マネージャー~お前を甲子園に連れて行ったら……野球部のエース♥マネージャー

夏目碧央

文字の大きさ
22 / 30

離れた方がいい

しおりを挟む
 -元気か?学校休みだろ?一日ぐらい遊ぼうぜ-
幼なじみの和宏からLINEが入った。甲子園を目指していても、学校によって温度差はある。和宏は、本気で甲子園に行こうとは思っていない口だ。
-あ、でもお前は部活あるよな?-
和宏から、そう付け足しがあったので、
-もう部活に出ないから、大丈夫だよ-
僕はそう送った。
 だが、約束する前に、和宏はうちにやってきた。午前中である。
「お前、部活出ないってどういうことだ?マネージャー辞めたのか?」
和宏は慌てて来たという感じだった。
「辞めたわけでもないけど。でも、どうせもうすぐ引退だしな。」
「何か、あったのか?」
「え?いや、まあ・・・。」
僕は、和宏の直視に耐えられず目を反らした。
「話せよ。話すと楽になるぞ。」
そう言われて、当たり障りのない程度に話そうとした。
「僕のせいで、選手が怪我をしたんだよ。」
遼悠が怪我をした話をすると、
「それが、なんで瀬那のせいになるんだよ?」
当然そう聞かれる。
「だって、僕がぼーっとしてたからだし。」
「いや、それでも戸田が自主的にボールを取りに行ったんだからさ。」
「まあ、そうだけど。」
「お前が気にする事ないじゃん。それに、もし気になるんだったら、これからもあいつや、部員のために働く方が、むしろ償いになって、お前の気持ちだってすっきりするだろ。」
「いや、まあ、そうなんだけど・・・。でも僕がいるとまた同じ事が起こるかもしれないし。」
「そんなことないだろ。いや、しかしわかんねーな。どうして瀬那が部活を休む事になるんだ?」
堂々巡りになりそうだった。大事な事を話さずに、上手く説明できそうもない。はぐらかそうとしても、和宏はなかなか諦めてくれなかった。それで、結局僕は全てを話したのだった。遼悠が僕をかばうのは、ただの友情ではないからで、僕が野球部にいたら邪魔になるのだという事を。
「やっぱりそうか。お前ら、付き合ってたんだ。」
やっと合点がいったという風に、和宏が言った。
「やっぱりって?もしかして気づいてたの?」
「だってさ、この間会った時、完全に怪しかったもんな。」
あー、そうだった。キスしたところを見られたんだった。傘で顔は隠されていても、やっぱり怪しかったかぁ。
 僕が赤面していると、和宏は咳払いをした。
「まあ、それはさておきだ。これからどうするんだ?本当にこのまま野球部放っておいていいのか?」
「だって、僕がいたら、遼悠がまた無茶するし。それに、僕がいてもいなくても、野球部には何も関係ないよ。他にもマネージャーいるし。」
「そうかねえ。」
 僕らは、その話はそこで切り上げ、一緒に昼飯を買いに行く事にした。お互い家に家族はおらず、昼飯は用意されていなかった。二人でコンビニに向かって歩いていると、制服の高校生が足早に近づいてきた。坊主頭。あっ、僕は目を疑った。それは、戸田遼悠、その人だったのだ。
「りょ、遼悠?どうしてここにいるの?」
僕が声を掛けると、
「こっちが聞きたいね。お前は、どうしてここにいるんだ?なぜ部活に出てこないんだよ?俺のLINEにも返事しないし。」
完全に怒っている。そりゃそうだ。付き合っているはずなのに、LINEを無視し、勝手に部活を休んでいるのだから。
「ごめん。」
僕はそう言うしかなかった。
「まあ、こいつもいろいろ考えての事だし。」
和宏がそう言って僕を援護すると、遼悠はキッと和宏をにらんだ。
「あ、すんません。」
和宏は、それで黙ってしまった。
「とにかく、来い!」
遼悠は怪我していない方、左手で僕の腕をつかんだ。
「やだ、行かない!」
僕は和宏の後ろに隠れ、和宏の胴に片手でしがみついた。
「こら、俺の言うことを聞け!」
「やだよ!もう賭けは終わりなんだから!僕はもう、お前のモノじゃないんだから!」
僕が必死にそう叫ぶと、遼悠はパッと手を離した。
「そう、か。そうだな。もう賭けは終わりだな。」
遼悠はそう言うと、また元来た方へ帰って行った。僕は胸が苦しかった。遼悠には悪いと思っている。けれども、この方がいいんだ。僕は野球部からも、遼悠からも離れた方がいいんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

真面目学級委員がファッティ男子を徹底管理した結果⁉

小池 月
BL
☆ファッティ高校生男子<酒井俊>×几帳面しっかり者高校男子<風見凛太朗>のダイエットBL☆  晴青高校二年五組の風見凛太朗は、初めて任された学級委員の仕事を責任を持ってこなすために日々頑張っている。  そんなある日、ホームルームで「若者のメタボ」を注意喚起するプリントが配られた。するとクラス内に「これって酒井の事じゃん」と嘲笑が起きる。  クラスで一番のメタボ男子(ファッティ男子)である酒井俊は気にした風でもないが、これがイジメに発展するのではないかと心配する凛太朗は、彼のダイエットを手伝う決意をする。だが、どうやら酒井が太っているのには事情がありーー。 高校生活の貴重なひと時の中に、自分を変える出会いがある。輝く高校青春BL☆ 青春BLカップ参加作品です!ぜひお読みくださいませ(^^♪ お気に入り登録・感想・イイネ・投票(BETボタンをポチ)などの応援をいただけると大変嬉しいです。 9/7番外編完結しました☆  

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

高塚くんと森くん

うりぼう
BL
顔だけが取り柄の高塚くん。 ごくごく普通の高校生の森くん。 「好きなんだ、オレと付き合って」 「え、嫌だ」 そこから始まる二人のお話。 基本一話完結。 本編完結済み 随時小話更新予定です。 ※BL ※受け大好き ※攻め半分変態 ※R15というほどR15表現はありません

全寮制男子高校 短編集

天気
BL
全寮制男子高校 御影学園を舞台に BL短編小説を書いていきます! ストーリー重視のたまにシリアスありです。 苦手な方は避けてお読みください! 書きたい色んな設定にチャレンジしていきます!

天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら

たけむら
BL
美形で天才肌の幼馴染✕ちょっと鈍感な高校生 海野想は、保育園の頃からの幼馴染である、朝川唯斗と同じ高校に進学した。かつて天使のような可愛さを持っていた唯斗は、立派な美形へと変貌し、今は絵の勉強を進めている。 そんなある日、数学の補習を終えた想が唯斗を美術室へと迎えに行くと、唯斗はひどく驚いた顔をしていて…? ※1話から4話までは別タイトルでpixivに掲載しております。続きも書きたくなったので、ゆっくりではありますが更新していきますね。 ※第4話の冒頭が消えておりましたので直しました。

処理中です...