32 / 56
なにげない会話
しおりを挟む
「と、とにかく急にそんなこと言われたって、はいそうですかなんて言えないわ。冗談はやめてくださる?」
「俺はいたって真面目に言ったつもりだが?」
私の言葉にフェリクスはがっかりした表情を浮かべている。
「そんなことより真剣に対策を考えなくちゃ」
「大丈夫さ、そんな奴が来たら俺が追い払う」
「だけどね、アルバートって本当にしつこい男なの。あなただって会ってみたらわかるわ」
私がフェリクスと話しているところにルークがやって来た。
「やあ2人で何を話しこんでいるんだ?」
私はルークにも事情を説明した。
「やれやれ妹のことが済んだと思ったら今度は元婚約者かい? 君って本当に苦労ばかりしているんだな?」
「ふふ、本当にその通りかもしれませんわね」
ルークの言う通り、我ながらこれまでの人生でとことん人間関係には恵まれなったようだ。とは言え今はフェリクスやルークのような気心の知れない仲間もできたし、アリアやシータのような女友達もできた。
邸にいた頃と比べて生活は質素になったけれど今の生活は本当に楽しい。
「今度は媚薬を盛られないように気をつけてくださいますこと?」
「うっ……それを言われると耳が痛いな。その元婚約者殿は男色の気もあるということか?」
ルークがそう言って怪訝な表情を浮かべる。
「それはないと思いますけれど……」
でもアルバートならあり得るかしら?
「とにかくまたしばらくの間、できるだけエマが1人にならないように気をつけたほうがいいかもしれないな。学園内はとりあえずは大丈夫だろうが……。街に出る時は俺に声をかけてくれ、わかったな?」
フェリクスが言う。
「俺に声を掛けてくれてもいいんだからね?」
続けてルークが言った。
「その必要はない」
「どうして?」
「俺がいるからだ」
「だけど王太子様はなにかとお忙しいだろう? 俺は君と違って暇をしてるからな」
「エマからの呼び出しなら何を置いてでもかけつけるさ」
「へえ」
この2人の関係はなんだかんだ言って相変わらずね。
「そういえばもうすぐ合宿だな」
合宿と言うのは魔法学園で年に一度開催される泊りがけの課外授業だ。魔獣の多い森で生徒たちがグループごとに課題をこなす。
まだグループは決まっていないけれど、予想外の場所から魔獣が現れたり指導役の教員が強力な魔術を使ってくるらしい。無事に課題を終えられるグループはわずかで、課題に失敗した場合は補習を受けることになる。
「合宿って一体どんな内容なのかしら?」
その内容については口外厳禁のため詳しい内容は知らされていない。あと数週間後に魔獣の森の奥の今は使われていない邸で行われるそうだ。
「なんでも結構古い洋館でやるらしいけど、そんなとこまで雰囲気出さなくたっていいのになぁ。俺、ホラーとか正直苦手なんだよな。魔獣は構わないけど、暗くてヤバい洋館とか一体誰の趣味だよまったく」
ルークはうんざりしている様子だ。
「俺は別に構わないけどな。エマ、君はどうなんだ?」
「そうね、私がいた邸の部屋もひどいものだったから、怖いとかそういうことはないけれど」
邸の私の部屋は暗くて古い一番北側のしけっぽい部屋があてがわれていた。だから暗い場所には慣れているけれど……。お化けって本当にいるのかしら? たしかに怪談なんかの本はちょっぴり苦手かも。だけど言ったらなんだかまたフェリクスに笑われそうで私は黙っている。
「女の子がお化けに驚いて抱きついてきてくれたりするのは願ったりかなったりなんだけどな」
「ルーク、あなたって人は……」
ルークは基本的に女の子が大好きらしい。
「エマみたいな普段は気の強い子が実は怖いものが苦手とかそういうギャップに弱いんだよな、俺」
「……人を勝手に妄想の種にしないでちょうだい」
私は小さくため息をついた。
「俺はいたって真面目に言ったつもりだが?」
私の言葉にフェリクスはがっかりした表情を浮かべている。
「そんなことより真剣に対策を考えなくちゃ」
「大丈夫さ、そんな奴が来たら俺が追い払う」
「だけどね、アルバートって本当にしつこい男なの。あなただって会ってみたらわかるわ」
私がフェリクスと話しているところにルークがやって来た。
「やあ2人で何を話しこんでいるんだ?」
私はルークにも事情を説明した。
「やれやれ妹のことが済んだと思ったら今度は元婚約者かい? 君って本当に苦労ばかりしているんだな?」
「ふふ、本当にその通りかもしれませんわね」
ルークの言う通り、我ながらこれまでの人生でとことん人間関係には恵まれなったようだ。とは言え今はフェリクスやルークのような気心の知れない仲間もできたし、アリアやシータのような女友達もできた。
邸にいた頃と比べて生活は質素になったけれど今の生活は本当に楽しい。
「今度は媚薬を盛られないように気をつけてくださいますこと?」
「うっ……それを言われると耳が痛いな。その元婚約者殿は男色の気もあるということか?」
ルークがそう言って怪訝な表情を浮かべる。
「それはないと思いますけれど……」
でもアルバートならあり得るかしら?
