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152 ◇家事力神レベルの恋人
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「昼飯は、どっか食べに行く?」
スコーンを一口食べたら、お腹が空いたらしい。味見のおかわりをもらえなかった安倍が、もう昼食の話をし始めた。昼には少し早い。
「お菓子は、これで完成? 終わり?」
「あ、うん。スコーンは終わり、なんだけど」
晃の言葉に、一太と岸田は顔を見合わせた。
「えーと。もう一つ、作りたいものがあって」
「剛くんには甘いかもだけど、チョコレートケーキも焼きたくて」
「あ、でも、そんなに甘過ぎないと思うんだけど。その、陽子さんに聞いた、スポンジにも生クリームにも純ココアを入れるチョコレートケーキを、一回作ってみたくて」
ね? と二人で頷き合う姿が可愛い。
「じゃ、何か買ってこようか? 昼飯」
「あ、それ、なんだけど。その」
あくまでも昼ご飯の心配をする安倍に、一太はもじもじと声を上げた。
「カレー、を作っておいたんだけど、食べる?」
「食べる! まじ? 村瀬の手作り? やった。家のカレー!」
「あ、あ、味は分かんないんだけど。その、普通の。ルウの箱に書いてある作り方の通りに作った、普通のカレー、だよ?」
「おお。普通のカレー。最高じゃん」
昨日の夜に一太が作っていたカレーは今夜の分じゃ無かったのか、と晃は昨夜のことを思い出す。
昨日は学校の後、二人とも夜のバイトだったので、惣菜で夜ご飯を済ませた。結構遅い時間だった。けれど一太は、ちょっとカレー作っておく、とその時間から料理を始めたのだ。明日は友達を招いてキッチンを使うから、夕食の準備をしておくのかな、と晃は思っていた。
「外に食べに行ってもいいし、無理はしなくていいよ」
と、晃は言ったのだが、
「カレーだから。明日食べなくても何日か持つし」
と、一太が作業を始めたので、強くは止めなかった。
冷蔵庫から、家で一番大きな鍋が出てくる。たっぷり作られたカレーは、いつもの二人分の倍量だ。よく見ると、炊飯器のタイマーもセットされていて、米も、昼に炊き上がるようになっていた。
「村瀬くん、まじ、家事力神レベル」
「へ?」
岸田が、目をきらきらさせて一太を見ている。
「ご飯もお菓子も作れて掃除も得意とか、一家に一人欲しい」
「駄目だよ」
晃は、慌てて一太を抱え込む。冗談と分かっていても、言わずにはいられなかった。
「いっちゃんは、僕の」
「あー、はいはい」
「あー、はいはい」
「あの、俺、別に普通……」
晃の発言をつらっと聞き流す安倍と岸田に、晃に抱きつかれたままの一太がぼそっと言った。
「いや。村瀬はすげー」
「村瀬くんはすごいよ!」
仲の良い友達カップルの声が重なる。
「え? え? でも、お菓子なんて、俺、まだ、そんなに作ったことない……」
「それで、このクオリティ? まじで、凄い!」
「あ、えーと、う、うん……。ありがと……」
おお。いっちゃんが頷いた?
