23 / 53
嫉妬
しおりを挟む
休み時間に、廊下でキャー!という悲鳴があちこちで聞こえ始めた。そう、今日は久々に洋子が寝坊して、海斗の弁当を岳斗が持ってきたのだ。
「キャー!キャー!」
岳斗の教室も、すごい悲鳴。思わず耳に指を突っ込みたくなる岳斗。実際に突っ込んでいる男子もいた。教室に現れた海斗に、岳斗は弁当を持って近づいた。すると、栗田が走り寄って来た。
「岳斗、今日こそ紹介してくれよ!」
嬉しそうな顔をした栗田がいた。ここでか、と岳斗は心配した。海斗には早く去ってもらった方がいいと思うのだ。しかし、ここまで先延ばしにしていた岳斗も悪い。仕方がない。
「あー、海斗、こちら、友達の栗田。」
岳斗は弁当を手渡した後、そう言って栗田を指さした。海斗が栗田を見る。栗田は、
「こんにちはっす。栗田です。よろしくっす。」
と言って頭を下げた。面白い、と岳斗は思った。なるほど、女子や護のようガチなファンとは違う。そこへ、笠原と金子も駆けつけてきた。
「ちわっす、金子と言います。よろしくっす。」
金子も同じように頭を下げた。笠原は、
「海斗さん、ちわっす。俺たち岳斗のマブダチっす。」
と言った。海斗は三人を見渡し、ニコッと笑った。
「へえ、岳斗の友達か。よろしくな。」
海斗がそう言うと、三人はそろって、
「はい!」
と返事をした。そして海斗が教室を去ろうとした時、クラスの女子のほとんどがダーッと詰めかけてきた。
「私、岳斗君の友達の○○です!」
と、それぞれが叫ぶ。海斗も無視できないようで立ち止まったが、このままだともみくちゃになると思った岳斗は、
「あーちょっと、もうやめてくれ!頼むから、ここまで!」
岳斗は海斗と女子たちの間に入って両手を広げた。
「海斗、行って!」
岳斗が首だけ振り返ってそう言うと、海斗は岳斗の首に腕を回した。つまり、バックハグをしたのだ。片手には弁当を持っているが。
「サンキュ、またな。」
海斗は岳斗の耳に口を付けてそう囁くと、腕を放して去って行った。バックハグを見て一瞬静まり返った女子たちは、海斗が岳斗の耳に口を付けたところで、
「キャーーー!」
と、ひと際激しく悲鳴を上げた。岳斗は耳が真っ赤。
(あ、穴があったら入りたい。久々に。)
席に戻ると、栗田たちが岳斗を見てニヤニヤしていた。
「なんだよ。」
岳斗がふくれ面をして問うと、
「いやー、海斗さんかっこいいなあ。そして、お前は愛されてるなあ。」
笠原がそう言ってうんうんと頷いた。他の二人も笑っている。岳斗は何も言えなかった。愛されている、と言われて少し嬉しかったのだ。そんな事は、分かっていたはずなのに。
だが、やはり心穏やかではいられない岳斗だった。また、目撃してしまったのだ。前園と海斗が話しているところを。教室の移動をしている時に、体育館の入り口で二人が話しているのを見てしまった。大勢一緒にいたのではなく、二人で話していたのだ。
嫌だ、と岳斗は思った。こんな風に心が乱れるのは嫌だ。一体どうしたというのだろう。自分は何がそんなに嫌なのだろう。
それは……岳斗には薄々分かっていた。海斗に恋人ができるという事実が、嫌なのだ。どうしてだろうか、と岳斗は自問する。自分だって、かつて彼女を一瞬作った事があったし、ずっと思っていたではないか。海斗にも決まった人が出来れば、自分の恋愛も上手く行くのにと。海斗に彼女ができればいいのにと。それなのに、実際に出来たと思ったら……このどす黒い感情はなんだ。この胸の痛みは。
(海斗、嫌だよ。誰かに取られたくないよ。)
「キャー!キャー!」
岳斗の教室も、すごい悲鳴。思わず耳に指を突っ込みたくなる岳斗。実際に突っ込んでいる男子もいた。教室に現れた海斗に、岳斗は弁当を持って近づいた。すると、栗田が走り寄って来た。
「岳斗、今日こそ紹介してくれよ!」
嬉しそうな顔をした栗田がいた。ここでか、と岳斗は心配した。海斗には早く去ってもらった方がいいと思うのだ。しかし、ここまで先延ばしにしていた岳斗も悪い。仕方がない。
「あー、海斗、こちら、友達の栗田。」
岳斗は弁当を手渡した後、そう言って栗田を指さした。海斗が栗田を見る。栗田は、
「こんにちはっす。栗田です。よろしくっす。」
と言って頭を下げた。面白い、と岳斗は思った。なるほど、女子や護のようガチなファンとは違う。そこへ、笠原と金子も駆けつけてきた。
「ちわっす、金子と言います。よろしくっす。」
金子も同じように頭を下げた。笠原は、
「海斗さん、ちわっす。俺たち岳斗のマブダチっす。」
