変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!

utsugi

文字の大きさ
29 / 56

誰なんだその男は(元婚約者アルバート視点)

しおりを挟む
ふふ、やっと君の居場所がわかったよ。君のことを僕が一体どれだけ探したと思う? まさか魔法学園に入学しているだなんて思いもよらなかったよ。

姉思いのユリアがこうして僕にわざわざ手紙をくれたというのに肝心の君は僕に便り一つよこさないなんてね?

君との婚約を破棄してユリアと婚約したのは間違いだった。ユリアは可愛らしくて従順だと思っていたけれど、縄で縛ろうとしてみたらやっぱりちょっと違うんだよねぇ。

白磁のように美しい肌、僕を見つめる小動物のようにつぶらな瞳、つくりたてのようにふっくらと艶やかな唇。

やっぱり何をとってみても君にはかなわない。君の代わりになる女なんてどこにもいない。

婚約破棄を切り出したらユリアは涙ながらに受け入れてくれたよ。……僕は本当になんて罪深い男なんだろう。だけどやっぱり君のことがどうしても忘れられない、愛するマリアベル。失ってから気がつくなんて僕はなんて愚かなんだろうね?

国中を探させたけどちっとも見つからない君のことを一体僕がどれだけ心配したことか。

だけどやっと見つかった。すぐに君を迎えに行かなくちゃ。

ユリアとの婚約を破棄した後で君との婚約を再度申し出たら、君の父であるメイソン侯爵は快く了承したよ。媚びへつらうような表情を浮かべて何度も僕に頭を下げていた。

……本当に、金のことしか頭にない犬のような男だね。僕の家とのつながりがどうしても欲しいらしい。

君をこんな男のところには預けておけないとますます思ったよ。君のことは僕が幸せにしなければ。





そうして僕は魔法学園にやって来た。とは言えまだ入学許可は下りていないから堂々と会いに行くことはできない。ある日、魔法学園の生徒たちが課外実習で学園の外に出掛けるらしいという情報を得た僕はその日を狙って木陰からこっそりと彼らの様子を伺うことにした。

制服を着た男女の集団ががやがやと学園の敷地から出てくる。今日は近くの森で魔獣相手の実践練習をするらしい。

マリアベルは……一体どこだ? ユリアの手紙によるとマリアベルは「エマ」という偽名を使って暮らしているらしい。

木陰からマリアベルの姿を探していると男の声が聞こえた。

「エマ!」

黒髪で長身の男が1人の女生徒に早足で近づいた。女生徒は……間違いない、マリアベルだ! ああ、やっと会えたね、マリアベル。艶やかで美しい黒髪。輝くような美しさの中に可愛らしさが同居しているあの姿。間違いない。会いたかったよマリアベル!

彼女の姿を見たらいてもたってもいられなくなって一歩前へ出ようとした瞬間、黒髪の男がマリアベルの手を取った。

「エマ、駄目じゃないか。護身用の魔道具を忘れていくなんて」

そう言って男がマリアベルの手にネックレス型の魔道具を手渡した。僕は怒りと嫉妬で体中の血が沸き上がるような感覚を覚えた。なんなんだ? あの男は? 気安く僕のマリアベルに触れるんじゃない。

「あら私ったら……ごめんなさい、フェリクス。ありがとう」

「ほら、ちゃんと首にかけろ。装具型の魔道具はちゃんと装備しないと効果を発しないからな」

「じ、自分でできるったら」

「いいからじっとしてろ」

そう言って半ば強引に男がマリアベルにネックレスをつける。近い! 近い! 近すぎるだろう?! 僕のマリアベルからさっさと離れろ貴様!

出て行ってそう叫びたいのを必死にこらえる。今ここで出て行ったら不審者として捕らえられるであろうことくらいは、マリアベルのことで頭がいっぱいな僕にだってわかるさ。

「あ、ありがとう……」

マリアベルが黒髪の男に照れたような表情を向ける。2人はそのまま笑顔で談笑しながら学生たちの集団にまぎれていった。

僕はふつふつとわき上がってくる怒りの感情を抑えるのに必死だった。目の前がチカチカする。

……なんなんだあの男は? 僕のマリアベルにあんなに気安く……!

マリアベル……君も君だ。婚約者である僕以外の男に簡単に触れさせて、おまけにそんな無防備な笑顔を見せるだなんて。君がそんな女だっただなんて失望したよ。

いや悪いのはマリアベルじゃない。悪いのは彼女を誘惑するあの男と、そして彼女を堕落させたこの学園だ。一刻も早く彼女をこの悪しき環境から救い出さなければ。

だけど君にもお仕置きが必要だよね。 だってこうして堕落させられてしまったのは君にもそうされるだけの隙があったということだもの。僕のそばにいたらこんなことにはならなかったのに……。君が僕を失って寂しかったのはわかるけれど、君には僕しかいないんだってことを忘れてしまってはいけなかったよね? 今度こそ君の体にしっかり教えこまなきゃならない。君が愛するのは誰なのか、君が本当に求めているのは誰なのか。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

