88 / 132
初恋
5
しおりを挟む「俺、百合先輩のこと好きなんだよね…。あの2人がそういう仲なら、諦めるしかねぇよな。」
意外にもサッパリした気持ち
中学では雄斗が近くにいたせいでまともに恋愛をしていない。
高校ではその反面、グレて雄斗から逃れようと思ったけど中々上手くいかない。
その度に先生やクラスの奴に冷たく呆れられる日々。
百合先輩は違った。
優しく笑ってくれる。
初めて出会った時も、廊下を走ったことの注意じゃなくて俺に対する安全の注意。
優しく笑って、普段は静かなのに少し天然味があって、
「優しく笑って、物静かでかわいいじゃん。」
つい声が出てしまった。
雄斗は俺が百合先輩を好きという回答にまだ返事してないというのに
「……で…おれ、………やくそくしたじゃん」
「……雄斗、?」
おかしい
何かがおかしい
百合先輩と聖弥先輩はあの状態から動かない
雄斗は……何か考え事をしているように頭を抱えている。
「…大丈夫か?」
俺がそう近づくと
雄斗の顔は真っ青でまるで何かに絶望したような……
(…この表情も初めて見た……)
「…………帰る。」
「はっ?ゆうとっ、?!」
いきなり雄斗はそう言い、止める暇もないほど走って教室を出た。
その瞬間、聖弥先輩はこちらを振り向き同時に何か急いで教室を出て行った。
「…………梶原くん?」
「百合先輩……」
ゆうと、雄斗を追わないと……
あんな切羽詰まった顔はやばい
何で?
……俺が、百合先輩を好きだと言ったから?
「梶原くん!大丈夫?!汗が……」
「え……?」
何故か、俺までも大量の汗をかいている
震えが止まらない
“ 嫌われたくない ”
“ 好きじゃ足りない ”
“ 早く追わないと ”
(………っ???)
頭の中で、誰かの声がする
やめろ
やめてくれ……
「梶原くん!!!!」
「……っ?!!」
百合先輩からは想像できないほど、大きい声が教室中に響いて少し驚く
「座って。落ち着こう。」
そう言って百合先輩は椅子を出し、俺は腰をかける。
「どうかしたの?廣瀬くんも……いなくなったし」
「…… 聖弥先輩とは…どんな関係なんですか?」
「……聖弥……?」
百合先輩が話している途中に俺は聞いてしまった。
本当は失礼極まりないけど……まずは2人の関係を聞きたい。
………心のモヤモヤが取れない。
「聖弥とは……ただの同級生だけど…、もしかして聖弥にバックハグされてたの見てた?」
「あっ……はい……。」
百合先輩は困ったような顔を浮かべる
「私もねびっくりした。いきなり抱きしめてきたんだもん。」
………いきなり、?
じゃあ、あの時の……教室に入る前の気まずい雰囲気は……?
「聖弥先輩と……百合先輩って……何か関係ありましたか?」
「………半年前くらいに告白されたことかな。断った後に聖弥さ、しばらく学校に来なかったんだよね。」
(告白………?)
確かに百合先輩は綺麗だ。
告白されてもおかしくない。
だけど、雄斗が教室を出た途端に、なんで聖弥先輩も出て行ったんだ………?
雄斗が、何か企んでいた………?
「………私、聖弥を探しに行ってくる。」
「え?」
「私のせいで……聖弥は学校にしばらく来なかったと思うの……私が、行かないと。」
………………………
「聖弥先輩は、大丈夫だと思います。雄斗と一緒に多分いますよ。」
「けど……」
「大丈夫っすよ。」
「……………」
大丈夫かなんて分かない。
ただ、百合先輩を行かせたら…聖弥先輩と本当に付き合いそうで……嫌だ。
「…百合先輩、作業の続きしましょ。」
「………………」
「行かせたくないんです。」
「…………え?」
10
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件
ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。
せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。
クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom ×
(自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。
『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。
(全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390
サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。
同人誌版と同じ表紙に差し替えました。
表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる