黄昏の国家

旅里 茂

文字の大きさ
36 / 48
新たなる軍需

黄昏の国家36

しおりを挟む
高沢は、電子ペーパーの着信音で眼が覚めた。
ホログラムを操作すると、政府機関、第二高等軍事委員会の沢崎健太なる人物からの連絡で有った。
この名前と顔には心当たりがある。
Fー7の飛行披露をした際に、政府側の航空自衛軍の制服組に座っていた人物だ。
直接話した事が無いので、何故高沢に連絡を今になって寄越すのか、感潜った。
「出て頂きましたか。突然の連絡失礼致します」
こちらが応答する間もなく、そのまま言葉をまくし立てるように、高沢の耳に信じられぬ情報が入って来たのだ。
「私たち第二高等軍事委員会は、第二の防衛軍を創設しようとしているのです」
自衛軍の間違いではないのか。そう思い伝えが、防衛軍であるらしい。
「現在我々委員会の流れでは、最終的には自衛軍を超える軍需を備えるつもりです」
つまり、イランのように軍の上である革命防衛隊のような組織体制を取るつもりなのか。
「現状、幾つかの工程がありますが、まずそういった処です」
之には高沢は少し混乱をした。
そんな事を日本政府が許す筈がない。「防衛体制を新たに形作る事ですが、それが本当に実現可能と仰るのですか?」
沢崎は一旦息を吐き、こう切り出した。
「勿論、日本政府には内密です。ですから高沢さんに、ご連絡申し上げたのですよ」
どういうことだろう、不安で内面に不快な気持ちが込み上げてくる。なんだ、この感覚は!それが的中した時、日本政府への裏切りを予感した。
沢崎が言葉を続ける。「今、オーイックスは栄工業とタッグを組んでいます。そして日本政府の念願であった純国産戦闘機の完成にこぎ着けた。これは大いなる成功の盾です!」
この男から可成り危険な香りがしてくるのは、こちらを巻き込み反体制を築くつもりなのか。
それを見透かしたように、「反体制を行う事などは考えておりません。寧ろ後方支援をする立場です。先程もイランの革命防衛隊のような存在をこの国に建てようとしているのですから」
高沢にオーイックスと栄工業とのタッグで、軍需を敷こうとしているのか。その時、何が起きるのか。沢崎の真意が何処にあるのか探らねばなるまい。
「沢崎さん、もしかしてビック・フロートを利用する旨ではないでしょうね」
この言葉を待っていたかのように、沢崎は大きく反応した。
「流石高沢さんだ。私の内面を認識して頂けた。正にその通りです」
確かに近い将来、空母などの構想はあるが今どうにか出来る訳ではない。
ましてや高沢が生きている間に、それらが完成する事も考えられない。
単刀直入にそれらが無理な事を沢崎に伝え申したが、「いやいや、もう構想と資金はあるのですよ、高沢さん。あとは貴方次第です」
高沢の一存では決めかねる。
オーイックスの会議にて判断すると伝え、一旦切った。
これは、思いもがけない状況が出来た。しかしながら資金が調達出来たというのは、税金ではないのか。
ビック・フロート管理は純日本政府機関で、現在では高沢が確かにしゅだ。
資金調達は今までに開発した、Co2光合成発電機、Co2光合成エンジン、海水ミネラル浄化システムなど様々な核心的で一般家庭から重工業までに浸透している。
それらの資金廻りが非常に高く、海外でも順調だ。
しかし、日本政府の管轄である沢崎の機関では、資金を自由に扱う事はまかりならない筈。
どこからの資金調達なのか、不正に集積したものなら断じて許せるものではない。

五日後の午前十時、オーイックス緊急会議が開かれた。
まず、最初に取り上げたのが、政府機関、第二高等軍事委員会の件であり、軍需拡大と資金調達の有無についての定義である。
沢崎の件においては、外務担当機関所属、永井健一がその問いを務めた。
それは、日本政府、法務省のキャリアで同期だったという意外な接点があった事による。
沢崎はそれも見据えて連絡をしてきたのだろうか。
永井は沢崎の内務を極めて詳細に覚えていた。
「現在、政府機関、第二高等軍事委員会に所属する沢崎は、法務省時代に自衛軍における立ち位置に、更に強大な軍需を設ける旨を提案しました。一堂に会した所見で大多数が反対を表明。今に至ります」
それから数年後に永井はオーイックスに転身し、沢崎はその後も法務省に残ったそうだ。
十数年が経ち、現在に至るらしいが、その昔IR、つまり合法カジノの経営に法務省からのOKサインが出ていた。そして現在に至る。IR構想が絡んでいる?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...