悪役令嬢、追放先の貧乏診療所をおばあちゃんの知恵で立て直したら大聖女にジョブチェン?! 〜『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件〜

華梨ふらわー
恋愛
第二王子との婚約を破棄されてしまった主人公・グレイス。しかし婚約破棄された瞬間、自分が乙女ゲーム『どきどきプリンセスッ!2』の世界に悪役令嬢として転生したことに気付く。婚約破棄に怒り狂った父親に絶縁され、貧乏診療所の医師との結婚させられることに。 日本では主婦のヒエラルキーにおいて上位に位置する『医者の嫁』。意外に悪くない追放先……と思いきや、貧乏すぎて患者より先に診療所が倒れそう。現代医学の知識でチートするのが王道だが、前世も現世でも医療知識は皆無。仕方ないので前世、大好きだったおばあちゃんが教えてくれた知恵で診療所を立て直す!次第に周囲から尊敬され、悪役令嬢から大聖女として崇められるように。 しかし婚約者の医者はなぜか結婚を頑なに拒む。診療所は立て直せそうですが、『医者の嫁』ハッピーセレブライフ計画は全く進捗しないんですが…。 続編『悪役令嬢、モフモフ温泉をおばあちゃんの知恵で立て直したら王妃にジョブチェン?! 〜やっぱり『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件~』を6月15日から連載スタートしました。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/500576978/161276574 完結しているのですが、【キースのメモ】を追記しております。 おばあちゃんの知恵やレシピをまとめたものになります。 合わせてお楽しみいただければと思います。

「この結婚はなかったことにしてほしい、お互いのためだ」と言われましたが……ごめんなさい!私は代役です

涙乃(るの)
恋愛
男爵家の双子の姉妹のフィオーリとクリスティナは、髪色以外はよく似ている。 姉のフィオーリ宛にとある伯爵家から結婚の申し込みが。 結婚式の1ヶ月前に伯爵家へと住まいを移すように提案されると、フィオーリはクリスティナへ式までの代役を依頼する。 「クリスティナ、大丈夫。絶対にバレないから! 結婚式に入れ替われば問題ないから。お願い」 いえいえいえ、問題しかないと思いますよ。 ゆるい設定世界観です

令嬢から成り下がったメイドの分際で、侯爵様と目が合ってしまって

真好
恋愛
彼はメイドの私に手を差し出した。「私と、踊っていただけませんか?」 かつては公爵令嬢として、誰もが羨む生活を送っていたエルナ。 しかし、国家反逆罪で家は没落し、今は嫌な貴族の下で働く「身分落ち」のメイド。 二度と表舞台に立つことなどないはずだった。 あの日の豪華絢爛な舞踏会で、彼と目が合うまでは。 アルフォンス・ベルンハルト侯爵。 冷徹な「戦場の英雄」として国中の注目を集める、今もっともホットで、もっとも手が届かない男。 退屈そうに会場を見渡していた彼の視線が、影に徹していた私を捉えて。 彼は真っ直ぐに歩み寄り、埃まみれの私に手を差し出した。 「私と、踊っていただけませんか?」 メイドの分際で、英雄のパートナー!? 前代未聞のスキャンダルから始まる逆転劇。

ギルド回収人は勇者をも背負う ~ボロ雑巾のようになった冒険者をおんぶしたら惚れられた~

水無月礼人
恋愛
 私は冒険者ギルド職員ロックウィーナ。25歳の女で担当は回収役。冒険者の落し物、遺品、時には冒険者自体をも背負います!  素敵な恋愛に憧れているのに培われるのは筋肉だけ。  しかし無駄に顔が良い先輩と出動した先で、行き倒れた美形剣士を背負ってから私の人生は一変。初のモテ期が到来です!!  ……とか思ってウハウハしていたら何やら不穏な空気。ええ!?  私の選択次第で世界がループして崩壊の危機!? そんな結末は認めない!!!! ※【エブリスタ】でも公開しています。  【エブリスタ小説大賞2023 講談社 女性コミック9誌合同マンガ原作賞】で優秀作品に選ばれました。

追放された悪役令嬢は貧乏になっても図太く生きますわ!

ワールド
恋愛
貴族の娘として生まれた公爵令嬢クラリッサ。 陰謀の濡れ衣を着せられ、華やかな社交界から追放――そして辿り着いたのは、ボロ小屋と畑だけの辺境村!? 「結構ですわ! 紅茶がなければハーブティーを淹れればいいじゃありませんの!」 貧乏生活でも持ち前の図太さで、村の改革に乗り出すクラリッサ。 貧乏でも優雅に、下剋上でも気高く! そんな彼女の前に現れたのは、前世(王都)で彼女を陥れた元婚約者……ではなく、なぜか彼の弟で村に潜伏していた元騎士で――? 「俺は見てた。貴女の“ざまぁ”は、きっとまだ終わっちゃいない。」 ざまぁとスローライフ、そしてちょっとの恋。 令嬢、辺境で図太く咲き誇ります!

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。

彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。 そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。 やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。 大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。 同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。    *ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。  もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。

処理中です...