりと、しかし必死に飲み込む。
つるりと喉を通る感覚。
そして、じんわりと体の中に染み渡るような温もりと滋養。
まるで、枯れ果てた大地に水が染み込むように、栄養が全身に駆け巡るのを感じる。
弱り切っていた体に、少しずつ力が戻ってくる。
「ああ……」
「……生き返る……」
「……美味い……」
兵士たちの口から漏れる、微かな声。
それは、飢えと傷に苦しむ体への、確かな効力を示していた。
この滋養糊は、彼らにとって、戦場の地獄の中で、再び生きるための希望を与えてくれた。
千兵衛は、兵士たちが滋養糊を飲む様子を静かに見守っていた。
泥と血に塗れた彼らの顔に、わずかに安堵の色が浮かぶのを見て、千兵衛は心を締め付けられる思いだった。
そして、この極限状況で、自身の作った食が、兵士たちの命を繋いでいることを改めて実感する。
千兵衛は、目の前で兵士たちが滋養糊を飲む様子を見ながら、困難な状況下でこそ食の力が真価を発揮すると確信し、その兵糧哲学を静かに心で唱えた。
「乏しき中にこそ、美味は宿る。
これぞ、いくさ飯。」
軍目付代の井上治部少輔は、この後方の拠点での兵糧の活動を厳しい顔つきで見守っていた。
かつては兵糧を「物資」としか見ていなかった彼だが、今、この滋養糊が、どれほど多くの負傷者や疲弊した兵士の命を繋ぎ止めているかを理解している。
彼は、兵糧隊の安全を確保し、必要な資材を優先的に回すことで、千兵衛の活動を全面的に支援していた。
二人の間には、戦場の混沌の中でも揺るぎない、確かな信頼関係が生まれていた。
この戦場の滋養糊、血潮蘇るは、前線での戦闘糧食とは異なる、戦場のもう一つの戦い、つまり「回復と生存」のためのいくさ飯だ。
それは、飢餓と傷に苦しむ兵士たちにとって、生命の光となる。
しかし、戦いは終わらない。
兵糧は刻一刻と減っていく。
負傷者は増え続ける。
この飢餓の戦場で、千兵衛は、いかにして兵士たちの命を、戦いが終わるまで繋ぎ続けるのか。
兵糧戦線、最終局面の試練は、さらに過酷になっていく。
【今回のいくさ飯】
『戦場の「回復食」。 戦場の滋養糊、血潮蘇る(せんじょうのじようこ、ちしおよみがえる)』
第四部、戦場での負傷者や極度に疲弊した兵士のために作られた、濃厚な粥やペースト状の糧。
雑穀や豆をじっくり煮込み、乾燥肉や乾燥魚の端材などと共に形がなくなるまで煮溶かしたもの。
噛む必要がなく、弱った体でも容易に摂取でき、迅速に滋養となる。
戦場の後方で、回復と延命を目的として作られ、兵士の生命の光となる。
井上治部少輔との協力関係によって、安全な場所での準備が可能となった。
第四部の主要な「いくさ飯」の一つ。
(現代の介護食、病人食、栄養補助ペースト。回復促進、延命、井上治部少輔との協力)
前線からは、絶え間ない怒号や悲鳴、そして剣戟の音(剣戟の音)が響いてくる。
戦場は、もはや生きる者と死ぬ者が混在する、凄惨な光景だ。
勝鬨握り(第四十一話)と滋養液(第四十二話)は、前線で戦う兵士たちの命を繋ぐ一時的な支えとなっている。
しかし、戦いが長引くにつれて、負傷者や、極度の疲労で戦線を離脱する兵士が増えてきた。
後方の、臨時の野戦病院や、一時的な休息場所には、呻き声や荒い息遣いが満ちている。
血に塗れ、泥にまみれた兵士たちは、手当を受けている者、力なく横たわる者。
彼らは、戦いの直接的な脅威からは一時的に離れているが、飢えと渇き、そして自身の傷という、別の敵と戦っている。
「水……
誰か、水を……」
「腹が、減った……
でも、噛めねえ……」
彼らは、勝鬨握りのような固形物はもちろん、滋養液のような液体を飲むことすら困難な場合がある。
体は栄養を求めているが、弱り切った胃や喉は、それを受け付けない。
兵士たちの命を救うためには、彼らが容易に摂取でき、迅速に体に染み渡る、濃厚な滋養が必要だった。
千兵衛と彼の兵糧隊は、井上治部少輔が確保した、比較的に安全な後方の野営地で活動していた。
前線の混沌が間近に迫る場所だが、負傷者を運び込む兵士や、一時的な休息をとる部隊が立ち寄る、兵站の重要な拠点だ。