と言った。海斗は三人を見渡し、ニコッと笑った。
「へえ、岳斗の友達か。よろしくな。」
海斗がそう言うと、三人はそろって、
「はい!」
と返事をした。そして海斗が教室を去ろうとした時、クラスの女子のほとんどがダーッと詰めかけてきた。
「私、岳斗君の友達の○○です!」
と、それぞれが叫ぶ。海斗も無視できないようで立ち止まったが、このままだともみくちゃになると思った岳斗は、
「あーちょっと、もうやめてくれ!頼むから、ここまで!」
岳斗は海斗と女子たちの間に入って両手を広げた。
「海斗、行って!」
岳斗が首だけ振り返ってそう言うと、海斗は岳斗の首に腕を回した。つまり、バックハグをしたのだ。片手には弁当を持っているが。
「サンキュ、またな。」
海斗は岳斗の耳に口を付けてそう囁くと、腕を放して去って行った。バックハグを見て一瞬静まり返った女子たちは、海斗が岳斗の耳に口を付けたところで、
「キャーーー!」
と、ひと際激しく悲鳴を上げた。岳斗は耳が真っ赤。
(あ、穴があったら入りたい。久々に。)
席に戻ると、栗田たちが岳斗を見てニヤニヤしていた。
「なんだよ。」
岳斗がふくれ面をして問うと、
「いやー、海斗さんかっこいいなあ。そして、お前は愛されてるなあ。」
笠原がそう言ってうんうんと頷いた。他の二人も笑っている。岳斗は何も言えなかった。愛されている、と言われて少し嬉しかったのだ。そんな事は、分かっていたはずなのに。
だが、やはり心穏やかではいられない岳斗だった。また、目撃してしまったのだ。前園と海斗が話しているところを。教室の移動をしている時に、体育館の入り口で二人が話しているのを見てしまった。大勢一緒にいたのではなく、二人で話していたのだ。
嫌だ、と岳斗は思った。こんな風に心が乱れるのは嫌だ。一体どうしたというのだろう。自分は何がそんなに嫌なのだろう。
それは……岳斗には薄々分かっていた。海斗に恋人ができるという事実が、嫌なのだ。どうしてだろうか、と岳斗は自問する。自分だって、かつて彼女を一瞬作った事があったし、ずっと思っていたではないか。海斗にも決まった人が出来れば、自分の恋愛も上手く行くのにと。海斗に彼女ができればいいのにと。それなのに、実際に出来たと思ったら……このどす黒い感情はなんだ。この胸の痛みは。
(海斗、嫌だよ。誰かに取られたくないよ。)
176
あなたにおすすめの小説
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
僕の王子様
くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。
無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。
そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。
見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。
元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。
※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
真面目学級委員がファッティ男子を徹底管理した結果⁉
小池 月
BL
☆ファッティ高校生男子<酒井俊>×几帳面しっかり者高校男子<風見凛太朗>のダイエットBL☆
晴青高校二年五組の風見凛太朗は、初めて任された学級委員の仕事を責任を持ってこなすために日々頑張っている。
そんなある日、ホームルームで「若者のメタボ」を注意喚起するプリントが配られた。するとクラス内に「これって酒井の事じゃん」と嘲笑が起きる。
クラスで一番のメタボ男子(ファッティ男子)である酒井俊は気にした風でもないが、これがイジメに発展するのではないかと心配する凛太朗は、彼のダイエットを手伝う決意をする。だが、どうやら酒井が太っているのには事情がありーー。
高校生活の貴重なひと時の中に、自分を変える出会いがある。輝く高校青春BL☆
青春BLカップ参加作品です!ぜひお読みくださいませ(^^♪
お気に入り登録・感想・イイネ・投票(BETボタンをポチ)などの応援をいただけると大変嬉しいです。
9/7番外編完結しました☆
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる