ゲーム配信は楽しくないと! 〜毎日配信で有名配信者になります〜

九月生

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生配信13 決戦1時間前

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 現在、時刻は正午ぴったり。

 昼配信まであと1時間。だが、その前に、

「自己紹介しろ」

 今、聡太さんの配信にお邪魔させてもらっている。

「どうも、13時から昼配信をします。滝です」

 今日は、聡太さんの配信の頭からお邪魔させてもらっている。

 なぜ、この時間に配信せず、人の配信にお邪魔しているのかというと、

「いや~、あと1時間でダメージ勝負すね」

 俺の配信始まりが合図でダメージ勝負が開始されるからである。

 これは、俺の配信時間が13時であり、ダメージ勝負も13時始まりだから、俺の配信の通知を合図にしようと、向こうのチームと話し合い、決めた決め事。

「じゃあ、まずはあれだな。訓練所行くか」

「そうですね」

 エーペックスには訓練所という場所があり、エイム合わせや武器、キャラの確認なんかができる場所がある。

 まずは、そこでエイム合わせをするつもりだ。

「それにしても、サキサキさんのチームの助っ人って誰なんだろうな? 滝は知ってんの?」

 訓練所に入り、武器を選んでいると聡太さんが聞いてくる。

「いや、俺も知らないです。結構気になりますよね」

 俺も気になり、何度か絵茶さんに助っ人は誰か聞いてみたもの、絵茶さんは断固として言わなかった。

「そうだな、気になるな」

 そうなんですよ。気になるんですね、だって、

「だって、あの2人なら余裕で勝てる」
「だって、あの2人なら余裕で勝てますからね」

 聡太さんは絵茶さんと今回が初絡みらしく、絵茶さんのFPSゲームの動画を全て見たらしい。

 全て見て、この感想。

 俺たちに挑んでくるあたり、凄い助っ人を呼んだに違いない。と、俺たちは読んでいる。

「助っ人に関しては、サキサキさんの配信か絵茶さんの配信が始まれば分かりますよ」

「そうなんだけどな」

 会話はここで終わり、お互いに使う武器を決め、エイム合わせで、訓練所にある的に銃弾を当てていく。

 ちなみに俺と聡太さんの武器構成はほぼ同じ。スナイパーとショットガン。

「滝はトリテ使うの?」

「はい、これが1番性に合うっていうか」

 トリプルテイクという武器は、引き金を引くと1度に3発同時に出てくる銃。

「ちなみに聡太さんは?」

「俺はチャージライフルかな。弾が垂れる心配ないし」

 今、聡太さんが撃っているチャージライフルは、簡単に言ってしまえば、レーザーガン。当たればダメージが入るスナイパーではなく、当て続けないとダメージが出ない銃だった気がする。

 お互いスナイパーでダメージを稼ぐ作戦だ。

 弾を使い切るまで撃ち続け、無くなったら拾いを繰り返し繰り返し行う。

 狙うのは的だけでなく、俺が遠くを走ってそれを聡太さんが撃ったり、その逆をしたりする。

「大分、いい感じなんじゃないか?」

「そうですね、偏差撃ちも慣れてきましたね」

 このエイム合わせに30分かけ、自分たちのエイム力をいい状態まで持っていく。

「この後」

 カジュアルマッチを回しませんか、俺はそう言おうとしたのだが、

 ピコン! ピコン!

 スマホに2件通知がくる。

 通知が来たのは俺だけでなく、通話アプリ越しの聡太さんのスマホからも聞こえてきた。

 通知の内容は、

『今、サキサキチャンネルがライブ配信を始めました』
『今、絵茶チャンネルがライブ配信を始めました』

 というもの。

「あっ、始まりましたね」

「そうだな」

「………」

「………」

「………助っ人気になりません?」

「………気になるな」

「「………」」

 俺は通知から、サキサキさんの配信に飛ぶ。

 もちろん、聡太さんも配信に飛んだらしく、同じ音声が通話アプリ内に流れる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はい、皆さん! 今日一日、私の配信を見て楽しんでいってください。サキサキチャンネルのサキサキです。よろ・しく・ね」

 サキサキさんのいつもの挨拶。いつも通り、代わりのない挨拶に対して絵茶さんは、

「やり直し」

 この一言。

「え?」

 突然のやり直しコールに間の抜けた声が出る。

「え、じゃなくて。猫語尾付けて喋らないといけないから、付けた状態で自己紹介。さあ、さあ」

 確かに今日勝てば猫語尾なしという約束だった。それをちゃんと守ってくれる絵茶さん。

 それに対して、サキサキさんのリスナーさん達は、

『猫語尾』
『にゃあ、と鳴くんだ!』
『やり直し草』
『やり直しを要求する』

 欲に忠実な素敵な人たちだった。

 そんな中、どうしてもやりたくないサキサキさんは、絵茶さんに言う。

「そ、そしたらえっちゃんもやるんだよ! いいの? 恥ずかしくないの?」

「別に」

 即答する絵茶さん。

 そして、

「じゃあ先にやるから、やったら猫語尾でやるんだよ? いいね、サキちゃん」

「………え、待っ」

「は~い、どうも絵茶ですにゃあ」

 サキサキさんの言葉を遮り、絵茶さんは短い挨拶を終える。

「そ、それで終わり! ずるいよ、ずるっ子だよ!」

「いつも通り」

 確かに絵茶さんの始まりの挨拶は、サキサキさんの挨拶よりかなり短い。

 一瞬だもんな。

 サキサキさんは諦めずに駄々をこねるが、絵茶さんの「私はやったよ」の一言で、黙りだし、自己紹介を始める。

「………はい、みにゃさん。今日一日、私の配信を見て楽しんでいってくださいにゃ。サキサキチャンネルのサキサキですにゃあ。よろ・しく・にゃあ」

 サキサキさんの自己紹介が終わり、コメントが荒れる。

『にゃあ!』
『可愛い』
『猫語尾ずっと付けて、毎日配信してほしい』
『かわい』

「は? 毎日猫語尾でやってほしい? 絶対嫌だ!」

「んんん? 嫌だ?」

「………嫌にゃ」

 いやぁ、絵茶さんがいたら、素直に猫語尾やるんだな。俺らの時とは大違いだ。

 さて、本題はここから。2人の自己紹介が終わったということは、次は助っ人の自己紹介だ。

「じゃあ、今日一緒にダメージ勝負を手伝ってくれる助っ人さんを呼ぶにゃ」

「………よぶにゃ」

 絵茶さんが助っ人の人を呼び出す。

「どうも、はじめまして! ゼロス&ワンスのワンスです!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふぁあああああああああああああああく」

 思わず口から出てしまった言葉。
 
 突然の叫びに聡太さんが、「うるさい!」と文句を言ってくる。

 文句言ってくる相手違うでしょ! 絵茶さんにそれを言ってください!

「聡太さん、絵茶さんに文句言ってきてください!」

「はぁ? なんで? なに、あのワンスっていう人、そんなに強いの?」

 はぁ、何この人? ワンスさんを知らないとか。

「あの人1人で4000ダメージ出しますよ」

「よしゃ、文句言ってくるわ!」

 この前、配信見たとき、普通に3000後半叩き出してたからね、あの人。

 ワンスさん連れてくるのはずるいよ、ずるっ子だよ。文句ものだよ、早く文句言ってきて、聡太さん。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「んんん、聡太にゃんがコメントしにきてるにゃ。にゃににゃに、『ワンスさんはずるいぞ! この卑怯者』
………何を言ってるか分からにゃいにゃあ~。コネも強さのうちにゃあ。雑魚は雑魚らしく震えてな。にゃはははははははははははは!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 カチン。

 言ってくれたな、絵茶さんの野郎。

「やってやろうじゃねぇか!」

「恥かいてもしらねぇからな、あの猫娘!」

 絵茶さんの言葉は、俺らのヤル気を爆発的に上げてくれた。

 ぜってぇ、恥かかせてやる。

 あと5分で、ダメージ勝負が始まる。
 
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