ここで、千兵衛は、戦場のもう一つの戦い、つまり「回復と延命」のための食事を作ることにした。
彼は、手元に残った雑穀や豆を、惜しみなく大きな鍋に入れた。
さらに、乾燥肉や乾燥魚の、固くて食べられない端材を細かく砕いたもの、乾燥野菜の粉末などを加える。
そして、たっぷりの水で、コトコトとじっくり、それこそ形がなくなるまで煮込んでいく。
鍋の中では、穀物や豆が溶け崩れ、ドロドロとした、粘度の高い状態になっていく。
肉や魚の端材から出た濃厚な旨味と、穀物の甘みが混じり合う。
火から下ろしても、鍋からはほかほかと温かい湯気が立ち上る。
出来上がったのは、見た目は地味な、茶色や灰色がかったどろりとした「戦場の滋養糊、血潮蘇る(せんじょうのじようこ、ちしおよみがえる)」だ。
しかし、湯気からは、滋養に満ちた、力強い香りがふわりと漂う。
塩と味噌を少量加え、味を調える。
それは、噛む必要がなく、弱った体でもつるりと飲み込めるように作られている。
この滋養糊は、野戦病院に運ばれ、あるいは休息場所で、弱った兵士たちに配られた。
自力で食べられない者には、兵糧隊の兵士や、仲間の兵士が、柄杓や小さな器で、少しずつ口元へ運んでやる。
兵士たちは、その温かい滋養糊を、ゆっくりと、しかし必死に飲み込む。
つるりと喉を通る感覚。
そして、じんわりと体の中に染み渡るような温もりと滋養。
まるで、枯れ果てた大地に水が染み込むように、栄養が全身に駆け巡るのを感じる。
弱り切っていた体に、少しずつ力が戻ってくる。
「ああ……」
「……生き返る……」
「……美味い……」
兵士たちの口から漏れる、微かな声。
それは、飢えと傷に苦しむ体への、確かな効力を示していた。
この滋養糊は、彼らにとって、戦場の地獄の中で、再び生きるための希望を与えてくれた。
千兵衛は、兵士たちが滋養糊を飲む様子を静かに見守っていた。
泥と血に塗れた彼らの顔に、わずかに安堵の色が浮かぶのを見て、千兵衛は心を締め付けられる思いだった。
そして、この極限状況で、自身の作った食が、兵士たちの命を繋いでいることを改めて実感する。
千兵衛は、目の前で兵士たちが滋養糊を飲む様子を見ながら、困難な状況下でこそ食の力が真価を発揮すると確信し、その兵糧哲学を静かに心で唱えた。
「乏しき中にこそ、美味は宿る。
これぞ、いくさ飯。」
軍目付代の井上治部少輔は、この後方の拠点での兵糧の活動を厳しい顔つきで見守っていた。
かつては兵糧を「物資」としか見ていなかった彼だが、今、この滋養糊が、どれほど多くの負傷者や疲弊した兵士の命を繋ぎ止めているかを理解している。
彼は、兵糧隊の安全を確保し、必要な資材を優先的に回すことで、千兵衛の活動を全面的に支援していた。
二人の間には、戦場の混沌の中でも揺るぎない、確かな信頼関係が生まれていた。
この戦場の滋養糊、血潮蘇るは、前線での戦闘糧食とは異なる、戦場のもう一つの戦い、つまり「回復と生存」のためのいくさ飯だ。
それは、飢餓と傷に苦しむ兵士たちにとって、生命の光となる。
しかし、戦いは終わらない。
兵糧は刻一刻と減っていく。
負傷者は増え続ける。
この飢餓の戦場で、千兵衛は、いかにして兵士たちの命を、戦いが終わるまで繋ぎ続けるのか。
兵糧戦線、最終局面の試練は、さらに過酷になっていく。
【今回のいくさ飯】
『戦場の「回復食」。 戦場の滋養糊、血潮蘇る(せんじょうのじようこ、ちしおよみがえる)』
第四部、戦場での負傷者や極度に疲弊した兵士のために作られた、濃厚な粥やペースト状の糧。
雑穀や豆をじっくり煮込み、乾燥肉や乾燥魚の端材などと共に形がなくなるまで煮溶かしたもの。
噛む必要がなく、弱った体でも容易に摂取でき、迅速に滋養となる。
戦場の後方で、回復と延命を目的として作られ、兵士の生命の光となる。
井上治部少輔との協力関係によって、安全な場所での準備が可能となった。
第四部の主要な「いくさ飯」の一つ。
(現代の介護食、病人食、栄養補助ペースト。回復促進、延命、井上治部少輔との協力)
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