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初恋
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しおりを挟む「だる……」
高校生になって1週間
初めての生徒指導。
塾でも中学でも頭悪いほうだったのに、何故か親が推薦書出して進学校に入れられちまった。
(…評定も低かったから、入学後の学力試験は最下位だったし……)
本当は隣町のヤンキー校に行きたかったなー……
なんて、そんな想いが日に日に膨らみ俺は金髪デビューしてみたってわけ。
「ふーくん、反省文書けた?」
生徒指導室で何故か俺の隣に座っている雄斗。
こいつは馬鹿みたいにしっかり制服着て、成績もトップなんだから早く帰れよ。
「先帰れよ。俺、文章書くの苦手だからまだ時間掛かるよ。」
「大丈夫、俺も一緒に残るよ。」って変なこと言いやがって。
あーイライラする。
こういう時は1人で居たいし、人前で反省文書くの……恥ずかしいだろうが。
ガラッ………”
教室の扉が開く。
「センコー来たか?おっせーよ……」
「センコーだって?お前は昭和のヤンキーかよ。」
ヤレヤレと大きいため息を吐くセンコー。
「梶原の隣にいる……廣瀬だっけか?帰れって保護者から連絡きたぞ。」
「………あー……」
何かを思い出したような顔をする雄斗。
ラッキー
「帰れよ。俺は大丈夫だし、毎日毎日お前と一緒に帰りたくねぇよ。」
俺がそう言うと雄斗は「危険な人がいたらすぐ逃げるんだよ。」って気持ち悪いことを言う。
「子供扱いすんなよ、まじだるい。」
いつも通り、わざと雄斗にキツめの言葉を使う。
雄斗は何故か安心した顔をして部屋を出た。
「センコー、おれ文章書けないー。」
「お前なぁ……、ったく。今週中までに黒染めして来い。しなかったら今日の倍以上の反省文だからな。」
「っ!ありがとうございます!先生っ!」
「は?」
(ヤベッ……!)
高校生デビューしてヤンキーになろうと思ってたのに、ついボロが出たッ!!
「んなわけねーよ、センコーが!!」
ガラッ"ッと強く扉を閉める
んで、走る。
いっつも雄斗と一緒に帰ってたから高校初めてのボッチ下校だ!!と、俺は喜んだ。
だが、その喜びは180度別の感情に変わる。
「こら。廊下は走らないで下さい。」
「………あ?」
また怒られるのかよ、と内心呆れる。
女の面を見てみると結構な美人じゃん。
こんな美人に説教されるとか、ダル。
「さっき清掃員の人が床を拭いていたから滑ると危ないよ。」
「………は?」
「……私、何かおかしなこと言った?」
「いや………怒るのかと思った…」
「怒らないよ。君、梶原くんだよね?2年生の間で有名だよ。”イケメンヤンキー” って。」
イケメンヤンキー?
俺が?
イケメン………
「……私ね、その髪色明るくて好きだな。」
切なそうな顔を俺に向ける女。
2年生の間で有名ってことは……先輩か?
「……先輩は…なんでこんな遅くまで残ってるんですか?」
「うーん、ちょっとね。……家に帰りたくなくて。」
「……俺も、帰りたくないな。」
どうせ家に帰ったら髪のことで怒られる。
あのクソババァまじでうるさい。
「私と、一緒だね。」
先輩は切なげな笑顔を俺に向ける
その柔らかい笑顔に、俺は吊られて頬が緩んだ。
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