「とにかくまたしばらくの間、できるだけエマが1人にならないように気をつけたほうがいいかもしれないな。学園内はとりあえずは大丈夫だろうが……。街に出る時は俺に声をかけてくれ、わかったな?」
フェリクスが言う。
「俺に声を掛けてくれてもいいんだからね?」
続けてルークが言った。
「その必要はない」
「どうして?」
「俺がいるからだ」
「だけど王太子様はなにかとお忙しいだろう? 俺は君と違って暇をしてるからな」
「エマからの呼び出しなら何を置いてでもかけつけるさ」
「へえ」
この2人の関係はなんだかんだ言って相変わらずね。
「そういえばもうすぐ合宿だな」
合宿と言うのは魔法学園で年に一度開催される泊りがけの課外授業だ。魔獣の多い森で生徒たちがグループごとに課題をこなす。
まだグループは決まっていないけれど、予想外の場所から魔獣が現れたり指導役の教員が強力な魔術を使ってくるらしい。無事に課題を終えられるグループはわずかで、課題に失敗した場合は補習を受けることになる。
「合宿って一体どんな内容なのかしら?」
その内容については口外厳禁のため詳しい内容は知らされていない。あと数週間後に魔獣の森の奥の今は使われていない邸で行われるそうだ。
「なんでも結構古い洋館でやるらしいけど、そんなとこまで雰囲気出さなくたっていいのになぁ。俺、ホラーとか正直苦手なんだよな。魔獣は構わないけど、暗くてヤバい洋館とか一体誰の趣味だよまったく」
ルークはうんざりしている様子だ。
「俺は別に構わないけどな。エマ、君はどうなんだ?」
「そうね、私がいた邸の部屋もひどいものだったから、怖いとかそういうことはないけれど」
邸の私の部屋は暗くて古い一番北側のしけっぽい部屋があてがわれていた。だから暗い場所には慣れているけれど……。お化けって本当にいるのかしら? たしかに怪談なんかの本はちょっぴり苦手かも。だけど言ったらなんだかまたフェリクスに笑われそうで私は黙っている。
「女の子がお化けに驚いて抱きついてきてくれたりするのは願ったりかなったりなんだけどな」
「ルーク、あなたって人は……」
ルークは基本的に女の子が大好きらしい。
「エマみたいな普段は気の強い子が実は怖いものが苦手とかそういうギャップに弱いんだよな、俺」
「……人を勝手に妄想の種にしないでちょうだい」
私は小さくため息をついた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
悪役令嬢、追放先の貧乏診療所をおばあちゃんの知恵で立て直したら大聖女にジョブチェン?! 〜『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件〜
華梨ふらわー
恋愛
第二王子との婚約を破棄されてしまった主人公・グレイス。しかし婚約破棄された瞬間、自分が乙女ゲーム『どきどきプリンセスッ!2』の世界に悪役令嬢として転生したことに気付く。婚約破棄に怒り狂った父親に絶縁され、貧乏診療所の医師との結婚させられることに。
日本では主婦のヒエラルキーにおいて上位に位置する『医者の嫁』。意外に悪くない追放先……と思いきや、貧乏すぎて患者より先に診療所が倒れそう。現代医学の知識でチートするのが王道だが、前世も現世でも医療知識は皆無。仕方ないので前世、大好きだったおばあちゃんが教えてくれた知恵で診療所を立て直す!次第に周囲から尊敬され、悪役令嬢から大聖女として崇められるように。
しかし婚約者の医者はなぜか結婚を頑なに拒む。診療所は立て直せそうですが、『医者の嫁』ハッピーセレブライフ計画は全く進捗しないんですが…。
