黄昏の国家

旅里 茂

文字の大きさ
41 / 48
金のゆくへ

黄昏の国家41

しおりを挟む
オーイックス軍事確定委員会、理事、磯部圭太は少し考えてから、一言リュクスタに正した。
「リュクスタ。この話は誰か、第三者を置いての会話だったのでしょうか」
それはないと、リュクスタは答えた。
そもそもネットワークが広がっている世界で誰がおろうと、電子メモや記憶バイアスに登録されている。
高沢は裏があると思い磯部へ逆に問いた。
「磯部理事、これだけの情報網があるがその他にも対があると…」
少し考えこんでから磯部は喋りだした。
「仮にネットや電脳空間、電子メモ、記憶バイアス等、その他の物を全く関与する事が無いデバイス。これが存在していたとしたら…」
リュクスタは顎を撫でながら考えた。「!そうか!テープレコーダーか!」
充分あり得る話だ。これならネットワークやジャミングに掛からない。
それだけに改ざんする事も無いはずなので、決定的な証拠になりうる。
すれば、我がオーイックスは三十億で川崎の案に乗った事になるのか。
やはり川崎の方が一枚も二枚も上だったといういうとこか。
「スマン、私が気を付けなければいけない部分だった。三十億の代償は、私の給与から月々に引いて貰う事にしよう」
吉江がその意見に異論を唱えた。
「リュクスタ、今回の話はオーイックスそのものの重要な内容です。おひとりが抱え込む事はありません」
しかし、磯部がそれに反論する。「確かに一個人が背負う責任とは思いませんが、油断があったのも確かです」
「そこで先程、機密隊の尾本リーダーと話をしたのですが、多分、議員が順番にリュクスタと会う手立てを考えてくると思われます。その度にテープレコーダーを持ち出して、三十億の金銭を請求してくると、そのような内容です」
議員のドミノか。考えられる。
IRの件で虫のように纏(まと)わり付いてくるという訳か。
もし、彼らが言う様にそのような実態になった場合、機密隊に行動命令を出す可能性もある。
しかし、それではどこの組織が動いたか、一目瞭然だな。そう考えたが高沢の別件組織を立ち上げて、行動させることも可能である。
尾本リーダはある新興国の名前を出した。「タイド民主主義共和国というのが我が
オーイックスに親和的です」
リュクスタはその国の事に反応した。
「まさか、イリーガルを使うというのか」
尾本リーダは首を縦に振った。
『暗殺』この言葉が高沢の心を締め付ける。
第三国を使用して、しかも議員を闇に葬るのか。
これではテロ行為に手を染める事になるのではないか。
その事を定位して尾本と他伝えると、尾本は意外な事を言い出した。
「リュクスタ、現状、第三国を使い暗殺を目論んでも、その価値はあります」
リュクスタが言葉を挟そうもとしたが、それを遮るように「我がオーイックスは準日本政府の傍らです。恐れる事は無いと思います」
尾本の言葉に思わず、ハッとした。
向こうが攻めてきている事に、それを甘んじて受け入れる事は無い。その事を忘れていた。
眼には眼を、だ。卑劣な判断でオーイックスを貶める連中に何を遠慮するか。
同じ日本政府の末端に位置するオーイックスが、日本政府の腐敗しきった連中に弄ばれる状況なのだ。
「判った、尾本が言わんとする事は、良く判った」
尾本は瞼を一瞬閉じて、「では、準備に入ります」
高沢はスマンと一言をいって機密隊に、それらを任せる事とした。
ギーグまとめ役、秋かおりリーダーが意見を求めた。
「リュクスタ、こちらでは機密隊を援護する方法があります。ギーグ隊がネットワークから日本政府の根幹に侵入を心見ます」
「判った、逐一報告を頼む」
今回の会議では反対派が幾つか意見を述べたが、機密隊とギーグの行動に対して、納得までとはいかなくとも、それ以上の対策が無いのが現状で、さやを納めるに至った。

日本政府も慌ただしく動き出していた。
川崎が他の議員を通じて、オーイックスに額の金を引き出す、云わば”打出の小槌”扱いされている状況であった。
内田海斗外務大臣と佐名木達也国防大臣が「その話は本当かね」寄り添ってくるのは議員だけではない。
空自の市川修三参謀総長が「川崎副総理、それは我が隊、それにつけても多額の費用を必要とする我々にも特権が与えられる、ということですか」
川崎は勝ち誇った顔を歪め乍ら「その通りだよ、市川参謀総長」
瞬く間に衆院、参院、自衛軍の中に流れて行った。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...