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第四章:絶望の淵、再起の誓い
第十六話:月詠山へ
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長く、そして短く感じられた夜が明けた。
空はまだ夜明け前の藍色に染まり、山の稜線が墨絵のように浮かび上がっている。ひんやりとした朝の空気には、どこか張り詰めた緊張感が漂っていた。
村の広場に集まったさつきたちは、それぞれの得物を手に、静かに並んでいた。
右京の私兵たちは、整然とした隊列を組み、その眼差しは鋭い。
そして、義勇兵として駆け付けた人々は、それぞれの持ち場で、固い決意を顔に刻んでいる。
彼らの手には、鋤や鎌、あるいは使い慣れた棒きれなど、決して立派とは言えない武器が握られているが、その心には、故郷と愛する人々を守るという、何よりも強い意志が宿っていた。
さつきは、皆の顔を一人ひとり見つめた。
藤次郎は、その左腕に包帯を巻きながらも、毅然とした表情で先頭に立つ。
小夜は、さつきの傍らに寄り添い、彼女の小さな拳には、秘められた情報が握られているかのようだ。
右京は、自らの命を顧みず、この戦いに全てを賭ける覚悟を背中で示している。
「皆…」
さつきの声は、夜明け前の静寂に吸い込まれるように、しかし、その奥には確かな響きがあった。
「我らは、この国の未来のために、今、ここに集まった。かつて、憎しみに囚われ、一人で剣を振るっていた私を、あなたたちが救ってくれた。今度は、私が、皆と共に、この国の未来を守る番だ」
彼女の言葉には、かつての復讐の炎ではなく、人々を守るための月光のような穏やかな力が宿っていた。その声は、広場に集まった人々の心に、温かい光を灯した。
「さつき様…!」
義勇兵の中から、感極まったような声が上がった。彼らは、この女武芸者のために命を賭す覚悟を新たにした。
藤次郎が、ゆっくりと右手を挙げた。
「では、参る」
その声は、静かだが、皆の心に響き渡った。
さつきは、鞘から愛刀を引き抜いた。月光を浴びて、その刀身が静かに輝く。
先頭に立つのは、さつきと、その隣を藤次郎が、そして右京が続く。その後ろには、小夜と、右京の私兵、そして義勇兵たちが続く。彼らの足音が、夜明け前の大地に力強く響き渡る。
霊峰・月詠山は、闇の中でその巨体を横たえている。山頂からは、不気味な黒い瘴気のようなものが立ち上っているように見えた。
日本の未来を賭けた最後の戦い。
この月詠山で、全ての因縁に決着がつけられる。
朝日が、東の空を赤く染め始めた。
さつきたちは、希望の光を胸に、黒幕の待つ月詠山へと、その一歩を踏み出した。
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「皆…」
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「我らは、この国の未来のために、今、ここに集まった。かつて、憎しみに囚われ、一人で剣を振るっていた私を、あなたたちが救ってくれた。今度は、私が、皆と共に、この国の未来を守る番だ」
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「さつき様…!」
義勇兵の中から、感極まったような声が上がった。彼らは、この女武芸者のために命を賭す覚悟を新たにした。
藤次郎が、ゆっくりと右手を挙げた。
「では、参る」
その声は、静かだが、皆の心に響き渡った。
さつきは、鞘から愛刀を引き抜いた。月光を浴びて、その刀身が静かに輝く。
先頭に立つのは、さつきと、その隣を藤次郎が、そして右京が続く。その後ろには、小夜と、右京の私兵、そして義勇兵たちが続く。彼らの足音が、夜明け前の大地に力強く響き渡る。
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