続編『悪役令嬢、モフモフ温泉をおばあちゃんの知恵で立て直したら王妃にジョブチェン?! 〜やっぱり『医者の嫁』ライフ満喫計画がまったく進捗しない件~』を6月15日から連載スタートしました。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/500576978/161276574
完結しているのですが、【キースのメモ】を追記しております。
おばあちゃんの知恵やレシピをまとめたものになります。
合わせてお楽しみいただければと思います。
「この結婚はなかったことにしてほしい、お互いのためだ」と言われましたが……ごめんなさい!私は代役です
涙乃(るの)
恋愛
男爵家の双子の姉妹のフィオーリとクリスティナは、髪色以外はよく似ている。
姉のフィオーリ宛にとある伯爵家から結婚の申し込みが。
結婚式の1ヶ月前に伯爵家へと住まいを移すように提案されると、フィオーリはクリスティナへ式までの代役を依頼する。
「クリスティナ、大丈夫。絶対にバレないから!
結婚式に入れ替われば問題ないから。お願い」
いえいえいえ、問題しかないと思いますよ。
ゆるい設定世界観です
令嬢から成り下がったメイドの分際で、侯爵様と目が合ってしまって
真好
恋愛
彼はメイドの私に手を差し出した。「私と、踊っていただけませんか?」
かつては公爵令嬢として、誰もが羨む生活を送っていたエルナ。
しかし、国家反逆罪で家は没落し、今は嫌な貴族の下で働く「身分落ち」のメイド。
二度と表舞台に立つことなどないはずだった。
あの日の豪華絢爛な舞踏会で、彼と目が合うまでは。
アルフォンス・ベルンハルト侯爵。
冷徹な「戦場の英雄」として国中の注目を集める、今もっともホットで、もっとも手が届かない男。
退屈そうに会場を見渡していた彼の視線が、影に徹していた私を捉えて。
彼は真っ直ぐに歩み寄り、埃まみれの私に手を差し出した。
「私と、踊っていただけませんか?」
メイドの分際で、英雄のパートナー!?
前代未聞のスキャンダルから始まる逆転劇。
ギルド回収人は勇者をも背負う ~ボロ雑巾のようになった冒険者をおんぶしたら惚れられた~
水無月礼人
恋愛
私は冒険者ギルド職員ロックウィーナ。25歳の女で担当は回収役。冒険者の落し物、遺品、時には冒険者自体をも背負います!
素敵な恋愛に憧れているのに培われるのは筋肉だけ。
しかし無駄に顔が良い先輩と出動した先で、行き倒れた美形剣士を背負ってから私の人生は一変。初のモテ期が到来です!!
……とか思ってウハウハしていたら何やら不穏な空気。ええ!?
私の選択次第で世界がループして崩壊の危機!? そんな結末は認めない!!!!
※【エブリスタ】でも公開しています。
【エブリスタ小説大賞2023 講談社 女性コミック9誌合同マンガ原作賞】で優秀作品に選ばれました。
追放された悪役令嬢は貧乏になっても図太く生きますわ!
ワールド
恋愛
貴族の娘として生まれた公爵令嬢クラリッサ。
陰謀の濡れ衣を着せられ、華やかな社交界から追放――そして辿り着いたのは、ボロ小屋と畑だけの辺境村!?
「結構ですわ! 紅茶がなければハーブティーを淹れればいいじゃありませんの!」
貧乏生活でも持ち前の図太さで、村の改革に乗り出すクラリッサ。
貧乏でも優雅に、下剋上でも気高く!
そんな彼女の前に現れたのは、前世(王都)で彼女を陥れた元婚約者……ではなく、なぜか彼の弟で村に潜伏していた元騎士で――?
「俺は見てた。貴女の“ざまぁ”は、きっとまだ終わっちゃいない。」
ざまぁとスローライフ、そしてちょっとの恋。
令嬢、辺境で図太く咲き誇ります!
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる