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第五章 それは日々の話
208 またのお越しをお待ちしています 成人
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朱実殿下は行列の後ろに並んでいる。よく見ると、護衛の力丸もその後ろに並んでいた。弥壌は朱実殿下の横にいるから、力丸はきっとたこ焼きを食べるつもりなんだろう。何回も食べてるんだから、食べたことない弥壌にあげたらいいのに。
「ところで、仕事中じゃないの?」
買ったら、少し横に避けて食べていく人たちに、だいぶ前の方に進んできた朱実殿下が言った。
「休憩時間でございます」
「そう。ご苦労様」
「もったいないお言葉です」
城の使用人服の女の人たちは上品に礼を取っているけれど、警備服の男の人たちは、黙って少し離れてたこ焼きを食べている。
「朱実。警備隊の職務規定に、買い食い禁止の項目は無かったからな」
「そりゃ無いだろう……」
「じゃあ、問題ない」
「全く、お前は……。職務規定を見直しておくよ」
「はあ?それじゃ商売にならんだろう」
「城内で商売するな」
ぽつぽつと後から来た人が、朱実殿下の姿を見て遠巻きに様子を伺っているので、行列は力丸でおしまいになった。
「今日はここまで」
「ふええ、疲れた」
広末が言って、村次が大きく息を吐く。水瀬と鼓与が素早く片付けを手伝い始めて、俺は一人でお店屋さんをする。
「百円です」
「本当に、私からもお金を取るんだねえ」
もちろん。
俺は、うんうんと頷いた。
朱実殿下は振り返って、力丸に手を出した。
「百円貸しておくれ」
「何で持ってないんですか」
「私は基本、お金は持ち歩いていないよ」
「たこ焼きを売ってやるって言って緋色殿下が呼びに来てくれたんだから、財布をひっつかんで飛び出してくる場面でしょう?」
「本当にお金を取られるとは思ってなかったんだよ」
はあ、と溜め息を吐いた力丸が朱実殿下に百円を渡す。前に向き直り、それをそのまま俺に渡した朱実殿下は、にっこりとした顔になった。
「今日はずいぶん冷えているが、成人は外で遊んでいて大丈夫なのかい?」
遊んでない。俺は仕事中。
何だか嫌な気持ちになったので、それには答えず仕事をしっかりすることにした。
「百円頂きました。こちら、商品です」
「……ああ。ありがとう」
少し目を見開いた朱実殿下が、たこ焼きを受け取って横に避ける。弥壌も付いていったので、にこにこしてる力丸に、二百円です、と言った。
「は?百円だろ」
「弥壌のも」
「あ、え?いや、俺は」
「弥壌も味見」
「むー」
少し考えた力丸が二百円出したので、二つ渡す。
「美味しいから、食べてね」
「金払ったの俺なのに、弥壌さんに笑いかけるとかどういうこと?」
「力丸もありがと」
お店屋さんは、笑顔が大事。
「はいよ」
ほらね、力丸の機嫌がなおった。
「あち。うまっ」
では、頂きます、と受け取った弥壌が、早速口に入れて言った。そういうとこ、力丸に似てる。顔も似てるもんね。何だっけ?従兄だっけ?家族だから似てるんだよね。
朱実殿下は、慎重に半分に割って、少し時間を置いてから口に入れた。
家族なのに、緋色とちっとも似ていないなあ。
「へえ。美味しいものだね」
それなら良かった。
また、お店屋さんが開店したら、買いに来てください。
「ところで、仕事中じゃないの?」
買ったら、少し横に避けて食べていく人たちに、だいぶ前の方に進んできた朱実殿下が言った。
「休憩時間でございます」
「そう。ご苦労様」
「もったいないお言葉です」
城の使用人服の女の人たちは上品に礼を取っているけれど、警備服の男の人たちは、黙って少し離れてたこ焼きを食べている。
「朱実。警備隊の職務規定に、買い食い禁止の項目は無かったからな」
「そりゃ無いだろう……」
「じゃあ、問題ない」
「全く、お前は……。職務規定を見直しておくよ」
「はあ?それじゃ商売にならんだろう」
「城内で商売するな」
ぽつぽつと後から来た人が、朱実殿下の姿を見て遠巻きに様子を伺っているので、行列は力丸でおしまいになった。
「今日はここまで」
「ふええ、疲れた」
広末が言って、村次が大きく息を吐く。水瀬と鼓与が素早く片付けを手伝い始めて、俺は一人でお店屋さんをする。
「百円です」
「本当に、私からもお金を取るんだねえ」
もちろん。
俺は、うんうんと頷いた。
朱実殿下は振り返って、力丸に手を出した。
「百円貸しておくれ」
「何で持ってないんですか」
「私は基本、お金は持ち歩いていないよ」
「たこ焼きを売ってやるって言って緋色殿下が呼びに来てくれたんだから、財布をひっつかんで飛び出してくる場面でしょう?」
「本当にお金を取られるとは思ってなかったんだよ」
はあ、と溜め息を吐いた力丸が朱実殿下に百円を渡す。前に向き直り、それをそのまま俺に渡した朱実殿下は、にっこりとした顔になった。
「今日はずいぶん冷えているが、成人は外で遊んでいて大丈夫なのかい?」
遊んでない。俺は仕事中。
何だか嫌な気持ちになったので、それには答えず仕事をしっかりすることにした。
「百円頂きました。こちら、商品です」
「……ああ。ありがとう」
少し目を見開いた朱実殿下が、たこ焼きを受け取って横に避ける。弥壌も付いていったので、にこにこしてる力丸に、二百円です、と言った。
「は?百円だろ」
「弥壌のも」
「あ、え?いや、俺は」
「弥壌も味見」
「むー」
少し考えた力丸が二百円出したので、二つ渡す。
「美味しいから、食べてね」
「金払ったの俺なのに、弥壌さんに笑いかけるとかどういうこと?」
「力丸もありがと」
お店屋さんは、笑顔が大事。
「はいよ」
ほらね、力丸の機嫌がなおった。
「あち。うまっ」
では、頂きます、と受け取った弥壌が、早速口に入れて言った。そういうとこ、力丸に似てる。顔も似てるもんね。何だっけ?従兄だっけ?家族だから似てるんだよね。
朱実殿下は、慎重に半分に割って、少し時間を置いてから口に入れた。
家族なのに、緋色とちっとも似ていないなあ。
「へえ。美味しいものだね」
それなら良かった。
また、お店屋さんが開店したら、買いに来てください。
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