「じゃ、昼は村瀬くんのカレーとして、ご飯待ち?」
岸田が、次の行動の確認にかかる。
「あ、うん。炊けるまであと三十分はかかるから、その間にスポンジをオーブンに入れられるように、作業しちゃっていい?」
「やろう、やろう」
「安倍くん。ご飯、もう少しだけ待ってて」
「おう、待つ待つ。ほら、松島、邪魔すんな」
安倍が、一太から離れない晃をぐい、と引っ張った。味見チームは退散だ。
晃は、一太はやっぱり誰が見ても凄い、と誇らしい気分になった。
クリスマスに晃がプレゼントした電動の泡立て器を箱から取り出して岸田に見せている様子を、ベッド横から見守る。岸田に、すごい、いいね、と言われて嬉しそうに笑っている。プレゼントは大成功だったみたいだ。
今度は何を贈ろうか。
そんなことを考えるのも楽しかった。
スコーンを一口食べたら、お腹が空いたらしい。味見のおかわりをもらえなかった安倍が、もう昼食の話をし始めた。昼には少し早い。
「お菓子は、これで完成? 終わり?」
「あ、うん。スコーンは終わり、なんだけど」
晃の言葉に、一太と岸田は顔を見合わせた。
「えーと。もう一つ、作りたいものがあって」
「剛くんには甘いかもだけど、チョコレートケーキも焼きたくて」
「あ、でも、そんなに甘過ぎないと思うんだけど。その、陽子さんに聞いた、スポンジにも生クリームにも純ココアを入れるチョコレートケーキを、一回作ってみたくて」
ね? と二人で頷き合う姿が可愛い。
「じゃ、何か買ってこようか? 昼飯」
「あ、それ、なんだけど。その」
あくまでも昼ご飯の心配をする安倍に、一太はもじもじと声を上げた。
「カレー、を作っておいたんだけど、食べる?」
「食べる! まじ? 村瀬の手作り? やった。家のカレー!」
「あ、あ、味は分かんないんだけど。その、普通の。ルウの箱に書いてある作り方の通りに作った、普通のカレー、だよ?」
「おお。普通のカレー。最高じゃん」
昨日の夜に一太が作っていたカレーは今夜の分じゃ無かったのか、と晃は昨夜のことを思い出す。
昨日は学校の後、二人とも夜のバイトだったので、惣菜で夜ご飯を済ませた。結構遅い時間だった。けれど一太は、ちょっとカレー作っておく、とその時間から料理を始めたのだ。明日は友達を招いてキッチンを使うから、夕食の準備をしておくのかな、と晃は思っていた。
「外に食べに行ってもいいし、無理はしなくていいよ」
と、晃は言ったのだが、
「カレーだから。明日食べなくても何日か持つし」
と、一太が作業を始めたので、強くは止めなかった。
冷蔵庫から、家で一番大きな鍋が出てくる。たっぷり作られたカレーは、いつもの二人分の倍量だ。よく見ると、炊飯器のタイマーもセットされていて、米も、昼に炊き上がるようになっていた。
「村瀬くん、まじ、家事力神レベル」
「へ?」
岸田が、目をきらきらさせて一太を見ている。
「ご飯もお菓子も作れて掃除も得意とか、一家に一人欲しい」
「駄目だよ」
晃は、慌てて一太を抱え込む。冗談と分かっていても、言わずにはいられなかった。
「いっちゃんは、僕の」
「あー、はいはい」
「あー、はいはい」
「あの、俺、別に普通……」
晃の発言をつらっと聞き流す安倍と岸田に、晃に抱きつかれたままの一太がぼそっと言った。
「いや。村瀬はすげー」
「村瀬くんはすごいよ!」
仲の良い友達カップルの声が重なる。
「え? え? でも、お菓子なんて、俺、まだ、そんなに作ったことない……」
「それで、このクオリティ? まじで、凄い!」
「あ、えーと、う、うん……。ありがと……」
おお。いっちゃんが頷いた?
「じゃ、昼は村瀬くんのカレーとして、ご飯待ち?」
岸田が、次の行動の確認にかかる。
「あ、うん。炊けるまであと三十分はかかるから、その間にスポンジをオーブンに入れられるように、作業しちゃっていい?」
「やろう、やろう」
「安倍くん。ご飯、もう少しだけ待ってて」
「おう、待つ待つ。ほら、松島、邪魔すんな」
安倍が、一太から離れない晃をぐい、と引っ張った。味見チームは退散だ。
晃は、一太はやっぱり誰が見ても凄い、と誇らしい気分になった。
クリスマスに晃がプレゼントした電動の泡立て器を箱から取り出して岸田に見せている様子を、ベッド横から見守る。岸田に、すごい、いいね、と言われて嬉しそうに笑っている。プレゼントは大成功だったみたいだ。
今度は何を贈ろうか。
そんなことを考えるのも楽しかった。
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